<第3章>これからの防衛力整備


〔第1節〕新中期防衛力整備計画(第1表参照)


新中期防の策定経緯と意義

(1)新中期防の策定経緯

    今後の防衛力の在り方に関する安全保障会議における審議の中で、防衛計画の計画方式については、これまでどおり、防衛計画の大綱を策定し、その下に計画的な防衛力整備を進めていくことが望ましいとされた。これを受け、昨年11月新防衛大綱が策定された後、同12月新中期防が決定された。

(2)新中期防の意義

    新中期防は、新防衛大綱の下での最初の中期計画であり、新防衛大綱に示された防衛力の内容を実現するための第一歩として、その基礎を固めつつ、着実な実現を目指すものとして、極めて重要な意義を有している。

計画の方針

    新中期防においては、新防衛大綱に従い、次の六つの柱を基本に防衛力整備を進めることとしている。

  1. 防衛力の合理化・効率化・コンパクト化
  2. 防衛力の機能の充実・質的向上
  3. 防衛力の弾力性の確保
  4. 日米安保体制の信頼性向上
  5. より安定した安全保障環境の構築への貢献
  6. 節度ある防衛力の整備

基幹部隊の見直し

(1) 陸上自衛隊

    現在の13個師団及び2個混成団のうち、5個の師団について改編を実施する。その際、2個の師団を旅団とし、このうち1個を空中機動性を高めた旅団とする。また、これらの旅団及び改編するその他の3個の師団のそれぞれについて、一部を即応予備自衛官を主体とする部隊として編成する。
    これらを通じ、現在の定数(18万人)を17万2千人程度(常備自衛官16万7千人程度、即応予備自衛官5千人程度)に削減する。

(2) 海上自衛隊

    現在地方隊に所属する10個護衛隊のうち2個隊を廃止するとともに、潜水艦部隊に教育部隊を新編する。また、掃海部隊を、現在の2個掃海隊群から1個掃海隊群に集約化する。
    陸上哨戒機部隊については、16個航空隊のうち固定翼哨戒機部隊1個隊を廃止する。また、固定翼哨戒機部隊及び陸上回転翼哨戒機部隊のそれぞれ1個隊を教育部隊とする。

(3) 航空自衛隊

    現在の3個方面隊及び1個混成団のうち、2個方面隊について、警戒管制部隊の一部の警戒群を警戒隊に改編する。さらに、戦闘機部隊について、現在保有する13個の飛行隊のうち1個飛行隊を廃止する。

(4) 統合幕僚会議

    自衛隊が、多様な役割を遂行するには、総合的な見地から、それぞれ異なる特性を持つ陸・海・空各自衛隊の有機的な運用に特に配意する必要がある。このため、統合幕僚会議の機能の充実などについて検討を行い、必要な措置を講ずる。

主要事業内容

    新中期防では、(1)装備の更新・近代化、(2)情報・指揮通信能力の向上、(3)教育訓練及び救難体制の充実、(4)隊員施策の推進、(5)技術研究開発の推進、(6)日米安保体制の信頼性の向上を図るための施策、(7)災害救援など、(8)より安定した安全保障環境の構築への貢献など、期間中の主要事業の内容について説明している。

所要経費

    新中期防の実施に必要な防衛関係費の総額の限度は、平成7年度価格でおおむね25兆1,500億円程度をめどとしている。このほか、将来における予見し難い事象への対応、より安定した安全保障環境の構築への貢献など特に必要と認める場合のために、調整枠として1,100億円が設定された。


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