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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

➋ 各国との防衛協力・交流の推進

安全保障分野での協力・交流を推進するに際しては、地域の特性、相手国の実情やわが国との関係なども踏まえつつ、最適な手段を組み合わせた二国間での防衛協力・交流が重要となる。

1 オーストラリア
(1)オーストラリアとの防衛協力・交流の意義など

オーストラリアは、ともに米国の同盟国として、普遍的価値2のみならず安全保障上の戦略的利益を共有するわが国にとって、インド太平洋地域の「特別な戦略的パートナー」である。特に近年、両国はインド太平洋地域において責任ある国として、災害救援や人道支援活動などの分野を中心とした相互協力や、能力構築支援に関する協力を強化している。

日豪防衛協力の深化を背景に、日豪両国は、07(平成19)年3月、わが国にとっては米国以外で初の安全保障に特化した共同宣言である「安全保障協力に関する日豪共同宣言」を発表したほか、これまでにACSAや日豪情報保護協定、日豪防衛装備品・技術移転協定といった協力の基盤を整備してきている。

日豪ACSA3については、両国の防衛協力・交流のさらなる進展などにより自衛隊が豪軍と共に活動するケースが拡大していることやわが国における平和安全法制の整備を踏まえ、17(平成29)年1月、物品又は役務の提供が可能な場面などを拡大する新たな協定の署名が行われ、同年4月の国会承認を経て同年9月に発効した。これにあわせて関連する国内法令も整備された。

地域における平和と安定の維持に共に貢献する意思と能力を兼ね備えた「特別な戦略的パートナー」であるオーストラリアとは今後とも引き続き協力関係を深めていくこととしている。

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

19(令和元)年11月、河野防衛大臣は、レイノルズ国防大臣との間で日豪防衛相会談を実施した。同会談において両大臣は、インド太平洋地域の安全保障にかかる力学がさらに困難なものになる中、日豪協力のさらなる強化が戦略的必然であることを強調し、特別な戦略的パートナーシップを深化させ、自由で、開かれた、包摂的で、繁栄するインド太平洋地域への貢献を目的とすることとし、今後数年において、部隊交流、人的交流、宇宙・サイバー及び防衛科学技術を含む分野における防衛協力を加速させること、共同運用と訓練を円滑化すべく、行政的、政策的及び法的手続を相互に改善する相互訪問に関する協定の交渉の妥結に向け引き続き尽力することを確認した。また、能力構築支援、海洋安全保障及び人道支援・災害緊急援助を含む分野においてインド太平洋地域におけるパートナーとの防衛及び安全保障協力を強化するため、日豪で共に活動する決意を表明した。さらに、南シナ海、東シナ海及び北朝鮮を含む地域情勢について意見を交換し、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄を達成するために尽力することに引き続きコミットするとともに、国連安保理で禁止されている北朝鮮籍船舶に対する又は北朝鮮籍船舶からの洋上での物資の積替え(「瀬取り」)対策を含む北朝鮮問題に関する両国間の連携を確認した。

豪国防大臣と会談する河野防衛大臣(19(令和元)年11月)

豪国防大臣と会談する河野防衛大臣(19(令和元)年11月)

また、同年10月及び12月、河野防衛大臣は、レイノルズ国防大臣との間で計3度の電話会談を行い、インド太平洋地域が様々な課題に直面するなか、普遍的価値や安全保障分野での戦略的利益を共有するオーストラリアとの防衛協力は、かつてなく重要であり、引き続き日豪両国間の特別な戦略的パートナーシップを深化させるため緊密に協力していくことで一致するとともに、両大臣は、二国間の防衛交流や両国を取り巻く安全保障情勢などについて意見交換を行ったほか、中東地域における日本関係船舶の安全確保のための自衛隊による情報収集活動について説明した。

軍種間の主な協力・交流として、19(令和元)年11月、統幕長は、キャンベル国軍司令官と懇談し、FOIPのもと、自衛隊と豪軍との防衛協力・交流の推進について確認した。海自は、同年9月及び10月、日豪共同訓練「日豪トライデント」を実施し、戦術技量の向上及び豪海軍との連携強化を図った。空自は、同年9月から10月にかけて、千歳基地などにおいて国内では初となる戦闘機による日豪共同訓練「武士道ガーディアン19」を実施し、戦術技量の向上及び相互運用性の向上並びに防衛協力の深化を図った。また、同月には豪州空軍KC-30Aが小牧基地に初めて寄航し、日豪空中給油・輸送機部隊間交流を実施したほか、同年11月には、豪統合作戦本部長が航空総隊司令部を訪問し、航空総隊司令官との間で、地域情勢、防衛協力・交流などについて意見交換を実施した。

20(令和2)年1月から2月にかけて、オーストラリアでの森林火災を受け、空自は、国際緊急援助活動として2機のC-130Hを派遣した。

参照資料33(最近の日豪防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間))

動画アイコンQRコード動画:日豪共同訓練「武士道ガーディアン」
URL:https://youtu.be/TxKXkRFk5Rw(別ウィンドウ)

(3)日米豪の協力関係など

わが国とオーストラリアは、ともに米国の同盟国であると同時に、普遍的価値を共有しており、インド太平洋地域及び国際社会が直面する様々な課題の解決のため、緊密に協力している。このような協力を効果的・効率的なものとするためには、地域の平和と安定のために不可欠な存在である米国を含めた日米豪3か国による協力を積極的に推進することが重要である。

07(平成19)年4月以降、計10回にわたって、3か国局長級会合である日米豪安全保障・防衛協力会合(SDCF:Security and Defense Cooperation Forum)が行われている。

また、19(令和元)年6月、シャングリラ会合において、日米豪3か国防衛相会談を実施し、インド太平洋における3か国協力に関する共通の長期的ビジョンを明確化する戦略アクション・アジェンダに合意、公表した。

軍種間の主な交流として、19(令和元)年8月、陸幕長は、ハワイにおいて日米豪シニア・リーダーズ・セミナーに参加して米太平洋陸軍、米太平洋海兵隊及び豪陸軍のトップとの間で意見を交換し、インド太平洋地域の平和と安定のために平素から協力、連携していくことで認識を共有した。海自は、同年11月、日向灘において、米豪掃海艦艇計3隻と共に日米豪共同訓練(掃海特別訓練)を実施した。空自は、同年12月、ミクロネシア連邦などにおける人道支援・災害救援共同訓練「クリスマス・ドロップ」を実施し、航空輸送、物料梱包及び物料投下訓練を実施した。また、20(令和2)年2月から3月にかけて、日米豪共同訓練及び日米豪人道支援・災害救援共同訓練「コープ・ノース」を共催した。

このように、日米豪3か国間での様々な機会を通じて、相互理解及び相互運用性を高める努力を続けている。また、日米豪印での防衛協力も追求していくこととしている。

日米豪共同訓練(掃海特別訓練)中の掃海母艦「うらが」に横付け中の豪海軍「ディアマンティナ」(19(令和元)年11月)

日米豪共同訓練(掃海特別訓練)中の掃海母艦「うらが」に横付け中の
豪海軍「ディアマンティナ」(19(令和元)年11月)

2 インド

参照資料34(最近の日印防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間)

(1)インドとの防衛協力・交流の意義など

インドは、世界第2位の人口と、高い経済成長や潜在的経済力を背景に影響力を増しており、わが国と中東、アフリカを結ぶシーレーン上のほぼ中央に位置するなど、極めて重要な国である。また、インドとわが国は、普遍的価値を共有するとともに、アジア及び世界の平和と安定、繁栄に共通の利益を有しており、特別な戦略的グローバル・パートナーシップを構築している。このため、日印両国は「2+2」などの枠組みも活用しつつ、海洋安全保障をはじめとする幅広い分野において協力を推進している。

日印間の防衛協力・交流は、08(平成20)年10月に「日印間の安全保障協力に関する共同宣言」が署名されて以来着実に深化し、防衛大臣などの各レベルでの協議や、二国間及び多国間の訓練を含む軍種間交流などが定期的に行われている。14(平成26)年9月には日印防衛協力及び交流の覚書が、15(平成27)年12月には日印防衛協力・交流の制度上の基礎をさらに整備する日印防衛装備品・技術移転協定及び日印秘密軍事情報保護協定がそれぞれ署名され、また、18(平成30)年10月には、日印物品役務相互提供協定(日印ACSA)の交渉開始に合意し、地域やグローバルな課題に対応できるパートナーとしての関係とその基盤が強化されている。

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

19(令和元)年9月、岩屋防衛大臣(当時)は、シン国防大臣との間で日印防衛相会談を実施した。同会談において両大臣は、日本とインドの間の戦略面及び防衛面での協力をさらに進化させることで一致するとともに、インド太平洋地域の平和と繁栄に向けて協力を推進するために初めてとなる日印外務・防衛閣僚会合「2+2」を実施する意向を確認した。また、18(平成30)年末までに全ての軍種間で共同訓練が実施されたことを含め、日印防衛当局間のあらゆるレベルで定期的に交流が行われていることを歓迎し、全ての軍種間で一層具体的な協力を目指し、防衛協力・交流を推進することで一致した。

19(令和元)年11月には、防衛相会談及び日印間で初となる第1回外務・防衛閣僚会合「2+2」を開催した。河野防衛大臣、茂木外務大臣、シン国防大臣、ジャイシャンカル外務大臣の4大臣は、会合において新たな安全保障上の課題の認識を共有し、08(平成20)年の「安全保障協力に関する共同宣言」及びこれに基づく安全保障協力を促進するための09(平成21)年の「行動計画」に基づく二国間の安全保障協力を進めることに対するコミットメントを改めて表明した。また、防衛当局間の日印共同訓練を定期的に実施してさらに拡充するために継続的な努力を行うことで一致し、日本における初の日印戦闘機共同訓練に向けた調整を進めることで一致した。また、海自とインド海軍の間の協力の深化に係る実施取決めに基づき、情報交換が開始されたことを評価した。日印ACSAについては、締結に向けた交渉の大幅な進展を歓迎し、早期の交渉妥結を目指すことで一致した。防衛装備・技術協力に関しては、事務レベル協議での生産的な議論に期待を表明するとともに、多国間協力や地域情勢についても意見交換を行った。第1回会合を踏まえ、意見交換を継続していくことの重要性について認識を共有し、次回の閣僚級「2+2」を東京で開催することを決定した。また、19(令和元)年10月及び20(令和2)年1月、河野防衛大臣はシン国防大臣との間で電話会談を行い、インド太平洋地域の情勢等について意見交換を行った。

日印「2+2」(19(令和元)年11月)

日印「2+2」(19(令和元)年11月)

防衛装備・技術協力においては、18(平成30)年7月から「UGV4/ロボティクスのための画像による位置推定技術に係る共同研究」を継続している。さらなる案件の具体化に向け、17(平成29)年9月及び19(平成31)年2月の2回の日印・官民防衛産業フォーラムを開催した。

軍種間の主な交流については、20(令和2)年1月、統幕長が多国間フォーラム「ライシナ・ダイアローグ2020」参加のため訪印し、シン国防大臣を表敬するとともに、同月に初代国軍参謀長に就任したラワット陸軍大将との間で初となる会談を実施した。会談においては、日印の地域情勢・安全保障環境に関して認識を共有するとともに、防衛協力・交流の深化について意見交換を実施した。19(令和元)年10月には、陸幕長が訪印し、また、同年12月にはラワット陸軍参謀長(当時)が訪日したことにより日印陸軍種トップ間の年内相互訪問を実現させた。また、20(令和2)年2月には、海幕長がインドを訪問し、海軍種の協力・交流や地域情勢について、幅広い意見交換を実施した。

