ダイジェスト
実効的な抑止および対処
周辺海空域の安全確保
- 各種事態に際し、自衛隊が迅速かつシームレスに対応するため、自衛隊は、平素から常時継続的にわが国周辺海域の警戒監視活動を行う。
- 海自は、平素からP-3Cにより、航行船舶などの状況を監視。必要に応じ、護衛艦・航空機を柔軟に運用して警戒監視活動を行い、事態に即応する態勢を維持。
- 海上保安庁と現場で情報を共有するなど、わが国の防衛・警備の態勢に間隙を生じさせることがないよう万全を期している。
- 2013(平成25)年5月、接続水域内を航行する潜没潜水艦を海自P-3Cが確認。
- コラム:「P-3C搭乗員のコメント」、「E-2C搭乗員のコメント」、「沿岸監視隊について」、「南西海域における海上保安庁と海上自衛隊の連携について」
- 空自は、全国のレーダーサイト、E-2C、E-767などにより、わが国とその周辺の上空を24時間態勢で監視。わが国周辺を飛行する航空機を探知・識別し、領空侵犯のおそれのある航空機を発見した場合には、緊急発進し、その行動を監視する。
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平成24年度は、22年ぶりに緊急発進回数が500回を突破。中国機への対応が初めてロシア機への対応を上回った。
島嶼防衛
- 事前に兆候を得た場合には、敵に先んじて攻撃が予想される地域に部隊を集中して、敵の攻撃の抑止を図る。敵があくまでもわが国を攻撃する場合、その攻撃を阻止するための作戦を行う。
- 事前に兆候が得られず万一島嶼を占領された場合には、航空機や艦艇による対地射撃により敵を制圧した後、陸自部隊を着上陸させるなど島嶼を奪回するための作戦を行う。
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コラム:「米国における統合訓練(実動訓練)(ドーン・ブリッツ13)への参加」
サイバー攻撃への対応
- 防衛省・自衛隊が任務を遂行していくためには、サイバー空間のもたらすリスクに対応しつつ、その便益を最大限に活用していくことが必要。
- そのため2012(平成24)年9月、<1>防衛省・自衛隊の能力・態勢強化 <2>民間も含めた国全体の取組への寄与<3>同盟国を含む国際社会との協力を基本方針とする「防衛省・自衛隊によるサイバー空間の安定的・効果的な利用に向けて」を策定・公表。
- 平成25年度は、「サイバー防衛隊(仮称)」を新設するなど体制の充実・強化を図るほか、サイバー演習環境構築技術に関する研究を始めるなど運用基盤の充実・強化にも取り組む。
弾道ミサイル攻撃などへの対応
- わが国の弾道ミサイル防衛は、イージス艦やペトリオットPAC-3を、自動警戒管制システムにより連携させて効果的に行う多層防衛を基本としている。
- 2013(平成25)年4月には浜松の2個FUペトリオットPAC-3 を那覇および知念(沖縄県南城市)に配備。
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北朝鮮への対応
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2012(平成24)年の事案
4月13日、北朝鮮西岸からの何らかの飛翔体の発射に関する早期警戒情報の受信を確認。さらに同年12月12日、北朝鮮西岸から「人工衛星」と称するミサイルが発射されたものと判断、沖縄県上空を通過し、太平洋側へ通過したものと推定。2013(同25)年1月25日、防衛省は分析結果を発表。
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2013(平成25)年以降の対応
北朝鮮は、2013(同25)年に入ってからも、ミサイル発射の示唆を含む挑発的な行動を繰り返し実施。防衛省・自衛隊は、いかなる事態にも対応できるよう万全の態勢を継続。
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コラム:陸・海・空自における「北朝鮮ミサイル対処出動隊員の声」
在外邦人等の輸送への対応
- 防衛大臣は、外国での災害、騒乱、その他の緊急事態に際し、外務大臣から邦人等の輸送の依頼があった場合、外務大臣と協議をした上で、在外邦人等の輸送が可能。
- 2013(平成25)年1月の在アルジェリア邦人に対するテロ事件に際し空自特別航空輸送隊の政府専用機をアルジェリアに派遣。
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輸送手段への車両の追加、輸送対象者の範囲の拡大、武器使用の場所と防護対象者の拡大などを内容とする自衛隊法の改正案が4月19日に閣議決定、国会に提出。
各種災害などへの対応
- 自衛隊は、自然災害をはじめとする災害の発生時には、地方公共団体などと連携・協力し、被災者や遭難した船舶・航空機の捜索・救助、水防、医療、防疫、給水、人員や物資の輸送といった様々な活動を実施。東日本大震災では、大規模震災災害派遣および原子力災害派遣において、最大時10万人を超す隊員が対応。
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コラム:「災害派遣従事隊員の声」、「おかえりブルーインパルス」
