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ダイジェスト 第II部 わが国の安全保障・防衛政策

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安全保障と防衛の基本的考え方

  • 国民の命や暮らしを守り抜くうえで、まず優先されるべきは、積極的な外交の展開。日米同盟を基軸とし、同志国との連携、多国間協力を推進していくことが不可欠
  • 同時に、外交には、裏付けとなる防衛力が必要。戦略的なアプローチとして、自由で開かれたインド太平洋(FOIP) のビジョンのもとでの外交を展開するとともに、反撃能力の保有を含む防衛力の抜本的強化などを推進
  • 憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本方針に従い、文民統制を確保し、非核三原則を堅持

航空観閲式における岸田内閣総理大臣と木原防衛大臣(2023年11月)

航空観閲式における岸田内閣総理大臣と木原防衛大臣
(2023年11月)

国家安全保障戦略などの「三文書」

国家安全保障戦略

  • わが国の安全保障に関する最上位の政策文書であり、外交・防衛分野のみならず、経済安全保障、技術、情報も含む幅広い分野の政策に戦略的な指針を与えるもの
  • 2027 年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組をあわせ、そのための予算水準が2022年度の国内総生産(GDP)の2%(11兆円程度)に達するよう、所要の措置を実施

国家防衛戦略

  • わが国の防衛目標、この防衛目標を達成するためのアプローチやその手段を包括的に示すもの
  • わが国政府の最も重大な責務であり、安全保障の根幹は、国民の命と平和な暮らし、そして、わが国の領土・領空・領海を断固として守り抜くこと。わが国を含む国際社会は、深刻な挑戦を受け、新たな危機に突入しており、厳しい現実に正面から向き合って、相手の能力と新しい戦い方に着目した防衛力の抜本的強化が必要
  • 防衛力の抜本的強化にあたって、①スタンド・オフ防衛能力、②統合防空ミサイル防衛能力、③無人アセット防衛能力、④領域横断作戦能力、⑤指揮統制・情報関連機能、⑥機動展開能力・国民保護、⑦持続性・強靱性、の7つの機能・能力を重視
  • わが国への侵攻を抑止する上で鍵となる、①などを活用した反撃能力を保有

3つの防衛目標と、それを実現するための3つのアプローチ(イメージ)

3つの防衛目標と、それを実現するための3つのアプローチ(イメージ)

防衛力整備計画

  • 国家防衛戦略に従って防衛力を抜本的に強化するにあたり、わが国として保有すべき防衛力の水準や、それを達成するための経費総額、主要装備品の整備数量などを示すもの
  • 策定から5年後の2027年度までに、わが国への侵攻が生起する場合には、わが国が主たる責任をもって対処し、同盟国などの支援を受けつつ、これを阻止・排除できるように防衛力を強化。おおむね 10 年後までに、防衛力の目標をより確実にするためさらなる努力を行い、より早期かつ遠方で侵攻を阻止・排除できるように防衛力を強化
  • 2023年度から2027年度までの5年間における計画の実施に必要な防衛力整備の水準にかかる金額は、43兆円程度

防衛力整備と予算

  • 国際社会は戦後最大の試練のときを迎え、新たな危機の時代に突入しているとの基本認識のもと、令和6(2024)年度の防衛力整備は、国家防衛戦略や防衛力整備計画に基づき、防衛力抜本的強化実現に向け、必要かつ十分な予算を確保
  • 歳出ベースで7兆7,249億円を計上し、大きく増加した契約額を着実に執行するための予算を確保
  • 契約ベースで9兆3,625億円を計上し、複数年度を要する装備品や自衛隊施設などの整備の早期着手を企図。令和5(2023)年度と合わせると、防衛力整備計画の実施に必要な契約額43.5兆円のうち、42%を措置
  • 防衛力の抜本的強化の7つの分野を引き続き推進。特に、各種スタンド・オフ・ミサイルの整備、イージス・システム搭載艦の整備、全国駐屯地・基地などの既存施設の強靱化を重視
  • 防衛力強化のための財源確保を推進
  • 令和6(2024)年度における防衛力整備計画対象経費と「補完する取組」にかかる経費の合計額は、総額8.9兆円、国家安全保障戦略策定時(令和4年度(2022年度))のGDPとの比較では、約1.6%

図表II-2-2-3 防衛力の抜本的強化にあたって重視する7つの機能・能力とそのイメージ

図表II-2-2-3 防衛力の抜本的強化にあたって重視する7つの機能・能力とそのイメージ

安全保障と防衛を担う組織

  • 防衛省・自衛隊は、内閣に設置された国家安全保障会議で議論された基本的な方針のもとで、政策を立案・遂行
  • 自衛隊の任務を迅速かつ効果的に遂行するため、防衛省・自衛隊は、陸・海・空自を一体的に運用する統合運用体制を採用
  • 統合運用の実効性の強化に向けて、2024年度に、陸・海・空自の一元的な指揮を行いうる常設の統合司令部として、「統合作戦司令部」を市ヶ谷に新設予定。これにより、陸・海・空自による統合作戦の指揮などの一本化や、平素からの領域横断作戦の能力練成が可能に

図表II-4-2-5 自衛隊の運用体制と統合作戦司令部

図表II-4-2-5 自衛隊の運用体制と統合作戦司令部

自衛隊の行動に関する枠組み

  • 自衛隊は、自衛隊法などに基づき、わが国の防衛のほか、公共の秩序維持、重要影響事態への対応、国際平和協力活動の任務に従事