演習・訓練などを通じた軍種間の交流も実施しており、19(令和元)年10月から11月にかけて、インド陸軍との実動訓練「ダルマ・ガーディアン19」を、同年10月にはインド空軍との共同訓練「シンユウ・マイトゥリ19」を実施した。

インド陸軍参謀長と会談する湯浅陸幕長(19(令和元)年10月)

インド陸軍参謀長と会談する湯浅陸幕長(19(令和元)年10月)

実動訓練「ダルマ・ガーディアン19」においてインド陸軍と連携する陸自隊員(19(令和元)年10月)

実動訓練「ダルマ・ガーディアン19」においてインド陸軍と連携する
陸自隊員(19(令和元)年10月)

日米印3か国では、17(平成29)年より海軍種の日米印共同訓練「マラバール」を実施しており、19(令和元)年9月には、「マラバール2019」を日本近海で主催するなど、日米印での協力を推進している。

また、18(平成30)年11月、初の日米印首脳会合が開催されたのに引き続き、19(令和元)年6月には第2回日米印首脳会談が開催された。同会談において3か国首脳は、複雑化する安全保障環境について認識を共有しつつ、FOIPの維持・推進における3か国の協力が極めて重要な意義を有することを確認した。また、海洋安全保障、宇宙・サイバー空間を含む様々な分野で協力を推進していくことで一致した。

3 東南アジア(ASEAN)諸国

高い経済成長を続け、「世界の開かれた成長センター」としての潜在力を世界各国から注目されているASEAN(Association of South-East Asian Nations)諸国とわが国は、50年近くに及ぶ交流の歴史と密接な経済関係を有する伝統的パートナーである。

わが国のシーレーンの要衝を占める戦略的に重要な地域に位置するASEAN諸国は、わが国及び地域全体の平和と繁栄の確保においても重要な役割を果たしており、地域協力の要となるASEANの中心性・一体性・強靭性の強化の動きを支援しつつ、ASEAN諸国との間で安全保障・防衛分野における協力を強化し、信頼関係を増進することは重要である。

このような考えに基づき、ASEAN諸国との間では、ハイレベル・実務レベル交流を通じた信頼醸成及び相互理解の促進を行うとともに、能力構築支援、共同訓練、防衛装備・技術協力などの実質的な協力を推進している。また、ASEAN諸国との二国間協力に加え、拡大ASEAN国防相会議(ADMM(ASEAN Defence Ministers' Meeting)プラス)やASEAN地域フォーラム(ARF:ASEAN Regional Forum)といった多国間の枠組みでの協力も強化しており、16(平成28)年11月の第2回日ASEAN防衛担当大臣会合で今後の日ASEAN防衛協力の指針として表明した「ビエンチャン・ビジョン」は、ASEAN全体への防衛協力の方向性について、透明性をもって重点分野の全体像を初めて示したものであった。また、19(令和元)年11月、タイで開催された第5回日ASEAN防衛担当大臣会合において、河野防衛大臣は「ビエンチャン・ビジョン」のアップデート版である「ビエンチャン・ビジョン2.0」を発表し、ASEAN側の大臣から歓迎の意が示された。

防衛省としては、こうした二国間・多国間の協力を積極的に促進し、インド太平洋地域の安全保障環境を安定化させる観点から、ASEAN諸国との防衛協力・交流の強化を図ることとしている。

参照本章1節3項(多国間における安全保障協力の推進)
本章1節4項(能力構築支援への積極的かつ戦略的な取組)
資料35(最近のASEAN諸国との防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間))
資料47(ビエンチャン・ビジョン2.0)

動画アイコンQRコード動画:日ASEAN乗艦協力プログラム「ビエンチャン・ビジョン」に基づく事業
URL:https://youtu.be/Mm9w7Y0B1i0(別ウィンドウ)

(1)インドネシア

インドネシアとの間では、防衛分野においてもわが国と活発な協力・交流が行われており、15(平成27)年3月の日インドネシア首脳会談において、安倍内閣総理大臣とジョコ大統領は、海洋と民主主義に支えられた戦略的パートナーシップの強化で一致し、日インドネシア「2+2」を開催することについて再確認した。同年12月に東京で初めて開催された同会合では、防衛装備品・技術移転協定の交渉の開始、多国間共同訓練「コモド2016」への積極的な参加、能力構築支援を進展させることなどで合意した。17(平成29)年1月の日インドネシア首脳会議の際に発出された共同声明では、日インドネシア「2+2」の定期開催や外務・防衛当局間協議の開催を含め、外務・防衛当局間の様々なレベルで対話を継続することの重要性が確認された。

19(令和元)年11月、河野防衛大臣は、タイで開催された第6回ADMMプラスに際してプラボウォ国防大臣と会談した。会談においては、艦艇、航空機の寄港・寄航、多国間共同訓練「コモド」への自衛隊参加などの協力を進めていきたい意向を示したことに対し、プラボウォ国防大臣からは、これらを歓迎する旨述べられた。両大臣は、これらの協力を含め、防衛協力を幅広い分野で一層強化していくことで一致した。また、同年12月、河野防衛大臣は、再び、プラボウォ国防大臣との間で会談した。会談において両大臣は、両国の国防政策、地域情勢について意見交換するとともに両国共通の課題である人道支援・災害救援(HA/DR:Humanitarian Assistance/Disaster Relief)の協力を進めること、教育分野での人的交流を引き続き進めていくことで一致した。

また、実務レベルでも、外務・防衛当局間協議、防衛当局間協議、各種教育・研究交流などの各種交流が行われている。

能力構築支援においては、19(令和元)年5月、インドネシアに対するHA/DRの能力構築支援事業を開始し、首都ジャカルタで同国軍関係者約100名に対してHA/DRセミナーを開催した。同セミナーにおいて、自衛隊の各種災害対処にかかわる知見を紹介し、自衛隊の能力について理解を獲得するとともに、インドネシア国軍の災害対処能力向上の促進を図った。

(2)ベトナム

約9千万の人口を擁する南シナ海の沿岸国であるベトナムとの間では、防衛当局間の協力・交流が進展している。14(平成26)年3月の日ベトナム首脳会談においては、両国関係を「広範な戦略的パートナーシップ」へと発展させることが合意され、また、18(平成30)年5月の日ベトナム首脳会談においては、安全保障及び防衛分野における協力を強化することが確認された。

同年4月の日ベトナム防衛相会談では、両国の今後の防衛協力をさらに推進すべく、「防衛協力に関する日ベトナム共同ビジョン(日越共同ビジョン)」に署名した。また、地域情勢について意見交換を行うとともに、南シナ海情勢に関して、軍事化を含む、現状変更の一方的行動の自制を求めるとともに、国際法に基づいた紛争の平和的解決、実効的な南シナ海における行動規範の早期妥結の重要性について一致した。

19(令和元)年5月には、岩屋防衛大臣(当時)が防衛大臣として約3年半ぶりにベトナムを訪問し、リック国防大臣との日ベトナム防衛相会談、フック首相への表敬及びナム海軍司令官との意見交換を実施した。防衛相会談では、18(平成30)年に発出した共同ビジョンを踏まえ、幅広い分野で日ベトナム防衛協力を進めていく方針を共有した。また地域情勢について、北朝鮮の非核化に向けて連携することで一致するとともに、南シナ海における一方的な現状変更及びその既成事実化に対する懸念を共有し、両国で連携していくことで一致した。加えて、防衛産業間協力の促進に係る覚書に日ベトナム防衛当局間の次官級で署名し、本覚書に基づき、両国の防衛装備・技術協力の促進を図ることで一致した。また、19(令和元)年7月の日越首脳ワーキングランチにおいて、防衛装備品・技術移転協定の正式交渉を開始することで一致した。同年11月には、防衛審議官がベトナムを訪問し、リック国防大臣への表敬及びヴィン国防次官との次官級協議を行い、地域情勢や両国の防衛協力・交流に関する意見交換を行った。また、ADMMプラスの枠組みで行われている専門家会合(EWG:Experts' Working Group)においては、20(令和2)年から23(令和5)年までの間、わが国とベトナムがPKO分野の共同議長国を務めることとなっている。

軍種間の主な交流については、20(令和2)年3月、統幕長がベトナムを訪問し、リック国防大臣を表敬したほか、ザン総参謀長と会談を行い、日越共同ビジョンに基づく防衛協力・交流の促進について合意するとともに、地域を取り巻く安全保障環境について認識を共有した。また、19(令和元)年7月、ズン陸軍軍事科学学院長以下4名が陸自情報学校を訪問、同年10月には、インド陸軍との実動訓練「ダルマ・ガーディアン19」に参加した陸自及び空自隊員がダナンの部隊を訪問して交流を深めた。同年12月には、海幕長がベトナムを訪問し、ナム海軍司令官と会談を行い、海軍種間の関係強化について認識を共有した。

能力構築支援においては、空自が19(令和元)年8月、ハノイにおいて、ベトナム人民軍サイバーセキュリティ要員18名に対し、過去2回実施したサイバーセキュリティ教育内容の定着度を確認することを目的にフォローアップセミナーを実施した。また、同年12月、ダナン入港中の掃海母艦「ぶんご」艦上において、ベトナム人民海軍約30名に対し、海自の水中不発弾処分に関するワークショップを開催した。参加者は、同艦乗員から海自の水中不発弾処分の体制、海自水中処分員の処分手順の説明を受け、また、同艦内各種装備の研修を実施した。

今後も、防衛協力・交流の覚書などを基礎として、より具体的・実務的な協力を実現すべく、関係を強化することが重要である。

(3)シンガポール

シンガポールは09(平成21)年12月、東南アジア諸国の中で、わが国との間で最初に防衛交流に関する覚書に署名した国である。この間、覚書に基づき寄港を含めた協力関係が着実に進展している。また、シンガポールとの間では、定期的に防衛当局間協議を行っており、これまで15回の開催実績があるほか、英国国際戦略研究所(IISS:the International Institute for Strategic Studies)が主催するシャングリラ会合には、ほぼ毎年防衛大臣が参加し、わが国の安全保障政策について説明するなど、ハイレベル交流も活発に行われている。19(令和元)年11月には、河野防衛大臣は、第6回ADMMプラスに際してウン国防大臣と会談を行った。両大臣は、「ビエンチャン・ビジョン2.0」に基づき、ハイレベル交流や艦艇・航空機の寄港・寄航などの協力を進めていくとともに、北朝鮮や南シナ海などの地域情勢について意見交換を行い、協力を進めていくことで一致した。このほか、20(令和2)年2月、防衛審議官がシンガポールを訪問し、チャン国防次官との会談を行い、地域情勢や両国の防衛協力・交流に関する意見交換を行った。

軍種間の主な交流については、19(令和元)年7月、コー陸軍司令部訓練参謀部長を団長とする代表団が訪日し、第12回日シンガポール幕僚懇談を実施して、今後の陸軍種間交流の具体化を図った。また、海軍種間では、海賊対処行動部隊が、19(令和元)年中だけでも、進出・帰投時に4回のシンガポールへの寄港・寄航を行った。同年5月には、インド太平洋方面派遣訓練に従事中の護衛艦「いずも」及び「むらさめ」が、ADMMプラス海洋安全保障実動訓練を実施しつつシンガポールに寄港し、同地で開催中であった国際海洋防衛装備展示会(IMDEX Asia 2019)に参加したほか、艦上レセプションや親善訓練を実施した。さらに、これら護衛艦の寄港に合わせて海幕長がシンガポールを訪問し、IMDEX Asia 2019において講演するなどした。同年10月には、空幕長がシンガポールを訪問し、コン空軍司令官と懇談して軍種間の防衛及び安全保障に関する意見交換を行った。そのほか、国連PKOや海賊対処活動などの国際協力業務遂行に際した寄港や軍種間交流も積極的に行われている。

