〔第5節〕新防衛大綱における具体的な防衛力の内容


各自衛隊の体制

(1) 陸上自衛隊(第3図及び第4図参照)

    平時地域配備する部隊については、現在の12個師団、2個混成団から、8個師団、6個旅団とする。

    主として機動的に運用する各種の部隊については、従来と同様、機甲師団、ヘリコプター団、空挺団をそれぞれ1個保有する。

    地対空誘導弾部隊については、引き続き8個高射特科群を保有する。

    編成定数は、現在の18万人から16万人とする。また、部隊などの編成に当たっては、原則として常備自衛官を充て、一部の部隊については即応予備自衛官を主体として充てる。これにより、常備自衛官14.5万人、即応予備自衛官1.5万人とする。

    陸上自衛隊の装備について、戦車は現在の約1,200両から約900両、主要特科装備は現在の約1,000門/両から約900門/両とする。

(2) 海上自衛隊(第5図及び第6図参照)

    機動的に運用する護衛艦部隊について、引き続き4個護衛隊群を保有する。

    沿岸海域の警戒及び防備に当たる護衛艦部隊については、現在の10個護衛隊から7個護衛隊とする。これに伴い、護衛艦部隊(機動運用及び地方隊)の護衛艦の隻数は、前大綱の約60隻から約50隻になる。

    潜水艦部隊については、引き続き6個隊16隻を保有する。

    掃海部隊については、2個掃海隊群を1個掃海隊群に集約化する。

    陸上哨戒機部隊については、1.周辺海域の哨戒などに当たる固定翼哨戒機部隊を10個隊から8個隊に、2.主要な港湾、海峡などの警戒及び防備に当たる陸上回転翼哨戒機部隊を6個隊から5個隊にする。

(3) 航空自衛隊(第7図及び第8図参照)

    航空警戒管制部隊については、現在の28個警戒群を、8個警戒群及び20個警戒隊とする。また、警戒飛行部隊については、引き続き1個飛行隊を保有する。

    戦闘機部隊については、現在の13個飛行隊を12個飛行隊とする。

    地対空誘導弾部隊については、引き続き、6個高射群を保有する。

    航空偵察部隊については、引き続き1個飛行隊を保有し、航空輸送部隊については、引き続き3個飛行隊を保有する。

    作戦用航空機については、約430機から約400機とし、そのうち戦闘機は約350機から約300機とする。

各種の態勢

    新防衛大綱では、防衛力の役割を果たすために各自衛隊が保持すべき各種の態勢、つまり、(1)侵略事態などに対応するための態勢、(2)災害救援などの態勢、(3)国際平和協力業務などの実施の態勢、(4)警戒、情報及び指揮通信の態勢、(5)後方支援の態勢、(6)人事・教育訓練の態勢のそれぞれについて説明している。

防衛力の弾力性の確保

    新防衛大綱は、事態の推移に円滑に対応できるよう、防衛力の適切な弾力性を確保することとしている。この弾力性の確保としては、取得に相当な期間を必要とする装備や養成に長期間を要する要員を教育訓練部門などにおいて保持することや、新たに即応予備自衛官を確保することが考えられる。

防衛力の整備、維持及び運用における留意事項

    新防衛大綱では、経済財政事情などを勘案して国の他の諸施策との調和を図るなど、防衛力の整備、維持及び運用を行う際の留意事項を記述している。また、将来、情勢に重要な変化が生じ、防衛力の在り方の見直しが必要となると予想される場合には、その時の情勢に照らして、新防衛大綱の自体の見直しを含めて、改めて防衛力の在り方を見直すべきかどうかを検討することとしている。


[前ページ] [目次] [次ページ]