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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

2 自衛隊の統合運用体制

自衛隊の任務を迅速かつ効果的に遂行するため、防衛省・自衛隊は、陸・海・空自を一体的に運用する統合運用体制をとっている。また、宇宙・サイバー・電磁波といった領域を含め、領域横断作戦を実現しうる体制の構築に取り組んでいる。

自衛隊の統合運用を担う組織は統幕であり、その長は統幕長である。統幕長は、統一的な運用構想を立案し、自衛隊の運用に関する軍事専門的見地からの防衛大臣の補佐を一元的に行う。また、自衛隊の運用に関する防衛大臣の指揮は統幕長を通じて行い、自衛隊の運用に関する防衛大臣の命令は統幕長が執行する。その際、統合任務部隊1が組織された場合はもとより、単一の自衛隊の部隊を運用して対処する場合であっても、防衛大臣の指揮や命令は、統幕長を通じて行われる。

統幕は、自衛隊の運用に関する機能を担う一方、陸・海・空幕は、人事、防衛力整備、教育訓練などの部隊を整備する機能を担う。

1 自衛隊法第22条第1項または第2項に基づき、特定の任務を達成するために特別の部隊を編成し、または隷属する指揮官以外の指揮官の一部指揮下に所要の部隊を置く場合であって、これらの部隊が陸・海・空自の部隊のいずれか2以上からなるものをいう。弾道ミサイル対処や大規模災害対処など、様々な任務を迅速かつ効果的に遂行するためには、陸・海・空自を一体的に運用する必要があるため、単一の指揮官のもとに陸・海・空自にまたがる統合任務部隊を組織し、対応している。有事と災害の同時対処のような事態に対応するため、統合作戦司令部設置後においても、統合任務部隊を別途組織することは可能である。