シンガポール空軍司令官と懇談する丸茂空幕長(19(令和元)年10月)

シンガポール空軍司令官と懇談する丸茂空幕長(19(令和元)年10月)

(4)フィリピン

南シナ海の沿岸国であり、米国の同盟国でもあるフィリピンとの間では、ハイレベル交流のほか、艦艇の訪問や防衛当局間協議をはじめとする実務者交流、軍種間交流が頻繁に行われている。15(平成27)年1月の中谷防衛大臣とガズミン国防大臣(いずれも当時)との日比防衛相会談では、日比防衛協力・交流に関する覚書の署名が行われ、防衛相会談・次官級協議の定期的な実施、統幕長をはじめとする各幕僚長とフィリピン国軍司令官及び各軍司令官の間の相互訪問、訓練・演習への参加のほか、海洋安全保障をはじめとする非伝統的安全保障分野における協力を実施することとした。

また、同年11月の安倍内閣総理大臣とアキノ大統領(当時)との日比首脳会談では、防衛装備品・技術移転協定について大筋合意に達し、16(平成28)年2月に同協定が署名された。

さらに、16(平成28)年9月の日比首脳会談において、安倍内閣総理大臣とドゥテルテ大統領はHA/DR、輸送及び海洋状況把握にかかるフィリピンの能力向上を図るため、海自TC-90練習機の移転などについて合意し、17(平成29)年3月には2機、18(平成30)年3月には3機を引き渡し、フィリピン海軍へ計5機のTC-90の移転が完了した。

また、18(平成30)年6月のシャングリラ会合で行われた小野寺防衛大臣(当時)とロレンザーナ国防大臣との日比防衛相会談において、陸自で不用となったUH-1Hの部品などのフィリピン空軍への無償譲渡が確認され、19(平成31)年3月から部品などの引渡しを開始し、同(令和元)年9月に引渡しを完了した。

同(平成31)年4月、岩屋防衛大臣(当時)とロレンザーナ国防大臣との日比防衛相会談において、両大臣は、TC-90及びUH-1Hの部品などの無償譲渡などの協力が順調に進展しており、このような協力が、フィリピンのHA/DRや警戒監視能力の向上に貢献していることを歓迎した。また、艦艇の寄港をはじめとする日比防衛協力が幅広い分野で進展していることを確認し、今後も防衛協力を一層強化していくことで一致した。

17(平成29)年6月の護衛艦「いずも」への乗艦に続き、18(平成30)年9月、インド太平洋方面派遣訓練のためスービック港に寄港中の護衛艦「かが」にドゥテルテ大統領が乗艦し、大野防衛大臣政務官(当時)と日フィリピンの二国間関係について意見交換を実施するなど、ハイレベル交流も深化している。また、19(令和元)年11月には、河野防衛大臣は、第6回ADMMプラスに際してロレンザーナ国防大臣と会談を行った。河野防衛大臣は、「ビエンチャン・ビジョン2.0」に基づき、艦艇・航空機の寄港・寄航、米比共同訓練への自衛隊参加を含む日米比三カ国協力の推進、ハイレベル交流を含む人的交流、防衛装備・技術協力などの協力を進めていきたい意向を示したことに対し、ロレンザーナ国防大臣からこれらを歓迎する旨述べられた。両大臣は、これらの協力を含め、防衛協力を幅広い分野で一層強化していくことで一致した。また、19(令和元)年11月には、防衛審議官がフィリピンを訪問し、ルナ国防次官との次官級協議を行い、地域情勢や両国の防衛協力・交流に関する意見交換を行った。

ADMMプラスにおいてフィリピン国防大臣と会談する河野防衛大臣(19(令和元)年11月)

ADMMプラスにおいてフィリピン国防大臣と会談する
河野防衛大臣(19(令和元)年11月)

軍種間の主な協力・交流については、19(令和元)年12月、統幕長が防衛省においてクレメント参謀総長(当時)と懇談し、FOIPの推進及び両国の防衛協力・交流の重要性について再確認した。同年10月、陸自水陸機動団などは、米比共同訓練「カマンダグ19」に参加し、国際緊急援助隊派遣時におけるHA/DRにかかる能力の向上を図るとともに日米及び日比防衛協力の強化を図った。同年9月、護衛艦「あさぎり」は、フィリピンのスービック港及び同周辺海空域において、フィリピン海軍との共同訓練を実施し、戦術技量の向上、相互理解及び信頼関係の促進を図った。同年10月には、米比共同訓練「サマサマ」に哨戒機P-3C2機が初参加し、日米比海軍種間の連携強化を図った。同年7月、空自航空支援集団は、C-1による国外運航訓練を実施し、フィリピンのベニト・エブエン空軍基地などにおいて運行要員の国外任務遂行能力の向上を図るとともに、フィリピン空軍との部隊間交流を実施した。

米比共同訓練「カマンダグ19」において諸外国軍と調整する陸自隊員(19(令和元)年10月)

米比共同訓練「カマンダグ19」において
諸外国軍と調整する陸自隊員(19(令和元)年10月)

能力構築支援においては、19(令和元)年7月、海自インド太平洋方面派遣訓練におけるフィリピンへの護衛艦の寄港に合わせ、HA/DRに係るセミナーを実施した。

参照IV部2章5節3項(新たな防衛装備・技術協力の構築)

(5)タイ

タイとの間では、早くから防衛駐在官の派遣や防衛当局間協議を開始するなど、伝統的に良好な関係のもと、防衛協力・交流の長い歴史を有している。また、防衛大学校への留学生の受入れについては、1958(昭和33)年に初めて外国人留学生として受け入れたのがタイ人学生であり、その累計受入れ数も最多である。

また、防衛省・自衛隊は、05(平成17)年から米タイ共催の多国間共同訓練「コブラ・ゴールド」に継続的に参加しており、20(令和2)年においても、多国間共同訓練「コブラ・ゴールド20」に参加して、在外邦人等の保護措置に関する訓練を実施し、統合運用能力の向上を図った。

また、19(令和元)年11月には、河野防衛大臣は、第6回ADMMプラスに際してプラユット首相兼国防大臣と会談を行った。会談において河野防衛大臣は、艦艇・航空機の寄港・寄航、多国間共同訓練「コブラ・ゴールド」への参加、政策協議の実施などの協力を進めていきたい意向を示したことに対し、プラユット首相兼国防大臣からは、これらを歓迎する旨述べられた。両大臣は、日タイ防衛協力・交流に関する覚書への両大臣による署名を踏まえ、防衛協力を幅広い分野で一層強化していくことで一致した。20(令和2)年2月から3月には、防衛審議官がタイを訪問し、「コブラ・ゴールド20」を視察するとともに、国防省政策企画局長との懇談を行い、地域情勢や両国の防衛協力・交流に関する意見交換を行った。

軍種間の主な交流については、20(令和2)年3月、統幕長がタイ王国を訪問し、「コブラ・ゴールド20」を視察するとともに、シャイシャン国防副大臣への表敬及びポンピパット国軍司令官との会談を行い、地域情勢や両国の防衛協力・交流の強化について認識を共有した。陸軍種間では、19(令和元)年8月、第2回目となる日タイ幕僚懇談を実施し、今後の陸軍種間交流の具体化を図った。

能力構築支援においては、16(平成28)年以降、飛行安全及び国際航空法分野におけるセミナーなどを実施しており、18(平成30)年3月にはタイ軍に対し、UNMISS司令部の特性、施設任務などの留意事項などについてセミナーを実施した。また、同年6月には陸自施設部隊がUNMISS撤収時に無償で国連に譲渡した浄水装置の維持・管理要領の研修を実施し、タイ軍のPKO派遣準備を支援した。19(平成31)年3月には、空自が飛行安全分野における能力構築支援を実施した。

動画アイコンQRコード動画:多国間共同訓練「コブラ・ゴールド20」
URL:https://youtu.be/-NSkcCEd5Ag(別ウィンドウ)

(6)カンボジア

カンボジアは、92(平成4)年にわが国として初めて国連PKOに自衛隊を派遣した国である。また、13(平成25)年から能力構築支援を開始するなど、両国間での防衛協力・交流は着実に進展している。同年12月の日カンボジア首脳会談において、両国関係は戦略的パートナーシップへと格上げされ、会談後、小野寺防衛大臣(当時)は日カンボジア防衛協力・交流の覚書に署名を行った。17(平成29)年9月、小野寺防衛大臣(当時)はティア・バニュ副首相兼国防大臣と会談し、地域情勢について意見交換を行うとともに、日カンボジア防衛協力が能力構築支援や軍種間交流など幅広い分野で進展していることを高く評価した。

軍種間の主な交流については、20(令和2)年2月、陸幕長がカンボジアを訪問し、フン・セン首相、ティア・バニュ副首相兼国防大臣及びボン・ピセン王国軍総司令官への表敬並びにフン・マネット陸軍司令官との会談を行い、地域情勢や両国の防衛協力・交流の推進について認識を共有した。

能力構築支援においては、17(平成29)年7月、18(平成30)年5月及び19(令和元)年6月から7月にかけて、陸自がカンボジア軍工兵部隊に対して、施設活動(測量教官の育成)に関する教育を実施し、19(令和元)年7月の修了式には防衛審議官が参加するなど協力強化に取り組んできた。防衛審議官は、同修了式への参加にあわせ、ティア・バニュ副首相兼国防大臣への表敬及びニアン・パート国防長官との会談を行い、地域情勢や両国の防衛協力・交流に関する意見交換を行った。

カンボジア陸軍司令官と会談する湯浅陸幕長(20(令和2)年2月)

カンボジア陸軍司令官と会談する湯浅陸幕長(20(令和2)年2月)

(7)ミャンマー

ミャンマーとの間では、11(平成23)年3月の民政移管後、事務次官がミャンマーを初訪問したほか、わが国側主催の多国間会議にミャンマーからの参加を得る形で交流を発展させてきた。13(平成25)年11月には、第1回防衛当局間の協議をネーピードーで開催した。14(平成26)年11月には、江渡防衛大臣(当時)が第1回日ASEAN防衛担当大臣会合に出席するため、議長国であったミャンマーを訪問し、その際にウェイ・ルイン国防大臣(当時)と会談し、防衛交流を促進することを確認した。

また、日本財団の主催により、14(平成26)年から始まった「日ミャンマー将官級プログラム」では、同国軍の将官級軍人を招へいし、自衛隊施設の視察が実施されている。19(令和元)年10月にはミン・アウン・フライン国軍司令官が初めて統幕長を訪問し、FOIPのもと、自衛隊とミャンマー軍との防衛協力・交流の推進について確認した。同月、安倍内閣総理大臣は、訪日中の同司令官の表敬を受けた。安倍内閣総理大臣からミャンマー国軍と自衛隊の長い友好の歴史に基づき、今後のさらなる協力の発展に期待する意向を示したことに対し、同司令官から、ミャンマー国軍近代化のため、自衛隊に協力してほしい旨述べられた。また、同年11月、河野防衛大臣は、第6回ADMMプラスに際してセイン・ウィン国防大臣と会談を実施し、防衛協力を幅広い分野で一層強化していくことで一致し、地域情勢について意見交換を行った。

能力構築支援においては、空自が18(平成30)年10月、19(平成31)年1月及び同(令和元)年9月、航空気象分野におけるセミナーを実施し、ミャンマー空軍の気象部隊設立を支援している。また、潜水医学分野においても、18(平成30)年12月、ミャンマー海軍に対してセミナーを実施した。さらに、同年5月からはミャンマー国軍士官学校日本語学科において、日本語教育環境整備支援を開始した。

