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<解説>進む沖縄の土地返還と跡地利用

日米両政府は、沖縄の本土復帰以降、わが国の抑止力を維持しながら沖縄県民の基地負担軽減を図るべく、従来から沖縄県における米軍の施設・区域の整理・統合・縮小について不断に取り組んできていますが、近年は一層、その進捗を加速させており、返還後の跡地を利用して地域の活性化につなげようとする事例がいくつも見受けられます。

17(平成29)年12月には、SACO最終報告に基づき、本土復帰後最大の返還となった北部訓練場の過半、約4,000ヘクタールが、戦後70年余りの時を経て、地権者の手元へ戻りました。その跡地については、やんばる国立公園に編入するとともに、世界自然遺産への登録を目指すなど、今後の有効活用が大いに期待されています。

また、「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」に基づいて15(平成27)年3月に返還されたキャンプ瑞慶覧(ずけらん)の西普天間住宅地区は、土壌汚染調査など、跡地を利用する上での支障の除去に関する措置を講じ、18(平成30)年3月に地権者へ引渡されました。その跡地については、琉球大学医学部・同附属病院の移設など、沖縄健康医療拠点としての活用が目指されています。

15(平成27)年12月には、「統合計画」を一部前倒しし、①国道58号と西普天間住宅地区跡地をつなぐ道路を建設するためのキャンプ瑞慶覧の一部土地の共同使用、②普天間飛行場の一部土地の返還、③牧港補給地区の一部土地の返還について日米間で合意しました。

これを受け、まず17(平成29)年7月に普天間飛行場の一部土地(約4ヘクタール)が返還されました。地元の要請を受けてから30年越しでの返還となりましたが、これにより、四半世紀以上中断していた市道整備事業の進展に伴う周辺地域の交通渋滞の緩和や地域の生活環境の改善が見込まれます。

続いて、18(平成30)年3月には国道58号に隣接する牧港補給地区の一部土地(約3ヘクタール)の返還が実現しました。牧港補給地区に隣接する国道58号では、1日あたりの交通量が7万台以上と県内最大級の渋滞を起こしていましたが、この返還が実現し、跡地を利用して6車線から8車線に拡幅されることにより、交通渋滞の緩和が期待されています。

同年5月20日には、菅内閣官房長官、福井内閣府特命担当大臣、山本防衛副大臣、謝花沖縄県副知事、佐喜眞宜野湾市長、松本浦添市長及び在日米軍副司令官といった日米の関係者が一堂に会し、上記の牧港補給地区の一部土地の返還、そして西普天間住宅地区跡地の引渡しに関する式典が開催され、今回の返還・引渡しが有効かつ適切な跡地利用に向けて現実につながっていくものであるということを確認しました。

日米両政府は、嘉手納飛行場以南の人口密集地域を始めとして、このような土地返還を進めていくことにより、その跡地利用を通じた地域の活性化、ひいては沖縄全体の発展に寄与することができるよう今後とも取り組んでまいります。

牧港補給地区の返還及び西普天間住宅地区の引渡し式典・記念祝賀会の様子(18(平成30)年5月)

牧港補給地区の返還及び西普天間住宅地区の引渡し式典・記念祝賀会の様子
(18(平成30)年5月)