日米両国は、首脳・閣僚レベルをはじめ様々なレベルで緊密に連携し、二国間のみならず、インド太平洋地域をはじめとする国際社会全体の平和と安定や繁栄のために、多岐にわたる分野で協力関係を不断に強化・拡大させてきた。
日米間の安全保障に関する政策協議は、日米安全保障協議委員会(SCC:Security Consultative Committee)(日米「2+2」)、日米安全保障高級事務レベル協議、防衛協力小委員会など、防衛・外務の様々なレベルで緊密に行われている。中でも、防衛・外務の閣僚級協議である「2+2」は政策協議の代表的なものであり、重要な協議機関として機能している。
KEY WORD日米「2+2(ツー・プラス・ツー)」
外務大臣、防衛大臣、米国務長官、米国防長官が集まって、安全保障問題を議論する枠組みの通称。正式名称は日米安全保障協議委員会(SCC)。近年、わが国は欧州諸国やオーストラリア、インド、インドネシア、フィリピンなど、米国以外の国との間でも「2+2」の枠組みで協議を行っている。
また、累次の機会を捉えて、日米防衛相会談を行い、両国の防衛政策や防衛協力について協議しており、加えて、事務次官や各幕長などの実務レベルにおいても、常日頃から協議や必要な意見交換などを行っている。例えば、木原防衛大臣とオースティン米国防長官との間では、2023年10月と2024年5月に対面で、2023年9月、同年12月および2024年3月に電話で、日米防衛相会談を実施した。
防衛省においては、日米安保体制の信頼性をさらに向上させるため、このような協議などを積極的に行い、日米間で情報や認識を共有するとともに、日米同盟の抑止力・対処力のさらなる強化に向けた具体的な取組について議論を行っている。
岸田内閣総理大臣は、2024年4月、日本の総理大臣として9年ぶりに米国を公式訪問した1。公式訪問において、岸田内閣総理大臣は、日米首脳会談を実施するとともに、米国連邦議会上下両院合同会議において演説を行い、日米がグローバルなパートナーとして、いかなる未来を次の世代に残そうとしているのか、そして、そのためにいかなる努力をしていくのかについて、未来に向けてのメッセージを発した。
日米共同記者会見(2024年4月)【首相官邸HP】
日米首脳会談後、日米首脳共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」を発出した。その中で、防衛・安全保障協力の強化に関して、自衛隊と米軍の相互運用性強化のため、日米それぞれの指揮・統制の枠組みを向上させること、共同開発・生産や共同維持整備を促進する日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議(DICAS(ダイキャス):Forum on Defense Industrial Cooperation, Acquisition and Sustainment)を設立すること、拡大抑止の強化を継続する重要性を再確認し、次回「2+2」の機会での拡大抑止に関する閣僚間での突っ込んだ議論の実施を指示することなどを発表した。
2024年5月、木原防衛大臣はオースティン米国防長官とハワイにおいて防衛相会談を実施し、力による一方的な現状変更やその試みは、インド太平洋を含めたどの地域でも許容してはならず、そのためにも日米同盟の抑止力・対処力を強化していく必要があることを改めて確認した。
日米防衛相会談(2024年5月)
また、同年4月の日米首脳会談で発表された、日米同盟の抑止力・対処力を強化するための取組の実現に向けて緊密に連携していくこと、自由で開かれたインド太平洋(FOIP:Free and Open Indo-Pacific)を実現するため、志を同じくする地域のパートナーとも引き続き協力を強化していくことを確認した。特に、米軍と自衛隊の相互運用性強化のため、それぞれの指揮・統制枠組みの向上などについて引き続き議論をしていくこと、DICASの早期開催に向けて準備を進めるとともに、DICASの枠組みを通じて日米間の装備協力を一段と深化させること、拡大抑止について次回の「2+2」の機会に閣僚級で議論を深めることなどについて一致した。
参照図表III-2-1-1(日米安全保障問題に関する日米両国政府の関係者間の主な政策協議)、2節(日米共同の抑止力・対処力の強化)、資料25(日米協議の実績(2020年以降))、資料26(日米安全保障協議委員会(「2+2」)共同発表(仮訳)(2023年1月))、資料27(日米安全保障協議委員会(「2+2」)閣僚会合(概要)(2023年1月))