(8)ラオス

わが国は、14(平成26)年から、ラオスと共にADMMプラスにおけるHA/DR-EWGの共同議長を務め、マルチの枠組みにおける協力を通じ、日ラオス防衛当局間の関係は大きく進展した。16(平成28)年11月には、稲田防衛大臣(当時)がわが国の防衛大臣として初めてラオスを訪問し、チャンサモーン国防大臣との間でハイレベル交流や能力構築支援など、さらなる防衛協力の方策について意見交換を実施し、防衛協力・交流を推進することで一致した。また、防衛当局間の日ラオス防衛協力・交流の覚書への署名についても一致し、18(平成30)年12月、防衛審議官がラオス国防省を訪問し、カムシー国防次官と会談を行った際にも覚書の早期作成に向け協力していくことで一致した。

また、19(令和元)年10月、山本防衛副大臣は、第11回ASEAN防衛当局次官級会合の特別講演者として招へいされていたオンシー国防副大臣と会談した。会談後、「日本国防衛省とラオス国防省との間の防衛協力・交流に関する覚書」への署名が行われ、両副大臣は、今後、覚書に基づき、HA/DRをはじめ幅広い分野で防衛協力を具体化していくことで一致した。

能力構築支援においては、18(平成30)年11月に陸自がラオス陸軍工兵部隊及び衛生部隊に対してHA/DR分野に関する実技教育を実施した。また、19(令和元)年10月にはこれらの部隊を初めて日本に招へいし、災害対応指揮所などでの研修のほか、陸自松本駐屯地において陸自隊員の指導のもと、捜索救援・衛生分野の訓練計画の作成にかかる教育を実施した。さらに、同年11月には、陸自隊員を現地に派遣し、ラオス軍の実施する捜索救助・衛生分野の教育訓練に対して指導を行った。

(9)マレーシア

マレーシアとの間では、18(平成30)年4月、防衛装備品・技術移転協定に署名した。また、同年9月にはモハマド国防大臣(当時)が訪日し、小野寺防衛大臣(当時)とともに日マレーシア防衛協力・交流の覚書に署名した。署名後の防衛相会談では、今後、覚書に基づき、軍種間交流をはじめ幅広い分野で防衛協力を具体化していくことで一致した。また、19(令和元)年12月、河野防衛大臣は、カタールで開催された第19回ドーハ・フォーラムに際してモハマド国防大臣(当時)と会談を行った。会談において河野防衛大臣から、同年11月に発表した「ビエンチャン・ビジョン2.0」に基づき、マレーシアとの防衛協力・交流を一層促進したい意向を示したことに対し、モハマド国防大臣(当時)から、同ビジョンを歓迎する旨述べられた。両大臣は、18(平成30)年4月に日マレーシア間で「防衛装備品・技術移転協定」が締結されたことを踏まえ、今後、防衛装備・技術協力を進めていくとともに教育分野での人的交流を進めていくことで一致した。また、20(令和2)年2月、防衛審議官は、マレーシアを訪問し、リュウ・チン・トン国防副大臣(当時)への表敬を行い、地域情勢や両国の防衛協力・交流に関する意見交換を行った。

軍種間の交流については、19(令和元)年10月、空幕長がマレーシアを訪問し、アフェンディ空軍司令官(当時)との会談を行い、空軍種間の関係強化について意見交換を行った。

能力構築支援においては、19(令和元)年7月、インド太平洋方面派遣訓練におけるマレーシアへの護衛艦の寄港に合わせHA/DRセミナーを実施した。

マレーシア空軍司令官と会談する丸茂空幕長(19(令和元)年10月)

マレーシア空軍司令官と会談する丸茂空幕長(19(令和元)年10月)

(10)ブルネイ

ブルネイとの間では、13(平成25)年8月、同国で開催された第2回ADMMプラスの際、小野寺防衛大臣がヤスミン首相府エネルギー大臣(いずれも当時)と会談を行い、ADMMプラスの取組について意見交換を行った。20(令和2)年3月には、防衛審議官がブルネイを訪問し、ハルビ第2国防大臣への表敬及びシャフリル国防次官との会談を行い、地域情勢や両国の防衛協力・交流に関する意見交換を行った。軍種間の交流については、19(平成31)年2月、海幕長がブルネイを訪問してノラズミ海軍司令官(当時)との会談を行い、艦艇の相互訪問など海軍種間のさらなる関係強化について合意した。また、20(令和2)年2月、防衛審議官がブルネイを訪問して、ハルビ第2国防大臣へ表敬し、二国間防衛協力をさらに発展させていくことで一致した。

4 韓国
(1)韓国との防衛協力・交流の意義など

日韓両国が直面している安全保障上の課題は、北朝鮮の核・ミサイル問題をはじめ、テロ対策や、大規模自然災害への対応、海賊対処、海洋安全保障など、広範かつ複雑なものとなってきている。

他方、日韓防衛当局間にある課題が日韓の防衛協力・交流に影響を及ぼしている。その例として、18(平成30)年10月、韓国主催国際観艦式における海自の自衛艦旗5をめぐる韓国側の対応、同年12月の韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射事案6、日韓GSOMIAに関する対応がある。防衛省・自衛隊としては、こうした懸案について引き続き韓国側に適切な対応を求めていくこととしている。

(2)最近の主要な防衛協力・交流実績など

ア 全般

19(令和元)年11月、河野防衛大臣は、第6回ADMMプラスに際して鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)韓国国防部長官と会談を行い、18(平成30)年来、日韓の間には様々な課題が生じ、両国間の防衛当局間においても非常に厳しい状況が続いているが、両国を取り巻く安全保障環境が大変厳しい状況である中で、日韓・日米韓の連携は極めて重要であり、日韓防衛当局間の意思疎通を継続していく旨を確認した。

イ 日韓GSOMIAについて

日韓の防衛当局間において、14(平成26)年12月に署名した日米韓情報共有に関する防衛当局間取決めに基づき、米国を経由する形で北朝鮮の核・ミサイルに関する秘密情報の交換・共有を行ってきた。一方、北朝鮮により頻繁に繰り返される弾道ミサイルの発射や核実験など、北朝鮮を巡る情勢がさらに深刻化していることを踏まえ、日韓間の協力をさらに進めるべく、16(平成28)年11月、日韓GSOMIAを締結した。これにより、日韓政府間で共有される秘密軍事情報が適切に保護される枠組みが整備された。19(令和元)年8月には、韓国政府から、同協定を終了させる旨の書面による通告があったが、同年11月、韓国政府から、同通告の効力を停止する旨の通告があった7。韓国政府がこのような決定を行ったことに対し、河野防衛大臣から、東アジアの安全保障環境が厳しい中で、日米、日韓及び日米韓の連携が重要であり、そのような状況を韓国側も戦略的に考えた決定と考えている旨をコメントしている。

参照資料36(最近の日韓防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間))

(3)日米韓の協力関係

日米韓3か国は、この地域の平和と安定に関して共通の利益を有しており、機会を捉えて緊密に連携を図っていくことが、北朝鮮問題を含めた様々な安全保障上の課題に対処する上で重要である。

日米韓3か国では、例年、シャングリラ会合に際して日米韓防衛相会談を実施しており、19(令和元)年6月、岩屋防衛大臣はシャナハン米国防長官代行(いずれも当時)及び鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)韓国国防部長官と日米韓3か国防衛相会談を実施し、北朝鮮の完全な非核化を検証可能なかつ不可逆的な方法で求める、全ての関連国連安保理決議に従って、北朝鮮が国際的な義務を完全に遵守することが、国際社会の共通目標であることを確認した。また、北朝鮮による違法な「瀬取り」を抑止し、中断させ、最終的に撲滅するための持続的な国際協力を含む、北朝鮮に関連する国連安保理決議の完全かつ厳格な履行のため、国際社会と連携していくことでも一致した。地域安全保障問題に関しては、航行及び上空飛行の自由が確保されなければならず、全ての紛争は、国際法の原則に従って、平和的手段により解決されるべきであることを再認識し、その上で3か国間の安全保障協力を強化していくことで一致した。また、19(令和元)年11月、河野防衛大臣は、第6回ADMMプラスに際して実施した日米韓防衛相会談において、北朝鮮の完全な非核化及び弾道ミサイルの放棄を検証可能な、かつ、不可逆的な方法で求めるという国際社会の共通目標、安保理決議の完全な履行の重要性、法の支配に基づく秩序の重要性などの共通認識を共有し、情報共有、ハイレベルの政策協議、共同訓練を含む、3か国の安全保障協力を促進することに合意した。

実務レベルでは、日米韓防衛実務者協議(DTT:Defense Trilateral Talks)の枠組みにおける局長級・課長級の協議及びテレビ会議の実施、日米韓参謀総長級会談などを通じて、様々なレベルで緊密に情報共有を図りつつ連携してきている。

20(令和2)年5月には、局長級の全体会合がテレビ会議形式で実施され、北朝鮮情勢を含む地域における安全保障上の課題について議論した。3か国の代表は、北朝鮮に関連する国連安保理決議の完全な履行のため、日米韓3か国及び国際社会との連携が重要であることを確認するとともに、新型コロナウイルスへの各国の対応状況等についても意見交換を行った。

軍種間の交流として、19(令和元)年10月、統幕長が米国を訪問し、日米韓参謀総長級会議に参加した。本会談には、統幕長のほかミリー米統合参謀本部議長、パク韓国合同参謀本部議長などが参加し、北東アジアの平和と安定を促進する観点から日米韓3か国の防衛協力について議論した。また、同年7月、統幕及び陸自化学学校隊員が、釜山において韓国主催の拡散に対する安全保障構想(PSI:Proliferation Security Initiative)訓練「イースタン・エンデバー19」に参加した。同訓練には防衛省・自衛隊のほか外務省、警察庁及び海上保安庁が参加し、大量破壊兵器等の拡散阻止にかかる活動要領の演習などを参加国関係機関と実施し、関係機関との連携強化及び参加国関係機関との相互理解の深化を図った。

今後も様々な機会を活用して、あらゆる分野において日米韓3か国の安全保障協力を強化していくことが求められている。

米統合参謀本部議長、韓国合同参謀本部議長と会談する山崎統幕長(19(令和元)年10月)

米統合参謀本部議長、韓国合同参謀本部議長と会談する
山崎統幕長(19(令和元)年10月)

5 欧州諸国、カナダ及びニュージーランド

欧州諸国、カナダ及びニュージーランドは、わが国と普遍的価値を共有し、また、テロ対策や「瀬取り」対応などの非伝統的安全保障分野や国際平和協力活動を中心に、グローバルな安全保障上の共通課題に取り組むための中核を担っている。そのため、これらの国と防衛協力・交流を進展させることは、わが国がこうした課題に積極的に関与する基盤を提供するものであり、わが国と欧州諸国、カナダ及びニュージーランドの双方にとって重要である。

参照資料37(最近の欧州諸国、カナダ及びニュージーランドとの防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間))

(1)英国

英国は、欧州のみならず世界に影響力を持つ大国であるとともに、わが国と歴史的にも深い関係があり、安全保障面でも米国の重要な同盟国として戦略的利益を共有している。このような観点から、国際平和協力活動、テロ対策、海賊対処などのグローバルな課題における協力や地域情勢などに関する情報交換を通じ、日英間で協力を深めることは、わが国にとって非常に重要である。

