共同のISR活動について、日米両国の活動の効率や効果を高めるためには、広くアジア太平洋地域におけるISR活動を日米間で協力して実施していくことが重要である。
このような共同のISR活動の拡大は、抑止の機能を果たすとともに、他国に対する情報優越を確保し、平素から各種事態までのシームレスな協力態勢を構築することにつながる。こうした取組の一環として、2022年11月、米軍無人機MQ-9の海自鹿屋航空基地(鹿児島県)への一時展開を開始した。また、MQ-9を含む日米の情報収集アセットが収集した情報を共同で分析するため、日米共同情報分析組織(BIAC:Bilateral Information Analysis Cell)を横田基地(東京都)に設置した。2023年6月に実施された日米防衛相会談では、MQ-9やBIACが、日米同盟のISR能力の強化に大きな役割を果たしていることを確認した。米軍は、海自鹿屋航空基地における約1年間の運用実績を踏まえ、南西地域周辺海空域での情報収集ニーズに対応すべく、同地域でのISR活動の一層の強化を図るために、同年10月、MQ-9の嘉手納(かでな)飛行場(沖縄県)における運用を開始した。