第4章 国際社会の平和と安全を確保するための取組 

1 国際平和協力業務のしくみなど

(1)国際平和協力業務の実施状況
 92(平成4)年に「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」(国際平和協力法)が成立した。自衛隊は、国連平和維持活動に対する協力としてカンボジア、モザンビーク、東ティモールへ部隊などを、また、人道的な国際救援活動に対する協力としてザイール(現コンゴ民主共和国)、インドネシア、パキスタン、ヨルダンへ部隊を派遣してきた。さらに、国連平和維持活動に対する協力として、96(同8)年以来ゴラン高原へ司令部要員と部隊の派遣を継続している。

(2)国際平和協力法と自衛隊が行う国際平和協力業務
 国際平和協力法は、1)国連平和維持活動1、2)人道的な国際救援活動2及び3)国際的な選挙監視活動の3つの活動に対し適切かつ迅速な協力を行うための体制を整備し、より積極的に国際平和のための努力に寄与することを目的としている。また、同法では、国際平和協力業務の実施に当たっての基本方針(いわゆる参加5原則)が規定されている。

(3)平和維持隊(PKF)本体業務3の凍結解除など
 自衛隊の部隊によるいわゆるPKF本体業務については、内外のより広い理解を得てから実施するため、別に法律に定める日までの間は実施しないこととし、凍結されていた。その一方で、01(同13)年まで、自衛隊は平和維持隊の後方支援業務4など6回にわたる派遣を行い、着実に実績と経験を積み上げてきた。
 このような努力に対し、わが国として、さらに積極的に国際平和協力を実施すべきとの国内外の期待が高まったことを受け、01(同13)年12月の国際平和協力法改正により5、当初凍結されていた平和維持隊(PKF)本体業務への部隊参加の凍結が解除された。
 
国連平和維持隊への参加に当たっての基本方針(参加5原則) 東ティモール周辺図



 
1)国連決議に基づき、武力紛争当事者間の武力紛争再発防止に関する合意の遵守の確保その他紛争に対処して国際の平和と安全を維持するために国連の統括の下に行われる活動。

 
2)国連決議又はUNHCRなどの国際機関の要請に基づき、紛争による被災民の救援や被害の復旧のため、人道的精神に基づいて国連その他の国際機関又は各国が行う活動。

 
3)1)武力紛争の停止の遵守状況、軍隊の再配置、撤退、武装解除の監視、2)緩衝地帯などにおける駐留、巡回、3)武器の搬入・搬出の検査、確認、4)放棄された武器の収集、保管、処分、5)紛争当事者が行う停戦線などの境界線の設定の援助、6)紛争当事者間の捕虜交換の援助をわが国は、PKF本体業務と呼んでいる。

 
4)本体業務を支援する医療、輸送、通信、建設などの業務を指す。

 
5)なお、この01(平成13)年の法改正においては、武器使用規定の改正も行われた(「50周年特集:PKOなどにおける武器使用規定、主要装備の変遷」を参照。)。


 

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