英国との間では、12(平成24)年6月に防衛協力のための覚書が取り交わされたのに続き、13(平成25)年7月に防衛装備品・技術移転協定が発効したほか、14(平成26)年1月には日英情報保護協定が発効し、二国間の防衛装備・技術協力及び情報共有の基盤が整備されている。14(平成26)年5月の日英首脳会談において、両首脳は、安全保障分野の協力強化のため、日英「2+2」の開催、ACSAの交渉開始などについて一致した。17(平成29)年1月には、日英ACSA8への署名が行われ、同年4月の国会承認を経て同年8月に発効した。これにあわせて関連する国内法令も整備された。日英ACSAの発効により、共同訓練や大規模災害対処などにおいて、自衛隊と英軍との間で、水・食糧・燃料・輸送などの物品や役務を統一的な手続により相互に融通することが可能となり、日英間の戦略的パートナーシップが一層円滑・強固なものとなった。また、17(平成29)年8月の日英首脳会談の際に発表された「日英安全保障共同宣言」においては、二国間の安全保障協力に関する関係当局間の具体的措置を伴う行動計画を策定することで一致し、19(平成31)年1月の際の日英首脳会談では、同宣言を再確認した上で、日英関係が次の段階に引き上げられたことを確認した。17(平成29)年12月の第3回日英「2+2」においては陸自と英陸軍の共同訓練の実施、英海軍艦艇のインド太平洋地域への展開及び共同訓練の実施や共同による新たな空対空ミサイルの共同研究の進展などが共同声明に盛り込まれた。また、19(令和元)年11月には、河野防衛大臣は、ウォレス国防大臣と電話会談を実施した。両大臣は、二国間の防衛協力・交流や両国を取り巻く安全保障情勢などについて意見交換を行ったほか、河野防衛大臣から中東地域における日本関係船舶の安全確保のための自衛隊による情報収集活動について説明するなど、両国の安全保障協力は着実に深化している。

軍種間の主な交流については、19(令和元)年9月から10月にかけて、陸自中央音楽隊は、英国が豪州で主催する「ロイヤル・エディンバラ・ミリタリー・タトゥ」軍楽祭に参加するパプアニューギニア(PNG:Papua New Guinea)軍楽隊を支援し、同軍楽隊の演奏技術の向上、日英豪PNG軍種間の関係強化及びわが国の国際社会における信頼性の向上に寄与した。また、同年5月には、英陸軍が実施するUNMISS派遣前訓練を支援し、日英陸軍種間でのPKO分野における専門家交流が初めて実現した。また、同年9月から10月にかけて英陸軍との共同訓練「ヴィジラント・アイルズ」を実施し、戦術技量の向上及び英軍との連携強化を図った。海自については、同年10月に英国海軍測量艦HMS「エンタープライズ」との親善訓練を行った。また、同年11月には、海幕長が訪米し、英空母「クイーンエリザベス」艦上において、ギルデイ米海軍作戦本部長及びラダキン英第1海軍卿とともに、海洋秩序を維持し、国際社会をリードする役割を果たすための協力深化の方向性について意見交換を実施し、共同声明を発出した。空自については、20(令和2)年1月、空幕長が英国を訪問し、同国空軍参謀長などと意見交換を実施した。

英海軍測量艦「HMSエンタープライズ」と親善訓練する護衛艦「てるづき」(19(令和元)年10月)

英海軍測量艦「HMSエンタープライズ」と親善訓練する
護衛艦「てるづき」(19(令和元)年10月)

英空母「クイーンエリザベス」艦上において米海軍作戦本部長及び英第1海軍卿と意見交換する山村海幕長(19(令和元)年11月)

英空母「クイーンエリザベス」艦上において米海軍作戦本部長及び
英第1海軍卿と意見交換する山村海幕長(19(令和元)年11月)

(2)フランス

フランスは、欧州やアフリカのみならず、世界に影響力を持つ大国であるとともに、インド洋及び太平洋島嶼部に領土を保有する関係上、インド太平洋地域に常続的な軍事プレゼンスを有する欧州唯一の国であり、わが国と歴史的にも深い関係を持つ特別なパートナーである。

14(平成26)年1月には、パリで第1回日仏「2+2」が開催され、同年7月にはル・ドリアン国防大臣(当時)が訪日し、防衛協力・交流に関する意図表明文書が署名された。15(平成27)年から18(平成30)年の間において4回の「2+2」が開催されており、国際テロ、海洋安全保障、防衛装備・技術協力、日仏ACSA、共同訓練、宇宙分野での協力、途上国の能力構築支援にかかる連携など協議が行われた。

これらを契機として、15(平成27)年3月には日仏防衛装備品・技術移転協定の署名が行われたほか、17(平成29)年3月には、第2回日仏包括的宇宙対話が開催され、「日本国の権限のある当局とフランス共和国国防大臣との間の宇宙状況把握にかかる情報共有に関する技術取決め」に署名した。また、18(平成30)年7月には日仏ACSAへの署名が行われ、19(令和元)年5月の国会承認を経て、同年6月に発効した。

19(平成31)年1月、フランス・ブレストで開催された第5回日仏「2+2」では、共に「海洋国家」かつ「太平洋国家」である両国が、自由で開かれたインド太平洋の維持・強化に向け、具体的な協力を推進し、特に海洋分野での協力を具体化するべく、日仏包括的海洋対話を立ち上げることを決定した。また、次世代機雷探知技術に係る共同研究の開始を歓迎し、インド洋に展開する空母「シャルル・ド・ゴール」との日仏共同訓練や東南アジア諸国や太平洋島嶼国における能力構築支援などの協力を推進するとともに、日仏サイバー協議、日仏包括的宇宙対話を通じてサイバー・宇宙分野での協力を一層強化していくことを確認した。これらのイニシアティブに基づき、19(令和元)年5月、インド洋において空母「シャルル・ド・ゴール」と共に日仏豪米共同訓練「ラ・ペルーズ」を実施した。また、19(令和元)年9月には、第1回日仏包括的海洋対話が開催された。さらに、「瀬取り」を含む違法な海上活動への警戒監視のため、フランスが本年上半期に艦艇及び航空機を派遣することを決定したことを高く評価し、両国が引き続き緊密に連携することを確認した。また、同年11月、河野防衛大臣は、バーレーンで開催された第15回マナーマ対話に際して、また20(令和2)年2月、ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議に際してパルリ軍事大臣と会談を行った。それぞれの会談で、両大臣は、日仏防衛協力が進展していることを歓迎し、来るべき「2+2」の東京開催に向け、緊密に調整していくことを確認するとともに、引き続き、自由で開かれたインド太平洋を推進するパートナーとして、具体的な協力を進めていくことで一致した。

マナーマ対話においてフランス軍事大臣と会談する河野防衛大臣(19(令和元)年11月)

マナーマ対話においてフランス軍事大臣と会談する
河野防衛大臣(19(令和元)年11月)

軍種間における主な交流として、自衛隊は、14(平成26)年からニューカレドニア駐留仏軍主催HA/DR訓練(「赤道」)に参加しており、18(平成30)年8月には海自練習艦隊による仏補給艦「ソンム」とのブレストにおける親善訓練が実施された。同年9月には日仏海軍参謀長間で、今後、太平洋地域のみならずインド洋方面においても協力を強化していくことで一致した「戦略的指針」が署名された。また、19(令和元)年8月には、仏領ポリネシア沖において海自練習艦隊と仏海軍による親善訓練を実施した。さらに、同年6月に実施されたパリ・エアショーにC-2輸送機を初めて参加させるともに、20(令和2)年1月には、空幕長が仏を訪問し、空軍参謀長などと意見交換を実施したほか、同年5月、日仏空軍参謀長間で「戦略的指針」に署名し空軍種間協力を強化していくことで一致した。

(3)カナダ

カナダとの間では、18(平成30)年4月に日加ACSAの署名が行われ、19(令和元)年5月の国会承認を経て、同年7月に発効したほか、これまで、ハイレベル交流や防衛当局間協議などが行われてきた。直近では、18(平成30)年12月に第4回日カナダ次官級「2+2」対話を開催し、日加間での協力をこれまで以上に強化していくことを確認した。

日加修好90周年である19(令和元)年6月、岩屋防衛大臣(当時)は、カナダの国防大臣として13年ぶりに訪日したサージャン国防大臣と3年ぶりの日加防衛相会談を行った。同会談では、日加ACSAの署名や北朝鮮の「瀬取り」に対する警戒監視活動での協力をはじめとする関係の深化を歓迎し、今後も特に海軍種間で様々な機会を捉えて共同訓練などを実施することで一致したほか、平和維持分野の協力の具体化に向けて取り組むことで一致した。また、朝鮮半島や東シナ海・南シナ海を含む地域情勢について意見交換を行った。会談後には、今後の防衛協力の推進に関する具体的な指針となる共同声明を、日加防衛当局間で初めて発表した。20(令和2)年2月には、河野防衛大臣は、第56回ミュンヘン安全保障会議に際してサージャン国防大臣と防衛相会談を実施した。会談では、様々な分野で防衛当局間の協力が進展していることを歓迎するとともに、これまでの協力・交流を振り返り、インド太平洋地域での協力を強化していくことで一致した。

軍種間の主な交流については、19(令和元)年10月に陸幕長が初めてカナダを訪問し、エアー陸軍司令官と会談した。同年6月、護衛艦「いずも」「むらさめ」及び「あけぼの」は、ベトナム沖海空域において、カナダ海軍艦艇「レジャイナ」及び「アステリクス」と日加共同訓練「KAEDEX19-1」を実施した。また、同年10月には、護衛艦「しまかぜ」及び「ちょうかい」は、関東南方海空域において、カナダ海軍艦艇「オタワ」と日加共同訓練「KAEDEX19-2」を実施し、戦術技量の向上及び連携強化を図った。20(令和2)年2月、マインジンガー空軍司令官は、日本を訪問し、空幕長及び航空総隊司令官と懇談を行い、日加防衛当局関係の進展を踏まえ、空軍種間においても協力を強化することで認識を一致させた。

カナダ陸軍司令官と会談する湯浅陸幕長(19(令和元)年10月)

カナダ陸軍司令官と会談する湯浅陸幕長(19(令和元)年10月)

ミュンヘン安全保障会議においてカナダ国防大臣と会談する河野防衛大臣(20(令和2)年2月)

ミュンヘン安全保障会議においてカナダ国防大臣と会談する
河野防衛大臣(20(令和2)年2月)

(4)ニュージーランド

ニュージーランドとの間では、13(平成25)年8月、防衛協力・交流に関する覚書の署名が行われたほか、14(平成26)年7月の日ニュージーランド首脳会談では、ACSAに関する研究を行うことで一致した。また、19(令和元)年9月の日ニュージーランド首脳会談では、情報保護に関する国際約束についての予備協議開始について一致した。同年6月、鈴木防衛大臣政務官(当時)がニュージーランドを訪問してマーク国防大臣を表敬し、日ニュージーランド防衛協力・交流や、両国の防衛政策について意見交換を実施したほか、北朝鮮による「瀬取り」に対する警戒監視活動に関して、今後も連携していくことで一致した。また、同年11月には、河野防衛大臣が第6回ADMMプラスに際してマーク国防大臣と会談を行った。河野防衛大臣から、ニュージーランドによる北朝鮮による「瀬取り」に対する警戒監視活動に関して、18(平成30)年に引き続き19(平成31・令和元)年も哨戒機を派遣していることについて謝意を伝達し、引き続き両国の関係を強化していきたい旨述べた。両大臣は、日本とニュージーランドの間で活発なハイレベル交流が実施されていることを歓迎するとともに、太平洋島嶼地域における取組について、同地域における日ニュージーランド協力の可能性を追求していく強い意欲を表明した。さらに両大臣は、太平洋島嶼国、ニュージーランドを含む大洋州地域などの地域情勢について意見交換を行った。

軍種間では、19(令和元)年9月、ボズウェル陸軍司令官が、同年11月にクラーク空軍司令官が訪日したほか、同年12月、日米豪ニュージーランドの4か国では初めてHA/DR共同訓練(クリスマス・ドロップ)を実施した。

ADMMプラスにおいてニュージーランド国防大臣と会談する河野防衛大臣(19(令和元)年11月)

