陸上自衛隊第39普通科連隊長(青森県弘前市)
1等陸佐 木原 邦洋(きはら くにひろ)(現所属:教育訓練研究本部)
令和元(2019)年度、富士トレーニングセンター(FTC)での訓練で大きな戦果をあげ、また、米国本土で実施した米陸軍統合即応トレーニングセンター(JRTC)での日米共同訓練に参加した、第39普通科連隊にとって、北海道トレーニングセンター(HTC)での訓練は、その集大成となるものでした。各訓練には、それぞれ目的や狙いに基づき厳しい訓練環境が設定されていましたが、「戦場」という意味では、HTCでの訓練は最も過酷な環境でした。訓練期間は、準備や約1,000kmの長距離機動を含めると約1か月、敵と戦闘する期間は9夜10日にわたり、訓練間の状況は途切れることなく続きました。遊撃活動や情報収集を任務とする隊員は、水や食料が無くなりながらも任務を継続しました。
障害設置を行う隊員の様子
訓練は対抗方式で行われ、相手の部隊は、陸上自衛隊唯一の機甲師団の部隊でした。あれほど沢山の戦車や装甲車と対峙するのは初めての経験であり、轟音とともに攻撃する迫力や不整地を前進する能力は、日頃の訓練とは比べ物にならず、若い隊員は、震えながらも必死に対戦車火器を構え、配属された協同部隊も装備上の不利がある中においても、第39普通科連隊と共に全力で戦ってくれました。
これらHTCでしか経験できない訓練を通じて、連隊はさらなる精強な部隊を目指すための「本物の指標」を得ました。今回の運営の教訓が、今後の運営に反映され、陸上自衛隊全体がさらに精強になることを確信しています。
敵に応戦する機関銃手の様子