第3章 緊急事態への対応 

2 事態が外部からの武力攻撃に該当する場合の対応

(1)基本的な考え方
 武装工作員などによる活動が、外部からの組織的・計画的な武力行使と認められる場合には防衛出動により対処する。このようなケースとしては、ゲリラや特殊部隊による攻撃が考えられる。
 高度に都市化・市街地化が進んでいるわが国に対する武力攻撃の形態の1つとして、ゲリラや特殊部隊による都市部などへの攻撃が予想される。ゲリラや特殊部隊による攻撃は、わが国に兵力を潜入させて行う不正規型の武力攻撃である。この攻撃の種類として、不正規軍の要員であるゲリラによる施設などの破壊や人員に対する襲撃などが行われるものと、正規軍である特殊部隊による破壊工作、要人暗殺、作戦中枢への急襲などの活動が行われるものがある。
 ゲリラや特殊部隊による攻撃に対処するための作戦では、速やかに情報収集態勢を確立し、ゲリラや特殊部隊を早期に発見して捕獲又は撃破することとなる。この際、攻撃による被害を最小限にして事態を早期に収拾することが重要である。

 
山地における対遊撃行動訓練を行っている陸自第41普通科連隊(昨年11月 大分県日出生台演習場)

(2)ゲリラや特殊部隊による攻撃への対処
ア 各種船舶などの発見・阻止
 ゲリラや特殊部隊を輸送する各種船舶や潜水艦などをできるだけ早期に発見し、海自の護衛艦、潜水艦や海・空自の航空機などにより、洋上での阻止などに努める。
イ ゲリラや特殊部隊の捜索・発見など
 ゲリラや特殊部隊が、わが国領土内に潜入するおそれがある場合、陸自の偵察部隊などで沿岸部での警戒監視を行い、これらが領土内に潜入した場合、偵察部隊や航空部隊などによる捜索・発見を行う。また、必要に応じ、重要施設などに警護のための部隊を配置し、早期に警護態勢を確立する。
ウ ゲリラや特殊部隊の捕獲・撃破など
 ゲリラや特殊部隊を発見した場合、その地域に速やかに戦闘部隊を集めてこれを包囲した上で、捕獲又は撃破する。

 これらの対処全般を通じ、各自衛隊は、作戦に必要な防空、情報活動、部隊・補給品の輸送などを行う。なお、日米防衛協力のための指針の下、事態に応じて米軍の適切な支援を得る。
 
(3)15年度予算における関連事業の概要
 自衛隊がゲリラや特殊部隊による攻撃に対処するために整備を進めている次に示すような事業は、前述の武装工作員などへ対処する場合にも活用し得る事業である。
1) 沿岸部における警戒監視・情報収集能力の向上のための移動監視レーダの整備、沿岸監視訓練の実施
2) 侵入された際の初動捜索能力の強化に必要な各種車両、ヘリコプター、無線機の整備や夜間捜索能力の強化に必要な個人用暗視装置1の整備
3) 重要施設などの防護能力の強化に必要な施設防護用器材の整備や指揮所訓練の実施



 
1)隊員個人に装備し、夜間の各種行動のために使用するもの。鉄帽に装着する微光暗視方式の等倍単眼鏡(2章3節2に写真を掲載)。


 

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