ADMMプラスにおいてニュージーランド国防大臣と会談する
河野防衛大臣(19(令和元)年11月)

(5)NATO

14(平成26)年5月に安倍内閣総理大臣が欧州を訪問した際、NATO本部においてラスムセン事務総長(当時)と会談を行い、「日NATO国別パートナーシップ協力計画」に署名した(18(平成30)年5月改訂)。この計画に基づき、同年12月、女性・平和・安全保障分野における日NATO協力として、初めてNATO本部に自衛官を派遣するとともに、15(平成27)年以降、「ジェンダー視点のNATO委員会(NCGP:NATO Committee on Gender Perspectives)年次会合」に防衛省・自衛隊から参加している。なお、19(令和元)年12月からは、情報通信担当幕僚として、2等空佐をNATO本部諮問・指揮統制幕僚部(NHQC3S:NATO Headguarters Consultation, Command and Control Staff)に派遣し、NATOの様々な政策や事業に関する情報通信の管理業務に携わっている。そのほか、防衛省は、17(平成29)年2月に欧州連合最高司令部(SHAPE:Supreme Headquarters Allied Powers Europe)に連絡官を派遣し、19(令和元)年6月にNATO海上司令部(MARCOM:NATO Allied Maritime Command)に連絡官を派遣している。また、18(平成30)年7月、在ベルギー日本国大使館が兼轄する形で、NATO日本政府代表部が開設された。

サイバー分野については、19(平成31)年3月から、防衛省職員をNATOサイバー防衛協力センター(CCDCOE:NATO Cooperative Cyber Defence Centre of Excellence)に派遣し、19(令和元)年12月には、エストニアにおいてNATO主催のサイバー防衛演習「サイバー・コアリション2019」へ日本として初めて参加した。20(令和2)年2月、河野防衛大臣は、第56回ミュンヘン安全保障会議に際しストルテンベルグNATO事務総長と会談を実施し、両者は、日NATO間で特にサイバー及び海洋安全保障の分野での協力が進展していることを歓迎し、地域情勢などについて意見交換を行った。

(6)その他の欧州諸国

ドイツとの間では、17(平成29)年7月、日独防衛装備品・技術移転協定の署名が行われたほか、同年7月、防衛審議官が第1回日独次官級戦略的対話出席のために、訪独するなど、ハイレベルを含む交流が進展している。

19(平成31)年2月、メルケル首相が訪日し、日独首脳会談を実施した際、情報保護協定の締結交渉が大筋合意に至ったことを歓迎し、これを機に安全保障・防衛分野での協力を推進していくことを確認した。また、19(令和元)年11月、河野防衛大臣は、クランプ=カレンバウアー国防大臣と電話会談し、二国間の防衛交流や両国を取り巻く安全保障情勢について、意見交換を行ったほか、河野防衛大臣から中東地域における日本関係船舶の安全確保のための自衛隊による情報収集活動について説明した。20(令和2)年2月、河野防衛大臣は、第56回ミュンヘン安全保障会議に際してクランプ=カレンバウアー国防大臣と会談を実施し、両大臣は、FOIPの推進に向けて具体的に協力することで一致するとともにインド太平洋地域における安全保障情勢などについて意見交換を行った。

イタリアとの間では、16(平成28)年6月に日伊情報保護協定が発効したほか、17(平成29)年5月には、日伊防衛装備品・技術移転協定への署名が行われ、19(平成31)年4月に発効するなど、防衛協力を行っていく上での制度面の整備が進んでいる。18(平成30)年9月、小野寺防衛大臣(当時)がイタリアを訪問してトレンタ国防大臣と日伊防衛相会談を実施し、海洋安全保障の分野でさらに連携を強化していくことで一致した。また、20(令和2)年1月には、空幕長が初めてイタリアを訪問し、空軍参謀長などと地域情勢、防衛政策などについて意見交換を実施した。

スペインとの間では、18(平成30)年1月、デ・コスペダル国防大臣が訪日し、日スペイン防衛相会談を実施した。同会談では14(平成26)年11月に署名された防衛協力・交流に関する覚書に基づき、防衛当局間の関係をさらに強化することで一致した。

オランダとの間では、16(平成28)年12月にヘニス国防大臣(当時)が訪日し、日オランダ防衛相会談に際して防衛協力・交流の覚書の署名が行われた。18(平成30)年9月、小野寺防衛大臣(当時)がオランダを訪問し、スハウテン国防大臣と日蘭防衛相会談を実施した。同会談では、NATO・EUを通じた協力について意見交換を実施した。また、小野寺防衛大臣(当時)から北朝鮮の「瀬取り」の状況及び国連安保理決議に基づく厳格な制裁履行が重要である旨説明し、国連安保理非常任理事国かつ北朝鮮制裁委員会議長国(当時)であるオランダと緊密に連携していくことで同意した。

エストニアとの間では、18(平成30)年9月、ルイク国防大臣が訪日し、日エストニア防衛相会談を実施した。同会談では、同年1月の安倍内閣総理大臣訪問時の成果を踏まえ、NATOサイバー防衛協力センター(CCDCOE)に対する防衛省からの職員派遣を含め、今後、二国間及び多国間の枠組みの中でサイバー分野での協力を深化させていくことで一致した。

ウクライナとの間では、18(平成30)年10月、ペトレンコ国防次官が訪日し、日ウクライナ防衛協力・交流に関する覚書に署名したほか、日ウクライナ安全保障協議を開催した。20(令和2)年2月、河野防衛大臣は、第56回ミュンヘン安全保障会議に際してザホロドニューク国防大臣との間で初となる防衛相会談を実施した。河野防衛大臣から、わが国は、一貫してウクライナの主権及び領土一体性を尊重し、力による現状変更の試みは断じて認めないとの立場である旨述べるとともに、両大臣は、両国間の防衛協力の重要性を確認し、18(平成30)年に署名された防衛協力・交流覚書に基づき、各種協力を具体化していくことで一致し、地域情勢などについて意見交換を行った。

フィンランドとの間では、19(平成31)年2月、ニーニスト国防大臣(当時)が訪日し、日フィンランド防衛協力・交流に関する覚書への両大臣による署名が行われたほか、日フィンランド防衛相会談が行われた。同会談では、防衛交流の進展を踏まえ、今後、覚書に基づき、幅広い分野で防衛協力を深化していくことで一致した。

デンマークとの間では、19(令和元)年10月、河野防衛大臣は、ブラムセン国防大臣との間で電話会談を実施し、二国間の防衛交流や両国を取り巻く安全保障情勢などについて、意見交換を行ったほか、河野防衛大臣から中東地域における日本関係船舶の安全確保のための自衛隊による情報収集活動について説明した。

EUとの間では、20(令和2)年2月、河野防衛大臣は、第56回ミュンヘン安全保障会議に際してボレルEU上級代表と会談を実施し、日EU間で特に海洋安全保障の分野での協力が進展していることを歓迎しつつ、引き続き実質的な防衛協力・交流を進めることで一致し、地域情勢などについて意見交換を行った。

6 中国
(1)中国との防衛協力・交流の意義など

わが国と中国との安定的な関係は、インド太平洋地域の平和と安定に不可欠の要素であり、大局的かつ中長期的見地から、安全保障を含むあらゆる分野において、日中で「戦略的互恵関係」を構築し、それを強化できるよう取り組んでいく必要がある。

安全保障分野においては、防衛省・自衛隊は、中国との間で相互理解・信頼関係を増進するため、多層的な対話や交流を推進することとしている。この際、中国がインド太平洋地域の平和と安定のために責任ある建設的な役割を果たし、国際的な行動規範を遵守するとともに、急速に拡大する国防費を背景とした軍事力の強化に関して、透明性を向上させるよう引き続き促していくこととしている。また、不測の事態の発生を回避すべく、「日中防衛当局間の海空連絡メカニズム」を両国間の信頼関係の構築に資する形で運用していくこととしている。

(2)最近の主要な防衛交流実績など

日中防衛交流は、12(平成24)年9月のわが国政府による尖閣三島(魚釣島、南小島及び北小島)の取得・保有以降、停滞していたが、14(平成26)年後半以降、交流が徐々に再開している。

近年の閣僚級の交流実績については、15(平成27)年11月のADMMプラスに際して中谷防衛大臣と常万全(じょう・ばんぜん)国防部長(いずれも当時)との間で、4年5か月ぶりとなる日中防衛相会談が実施されたほか、19(令和元)年6月には、前年のADMMプラスの際に行われた防衛相会談に続き、シャングリラ会合の際に岩屋防衛大臣(当時)と魏鳳和(ぎ・ほうわ)国防部長との会談が行われ、防衛大臣・国防部長間における相互訪問の早期実現が重要との認識で一致した。この共通認識に基づき、同年12月、河野防衛大臣が防衛大臣として10年ぶりに中国を訪問した。この際に行われた、魏鳳和国防部長との日中防衛相会談では、河野防衛大臣から、尖閣諸島周辺海空域などの東シナ海情勢について、中国軍の活動などへの懸念を伝えるとともに、中国側の前向きな対応を強く求めた。その上で、日中防衛当局間における相互理解・相互信頼のための交流が、着実に進展していることを歓迎するとともに、引き続き防衛交流を推進し、防衛当局間における相互理解・相互信頼を推進することで一致した。両国の外交・防衛当局が参加する日中安保対話(第13回)は、15(平成27)年3月に東京において4年ぶりに開かれ、以降、ほぼ毎年開催されている。また、日中防衛当局は日中高級事務レベル海洋協議にも参加しており、直近では、19(令和元)年5月に第11回協議が北海道にて実施された。

中国国防部長と会談する河野防衛大臣(19(令和元)年12月)

中国国防部長と会談する河野防衛大臣(19(令和元)年12月)

軍種間においては、19(平成31)年4月、護衛艦「すずつき」が海自艦艇として約7年半ぶりに訪中し、中国人民解放軍海軍成立70周年を記念した中国主催国際観艦式に参加したほか、同月に海幕長が約5年半ぶりに訪中し、同観艦式に合わせ実施されたハイレベルシンポジウムにおいて、自由で開かれた海洋の重要性などについて発信した。これに続き、同(令和元)年10月には、中国海軍ミサイル駆逐艦「太原」が中国艦艇として約10年ぶりに日本に寄港したほか、海自護衛艦との間で、約8年ぶり3回目となる親善訓練を実施した。

また、部隊間においても、18(平成30)年11月、中国軍東部戦区副司令員(中将)を団長とする東部戦区代表団が訪日したのに続き、19(令和元)年11月には、陸自西部方面総監を団長とする自衛隊代表団が東部戦区などを訪問した。このほか18(平成30)年には、6年ぶりに、笹川平和財団が主催する「日中佐官級交流」が再開されており、同年4月及び19(令和元)年9月に中国軍佐官級代表団が訪日したほか、18(平成30)年9月及び19(平成31)年4月に自衛隊佐官級訪問団が訪中し要人表敬、部隊への訪問などを行った。

今後も、「戦略的互恵関係」構築の一環として、様々なレベル・分野における対話を通じて、日中間の信頼関係・相互理解の増進に努めるとともに、海賊対処など非伝統的安全保障分野における具体的な協力・交流を積極的に推進することが必要である。

(3)日中防衛当局間の海空連絡メカニズム

07(平成19)年1月及び4月の日中首脳会談において、安倍内閣総理大臣と温家宝(おん・かほう)中国国務院総理(当時)との間で両国の防衛当局間の連絡体制の強化、特に海上における連絡体制の整備で一致したことを踏まえ、日中防衛当局は、08(平成20)年4月に第1回共同作業グループ協議を開催し、以降、防衛当局間で、15(平成27)年1月の第4回共同作業グループ協議以降は両国の外交当局も交えた形で協議を重ねてきた。

