Contents

コラム

防衛白書トップ > コラム > <解説>自衛隊の体制強化

<解説>自衛隊の体制強化

新たに策定した防衛力整備計画においては、防衛力を抜本的に強化するにあたって重視する7つの分野を踏まえ、統合運用体制、陸自、海自及び空自の体制を整備していくこととしています。各自衛隊の体制強化のポイントは、以下のとおりです。

各自衛隊の統合運用の実効性強化に向けて、平素から有事まであらゆる段階においてシームレスに領域横断作戦を実現できる体制を速やかに構築する必要があり、大臣の指揮命令を適切に執行するための平素からの統合的な体制のあり方について検討し、既存組織を見直すことにより、速やかに常設の統合司令部を創設します。また、サイバー領域における更なる能力向上のため、自衛隊サイバー防衛隊などを大幅に拡充します。

陸自については、南西地域における防衛体制を強化するため、沖縄県に所在する第15旅団の師団への改編を計画しており、現在の1個普通科連隊を2個普通科連隊に増強することなどを検討しています。また、スタンド・オフ防衛能力を強化するため、12式地対艦誘導弾能力向上型を始めとする各種スタンド・オフ・ミサイルを装備した部隊を配備します。

海自については、今後、主として平素における警戒監視に対応する哨戒艦が導入されるほか、護衛艦としての機能と掃海機能を有する護衛艦(FFM)が増加することを踏まえ、護衛艦、掃海艦艇及び哨戒艦を同一部隊で管理する「水上艦艇部隊」を編制します。また、海自の情報戦にかかる能力を有機的に融合するために、既存の部隊編成を見直したうえで、海自情報戦基幹部隊を創設します。

空自については、F-35の取得ペースの加速並びにF-15及びF-2の能力向上を推進するとともに、更なる戦闘機の増勢を検討します。この際、無人機の活用可能性についても調査を行います。また、高烈度化する各種航空作戦において粘り強く戦闘を継続するため、機動分散運用を行う体制を構築します。加えて、宇宙領域の重要性の高まりと、宇宙作戦能力の質的・量的強化に鑑み、宇宙領域専門部隊を新編するとともに、航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改称することとしています。

※①スタンド・オフ防衛能力、②統合防空ミサイル防衛能力、③無人アセット防衛能力、④領域横断作戦能力、⑤指揮統制・情報関連機能、⑥機動展開能力・国民保護、⑦持続性・強靱性