その後、17(平成29)年12月の第8回日中高級事務レベル海洋協議、18(平成30)年4月の第7回共同作業グループ協議などでの交渉を経て、同年5月に東京で開かれた日中首脳会談に際し、安倍内閣総理大臣と李克強(り・こくきょう)中国国務院総理の立ち合いのもと、日中防衛当局間で本メカニズムに関する覚書9の署名が行われ、同年6月8日、本メカニズムの運用が開始された。

本メカニズムは、日中防衛当局の間で、①日中両国の相互理解及び相互信頼を増進し、防衛協力・交流を強化するとともに、②不測の衝突を回避し、③海空域における不測の事態が軍事衝突又は政治外交問題に発展することを防止することを目的として作成されたものであり、主な内容は、①防衛当局間の年次会合・専門会合の開催、②日中防衛当局間のホットライン開設、③自衛隊と人民解放軍の艦船・航空機間の連絡方法となっている。

本メカニズムに基づき、18(平成30)年12月には、防衛当局間において第1回年次会合・専門会合が、20(令和2)年1月には、第2回年次会合・専門会合が実施され、両国の海洋安全保障政策、本メカニズムの運用状況や改善に関する意見交換のほか、ホットラインの開設に向けた調整などが行われた。また、19(令和元)年12月に行われた日中防衛相会談では、本メカニズムが運用開始以来適切に運用され、日中防衛当局間の信頼醸成及び現場における不測事態発生の回避に重要な役割を発揮していることを確認したほか、ホットラインの早期開設に向けた取組を加速することで一致した。

参照資料38(最近の日中防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間))

7 ロシア
(1)ロシアとの防衛協力・交流の意義など

ロシアは、インド太平洋地域における安全保障上の重要なプレーヤーであり、かつ、わが国の重要な隣国でもあることから、日露の防衛交流を通じて信頼関係を増進させることが極めて重要である。防衛省・自衛隊は、様々な分野で日露関係が進展する中、99(平成11)年に署名された日露防衛交流に関する覚書(06(平成18)年改定)に沿って、日露「2+2」や防衛当局間の各種対話、日露海上事故防止協定10に基づく年次会合、日露捜索・救難共同訓練などを継続的に行っている。

ロシアとの関係については、ウクライナ情勢などを踏まえ、政府としてG7(Group of Seven)の連帯を重視しつつ適切に対応することとしている。同時に、隣国であるロシアとの間で、不測の事態や不必要な摩擦を招かないためにも実務的コンタクトは絶やさないようにすることが重要であり、これらの点を総合的に勘案してロシアとの交流を進めている。

ロシア海軍総司令官と懇談する山村海幕長(19(令和元)年11月)

ロシア海軍総司令官と懇談する山村海幕長(19(令和元)年11月)

(2)最近の主要な防衛交流実績など

13(平成25)年4月に行われた日露首脳会談では、日露両国間の安全保障・防衛分野における協力を拡大することの重要性を確認し、日露「2+2」を立ち上げることで合意した。同年11月に実施された初の日露「2+2」において、陸軍種間の部隊間交流及び演習オブザーバー相互派遣の定例化、アデン湾における海自とロシア海軍の海賊対処部隊間の共同訓練の実施、日露サイバー協議の定例開催などで一致した。17(平成29)年3月に実施された第2回目の日露「2+2」においては、地域情勢などについて意見交換を行い、北方領土への地対艦ミサイルの配備や、北方四島を含み得る諸島への師団配備といった北方四島におけるロシア軍の軍備強化にかかる動きについては、北方領土はわが国固有の領土であるとのわが国の立場と相容れないものであり、遺憾である旨を日本側から抗議した。

18(平成30)年7月、小野寺防衛大臣(当時)が防衛大臣として初めてロシアを訪問し、日露「2+2」及び防衛相会談を開催し、統幕長の訪露や艦艇の寄港を含む防衛交流の推進に加え、日露共通の目標である北朝鮮の非核化に向け、引き続き連携していくことで一致した。

19(令和元)年5月、日露防衛相会談及び第4回日露「2+2」が東京で開催され、防衛交流について、同年夏のロシア国際軍楽祭への陸自中央音楽隊の初参加などで一致するとともに、防衛政策に関して、わが国のBMDシステムは純粋に防御的なものであり、ロシアに脅威を与えるものではない旨説明した。

軍種間の主な交流については、19(令和元)年5月の陸幕長によるロシアへの訪問に続き、同年8月から9月にかけて、今回で12回目となるモスクワ国際軍楽祭「スパスカヤ・タワー」に、陸自音楽隊が初めて参加し、日露陸軍種間の相互理解及び信頼関係を深めた。また、同年12月には、エフメノフ海軍総司令官をわが国に招待した。ロシア海軍総司令官としては、18年ぶりとなる訪日であり、日露海軍種間の相互理解及び信頼醸成を進めた。

演習・訓練などでは、20(令和2)年1月、アデン湾においてロシア海軍艦艇と通算2回目となる海賊対処共同訓練を実施した。

参照資料39(最近の日露防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間))

8 太平洋島嶼国

参照資料40(最近の太平洋島嶼国との防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間))

太平洋島嶼国は、海洋国家であるわが国と法の支配に基づく自由で、開かれた、持続可能な海洋秩序の重要性についての認識を共有するとともに、わが国と歴史的にも深い関係を持つ重要な国々である。わが国としては、18(平成30)年に開催された第8回太平洋・島サミットにおいて、この地域の安定と繁栄により深くコミットしていく考えを表明した。さらに、同年に発表された防衛大綱においても、太平洋島嶼国との協力や交流を推進する旨が初めて言及された。20(令和2)年1月から2月にかけて、山本防衛副大臣が、太平洋島嶼国の中で軍隊を保有する三か国であるフィジー、PNG及びトンガを防衛省の政務三役として初めて訪問し、各国の国防大臣などと協議を行うなど、ハイレベル交流を実施した。全ての国防大臣などとの会談において、防衛協力・交流について幅広く意見交換を行い、今後さらに推進する意思を確認した。

フィジー防衛・国家安全保障・外務大臣と会談する山本防衛副大臣(20(令和2)年1月)

フィジー防衛・国家安全保障・外務大臣と会談する
山本防衛副大臣(20(令和2)年1月)

PNGとの間では、15(平成27)年以降、同国の軍楽隊の新設・育成に関する能力構築支援を実施し、関係強化が図られてきた。約3年5か月の能力構築支援を経て、同軍楽隊は、18(平成30)年11月に同国で開催されたAPEC首脳会議の場において、各国首脳の前で「ポートモレスビー」や「君が代」などの演奏を高い技術で披露した。19(平成31)年3月には陸幕長が初めてPNGを訪問し、トロポ国防軍司令官と会談したところ、これまでの能力構築支援に対して感謝の意を表せられるとともに、今後も防衛協力・交流を発展させていくことで一致した。

同年9月から10月にかけて、豪州にて英国が開催する軍楽祭「ロイヤル・エディンバラ・ミリタリー・タトゥ」に参加するPNG軍楽隊への演奏技術指導を行った。

こうした取組に加えて、海自及び空自においては、艦艇や航空機による寄港・寄航を通じて太平洋島嶼国との関係を強化している。15(平成27)年以降、空自は、ミクロネシア連邦等における人道支援・災害救援共同訓練「クリスマス・ドロップ」を実施し、物料投下訓練としてミクロネシア連邦、パラオ共和国及び北マリアナ諸島に対して寄付物品の投下を実施している。また、19(令和元)年10月には、海自遠洋練習航海部隊及び空自国外運航訓練部隊のU-4がパラオ共和国を寄港・寄航するとともに、この機会を捉えて、陸上自衛官も同国を訪問し、陸海空自衛官が日パラオ外交関係樹立25周年記念式典へ参加した。同U-4は、パラオ共和国に続いてミクロネシア連邦に初めて寄航し、寄付物資の車いすを引き渡した。また、同年、米海軍太平洋艦隊が実施している「パシフィック・パートナーシップ2019」において、マーシャル諸島へ防衛省・自衛隊から要員を派遣し、医療活動及び音楽隊要員による演奏活動含む文化交流を実施した。

さらに、同年11月、米国での訓練参加の機会を捉え、輸送機C-130Hでマーシャル諸島共和国マジュロ国際空港に寄航した。その際、外務省との省庁間協力事業として、現地でデング熱が流行している事情にかんがみ、マーシャル諸島共和国の要望に応じ、デング熱対策資材(蚊帳、蚊除けスプレーなど)を輸送した。このほか、19(令和元)年8月、護衛艦「いせ」及び輸送艦「くにさき」がポートモレスビー港に寄港、同年8月から9月にかけ、海自遠洋練習航海部隊の練習艦「かしま」及び護衛艦「いなづま」がフィジーのスバ港及びPNGのラバウル港に寄港し、各種親善行事を実施した。

動画アイコンQRコード動画:ミクロネシア連邦等におけるHA/DR共同訓練「クリスマス・ドロップ」
URL:https://youtu.be/t-7o82vZHAs(別ウィンドウ)

9 中東諸国

参照資料41(最近の中東諸国との防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間))

中東地域の平和と安定は、わが国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要であることから、防衛省・自衛隊としても、同地域の国と協力関係の構築・強化を図るため、ハイレベル交流や部隊間交流を進めてきている。

アラブ首長国連邦(UAE:United Arab Emirates)との間では、18(平成30)年5月にはUAEとの間で防衛交流に関する覚書が署名され、さらには同年12月に防衛当局間協議が開催された。さらには19(令和元)年6月、統幕長が歴代統幕長として初めてアラブ首長国連邦を訪問し、ムハンマド・アブダビ皇太子を表敬したほか、ルメーシー参謀長と会談し、幅広い分野における防衛協力・交流の推進について一致するなど、二国間の防衛交流は深化を続けている。同年10月及び20(令和2)年3月、河野防衛大臣は、ボワルディ国防担当国務大臣との電話会談を実施し、両大臣は、二国間の防衛交流や地域情勢などについて意見交換した。また、19(令和元)年11月に実施されたドバイ・エアショーに、自衛隊はC-2輸送機を参加させた。20(令和2)年1月には、安倍内閣総理大臣がUAEを訪問して、ムハンマド・アブダビ皇太子と意見交換を行い、中東における日本関係船舶の航行の安全を確保するためのわが国の取組について直接説明して、その支持を得ている。

イスラエルとの間では、18(平成30)年10月に初めて、外務・防衛当局間協議を開催した。これは、同年5月に安倍内閣総理大臣がイスラエルを訪問した際、両首脳の合意により実現したものであり、第1回協議においては地域情勢、安全保障問題など、幅広い事項について意見交換を実施した。また、同年11月には第4回日イスラエル・サイバー協議が開催された。さらには19(令和元)年6月、統幕長が歴代統幕長として初めてイスラエルを訪問した。また、同年9月には、防衛当局間で「防衛省とイスラエル国防省の間の防衛装備・技術に関する秘密情報保護の覚書」に署名するなど、安全保障分野での関係を強化している。

イランとの間では、19(令和元)年12月の日イラン首脳会議において、安倍内閣総理大臣から、中東における日本関係船舶の航行の安全を確保するためのわが国の取組について詳細に説明した。また、同年10月及び20(令和2)年1月、河野防衛大臣は、ハータミ国防軍需大臣と防衛大臣としては初の電話会談を実施し、両大臣は地域情勢などについて意見交換を行うとともに、1月の電話会談においては、河野防衛大臣から、中東地域における日本関係船舶の安全確保のための自衛隊による情報収集活動について説明した。

エジプトとの間では、17(平成29)年9月、山本防衛副大臣(当時)が防衛省の政務三役として初めてエジプトを訪問したほか、19(令和元)年6月には、統幕長が同国を訪問し、ヘガージ参謀総長と会談した。

オマーンとの間では、19(平成31)年3月、バドル国防担当大臣が訪日し、岩屋防衛大臣(当時)と会談した際、防衛協力に関する覚書が署名された。19(令和元)年10月、河野防衛大臣は、バドル国防担当大臣と電話会談を実施したほか、同年12月には、河野防衛大臣は、防衛大臣として初めてオマーンを訪問し、バドル国防担当大臣と会談した。両大臣は、FOIPのもと、海軍種間での協力を中心とした防衛協力・交流を引き続き深化させていくことを確認した。20(令和2)年1月には、安倍内閣総理大臣がオマーンを訪問して、ハイサム新国王と意見交換を行い、中東における日本関係船舶の航行の安全を確保するためのわが国の取組について直接説明して、その支持を得ている。

オマーン国防担当大臣と会談する河野防衛大臣(19(令和元)年12月)

オマーン国防担当大臣と会談する河野防衛大臣(19(令和元)年12月)

カタールとの間では、15(平成27)年2月、防衛交流に関する覚書が署名された。19(令和元)年5月に訪日したアティーヤ副首相兼防衛担当国務大臣は、岩屋防衛大臣(当時)との間で、初の防衛相会談を実施した。同年10月、河野防衛大臣とアティーヤ副首相兼防衛担当国務大臣との電話会談が実施され、両大臣は、二国間の防衛交流について意見交換を行った。また、同年12月、河野防衛大臣は、同国が主催する第19回ドーハ・フォーラムに防衛大臣として初めて出席し、アティーヤ副首相兼防衛担当国務大臣と会談を実施した。会談では、両大臣は、日カタール防衛協力・交流が進展していることを歓迎し、教育・訓練などの分野での防衛協力・交流を引き続き深化させていくことを確認した。

サウジアラビアとの間では、16(平成28)年9月、防衛交流に関する覚書が署名された。また、19(令和元)年10月及び12月には、河野防衛大臣とムハンマド皇太子兼国防大臣との電話会談が実施され、両大臣は、二国間の防衛交流や地域情勢などについて意見交換を行ったほか、河野防衛大臣から中東地域における日本関係船舶の安全確保のための自衛隊による情報収集活動について説明した。20(令和2)年1月には、安倍内閣総理大臣がサウジアラビアを訪問して、サルマン国王やムハンマド皇太子と意見交換を行い、中東における日本関係船舶の航行の安全を確保するためのわが国の取組について直接説明して、その支持を得ている。

トルコとの間では、12(平成24)年7月に、事務次官がドゥンダル国防次官(当時)との会談において防衛協力・交流の意図表明文書に署名した。19(令和元)年6月、ドゥンダル陸軍総司令官が訪日し、陸幕長と懇談したほか、防衛副大臣を表敬した。同年7月には、アカル国防大臣がG20に伴う大統領随行で訪日し、岩屋防衛大臣(当時)と懇談した。

バーレーンとの間では、19(令和元)年10月、河野防衛大臣とハリーファ国軍司令官との電話会談が実施され、両大臣は、二国間の防衛交流や中東情勢等について意見交換した。また、同年11月、河野防衛大臣は、同国で開催された第15回マナーマ対話に際してハリーファ国軍司令官と初の大臣級における防衛当局間での会談を実施し、今後ハイレベル交流や海軍種を中心とした交流を引き続き行っていくことで一致した。

ヨルダンとの間では、16(平成28)年10月、アブドッラー国王が訪日した際に、日ヨルダン防衛交流に関する覚書に署名した。18(平成30)年11月には、アブドッラー国王が訪日し、岩屋防衛大臣(当時)からの表敬及び習志野駐屯地への部隊訪問を通じ、両国間で防衛当局者協議や部隊間交流などが着実に進展していることを歓迎した。また、19(令和元)年12月、防衛大臣として初めてヨルダンを訪問した河野防衛大臣は、フネイティ統合参謀本部議長と会談した。会談においては、フネイティ統合参謀本部議長から、19(令和元)年7月に初の外務・防衛当局間協議の開催がされるなど両国の防衛交流が進展していることや、今後も訓練や装備分野などでの協力を進めていきたい旨の発言に対し、河野防衛大臣から、当該分野での協力を検討していく旨述べた。

10 南アジア諸国

参照資料42(最近の南アジア諸国との防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間))

(1)スリランカ

スリランカは、インド洋のシーレーン上の要衝に位置する重要国であり、近年、同国との防衛協力・交流の強化を図っている。18(平成30)年8月、小野寺防衛大臣(当時)は、日本の防衛大臣として初めてスリランカを訪問し、ウィジェワルダナ国防担当国務大臣(当時)と両国間で初となる防衛相会談を実施した。会談においては、海洋安全保障及び海上の安全について議論するとともに、スリランカ側から今後、陸海空軍のHA/DR分野の能力向上を通じてスリランカ軍全体としての能力を高めていきたいと述べられたことに対し、小野寺防衛大臣(当時)もこれを支援する意向を示した。19(令和元)年7月には、原田防衛副大臣(当時)がスリランカを訪問し、ウィジェワルダナ国防担当国務大臣との会談やシリセーナ大統領兼国防大臣(いずれも当時)への表敬を実施し、FOIPの推進に向けて、スリランカと日本の海洋国家間のパートナーシップを一層強化する必要性について認識を共有した。

軍種間の主な交流については、19(平成31)年2月、両国海軍種間で初の幕僚協議を実施し、HA/DR分野の共同訓練「JA-LAN」を年1回実施することなどで合意した。また、空軍種間では、同年3月にU-4がマッタラ・ラージャパクサ国際空港に寄航し、スリランカ空軍との部隊間交流などを実施した。

能力構築支援においては、19(令和元)年10月、スリランカ空軍6名を招へいし、空自救難部隊における捜索救難の研修を行った。招へい者は、那覇救難隊の運用するU-125A及びUH-60Jに搭乗し、洋上における捜索目標の捜索、発見、救難などの一連の訓練を研修した。

スリランカ空軍に対し洋上における目標捜索、発見に関する能力構築支援を行う空自隊員(19(令和元)年10月)

スリランカ空軍に対し洋上における目標捜索、発見に関する
能力構築支援を行う空自隊員(19(令和元)年10月)

(2)パキスタン

パキスタンは、南アジア、中東、中央アジアの連接点に位置し、わが国にとって重要なシーレーンにも面しているなど、インド太平洋地域の安定にとって重要な国家である。また、同国は、伝統的にわが国と友好的な関係を有する親日国でもあり、そのような観点から、同国との防衛協力・交流を推進している。

同国との間では、04(平成16)年以来おおむね2年に1回の頻度で局長級の防衛政策対話を実施しているが、19(令和元)年6月には、2年連続となる防衛政策対話を実施し、その際、日パキスタン防衛協力・交流の覚書に署名した。19(平成31)年2月には、統幕副長がパキスタンを訪問し、同国軍幹部との会談などを行った。

そのほか、軍種間においては、パキスタンが主催する海軍種の多国間共同訓練「AMAN」への参加や教育交流などを実施している。

11 アフリカ諸国

参照資料43(最近のその他の諸国との防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間))

防衛省・自衛隊は、現在、海外で唯一自衛隊の拠点が存在するジブチと海賊対処のため協力している。同拠点はUNMISS派遣部隊への物資の輸送に活用されたほか、19(令和元)年10月から12月にかけて、わが国がジブチに対して災害対処能力強化支援として実施している陸自教官によるジブチ軍工兵部隊要員に対する重機操作訓練の際に、教官の生活拠点として活用された。同年12月、河野防衛大臣は、ジブチを訪問し、ブルハン国防大臣と会談を実施した。会談では、両大臣は、日ジブチ防衛協力・交流の深化のため、防衛当局間で引き続き連携を密にしていくことを確認した。また、この会談の中で、河野防衛大臣はジブチにおける自衛隊の活動拠点の運用に関する同国政府の支持に対する感謝を伝えたほか、中東地域における日本関係船舶の安全確保のための自衛隊による情報収集活動に関し、ジブチを拠点に活動する海賊対処部隊の固定翼哨戒機を活用することについて説明した。

今後、本活動拠点について、中東・アフリカ地域における安全保障協力などのための長期的・安定的な活用に向けて取り組むこととしている。

ジブチ国防大臣と会談する河野防衛大臣(19(令和元)年12月)

ジブチ国防大臣と会談する河野防衛大臣(19(令和元)年12月)

ジブチ軍工兵要員に対し施設機材の教育を行う陸自隊員(19(令和元)年10月)

ジブチ軍工兵要員に対し施設機材の教育を行う
陸自隊員(19(令和元)年10月)

12 中南米諸国

参照資料43(最近のその他の諸国との防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間))

コロンビアとの間では、16(平成28)年12月、防衛交流に関する覚書に署名した。

ブラジルとの間では、18(平成30)年4月から5月にかけて、山本防衛副大臣(当時)が同国を訪問し、ルーナ国防大臣(当時)と会談した。また19(令和元)年7月には、プジョウ陸軍大将がブラジル陸軍司令官として初めて来日して、陸幕長と会談し、日ブラジル間の防衛協力・交流の深化は国際社会の平和と安定に重要であるとの認識で一致した。

ジャマイカとの間では、19(令和元)年12月、ホルネス首相兼国防大臣が来日し、河野防衛大臣と会談した。

2 普遍的価値:国家安全保障戦略においては、「自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配など」を普遍的価値としている。

3 正式名称:日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定
従来の適用対象となる活動に加え、①国際連携平和安全活動、②国際平和共同対処事態、③重要影響事態、④武力攻撃事態等及び⑤存立危機事態における活動のほか、⑥在外邦人等の保護措置、⑦海賊対処行動、⑧機雷等の除去及び⑨情報収集活動についても新たにその適用対象となった。

4 UGV(Unmanned Ground Vehicle)とは、陸上無人車両のことを指す。

5 海自の自衛艦旗については、防衛省HPを参照(https://www.mod.go.jp/j/publication/shiritai/flag/index.html(別ウィンドウ)

6 18(平成30)年12月、能登半島沖(わが国排他的経済水域内)において警戒監視中の海自P-1哨戒機が韓国海軍「クァンゲト・デワン」級駆逐艦から火器管制レーダーを照射されるという事案が発生した。防衛省は本件事案を重く受け止め、19(平成31)年1月に客観的事実を取りまとめた最終見解を公表し、韓国側に再発防止を強く求めている。なお、自衛隊の哨戒機は、十分な高度と距離を確保して飛行しており、韓国の艦艇に脅威を与えるような飛行は行っていない。防衛省としては、今後とも安全に十分配意しつつ、警戒監視及び情報収集に万全を期していく。なお、詳細については、防衛省HPを参照(https://www.mod.go.jp/j/press/news/2019/01/21x.html(別ウィンドウ)

7 日韓GSOMIAにおける協定の終了に関する規定は、以下のとおり。
第二十一条 効力発生、改正、有効期間及び終了(抜粋)
 3 この協定は、一年間効力を有し、一方の締約国政府が他方の締約国政府に対しこの協定を終了させる意思を九十日前に外交上の経路を通じて書面により通告しない限り、その効力は、毎年自動的に延長される。

8 対象となる活動として、①共同訓練、②国際連合平和維持活動、③国際連携平和安全活動、④人道的な国際救援活動、⑤大規模災害への対処、⑥在外邦人等の保護措置及び輸送、⑦連絡調整その他の日常的な活動、⑧それぞれの国内法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動が挙げられている。

9 正式名称:日本国防衛省と中華人民共和国国防部との間の海空連絡メカニズムに関する覚書

10 正式名称:領海の外側に位置する水域及び上空における事故の予防に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の協定