アジア太平洋地域をはじめとする多国間安全保障協力・対話の推進
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わが国では、従来から安全保障環境の改善に積極的に取り組んでいるが、近年、対話や交流は質的に深化し、量的に拡大している。防衛省・自衛隊としても、安全保障協力・対話、防衛協力・交流、共同訓練・演習を多層的に推進している。
能力構築支援
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能力構築支援は、途上国自身の対処能力を向上させることにより、地域内における安定を積極的・能動的に創出し、国際的な安全保障環境を改善するという新たな発想に基づく取組である。
各国との防衛協力・交流の推進
- わが国の安全と繁栄を確保するためには、日米同盟を基軸としつつ、多国間および二国間の対話・交流・協力の枠組を多層的に組み合わせてネットワーク化していくことが重要である。
海賊対処への取組
- 国家の生存と繁栄の基盤である資源や食糧の多くを海上輸送に依存しているわが国としては、海賊行為の抑止のため国際的な責任を積極的に果たしていくことが必要である。
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護衛艦による護衛3,068隻、P-3Cによる飛行887回(のべ6,880時間)【2013(平成25)年4月30日現在】
国際平和協力活動への取組
国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)
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ゴラン高原のUNDOFにおいて自衛隊が得た経験は、イラクにおける人道復興支援活動や、ハイチや南スーダンにおける国際平和協力活動などにも着実に引き継がれた。
- 1996(平成8)年2月〜2013(同25)年1月
国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)
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わが国は、瓦礫(がれき)の除去や整地などを通じて、被災地に対する支援を行った。また、建造物の耐震強度の診断、施設機材の操作や整備に関する教育など、わが国の技術的知見や経験を生かした活動を行った。
- 2010(平成22)年2月〜2013(同25)年2月
国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)
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わが国の軍事連絡要員は、各地の治安状況や経済、社会インフラなどの情報収集にあたった。また、地元住民との交流も積極的に行った。
- 2010(平成22)年9月〜2012(同24)年9月
国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)
- 国連も高い期待を寄せているインフラ整備面での人的な協力を行うことで、同国の国づくりに貢献することが可能と考えている。
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2013(平成25)年5月28日には、派遣施設隊の活動地域が、これまでのジュバおよびその周辺に加えて東および西エクアトリア州にも拡大された。本件拡大は、国連からの要望を受けて調整を行ってきたものであり、わが国として南スーダンの国づくりに一層貢献することが可能となる。
軍備管理・軍縮・不拡散への取組
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平素からの大量破壊兵器などの拡散防止や、自衛隊の対処能力の向上などの観点から、各種訓練や会合への参加や主催のほか、PSIを含む不拡散体制の強化のための活動に努めていく。
防衛生産・技術基盤と防衛装備品の取得をめぐる現状
- わが国の防衛産業の規模は大きくなく、わが国の工業生産額全体に占める防衛省向け生産額の割合は1%以下。
- 防衛装備品などの生産に従事する企業における防衛需要依存度(防衛関連売上/会社売上)は平均で4%程度と、多くの企業では、防衛事業が主要な事業とはなっていない。
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比較的小規模な企業の中には防衛需要依存度が50%を超える企業も存在し、そのような企業は防衛省からの調達が変動すると大きな影響を受ける。
調達の効率化および調達の公正性・透明性向上のための取組
- 防衛省では、2013(平成25)年3月に、総合取得改革推進プロジェクトチーム会合を開催し、平成26年度予算要求に調達効率化の成果を反映することなどを目指して、調達改革を強力に推進するため所要の検討を進めている。
- 2012(同24)年1月に判明した三菱電機などの防衛関連企業による一連の過大請求事案について、2012(同24)年12月に再発防止策を取りまとめ公表している。
研究開発
- 技術研究本部では、防衛用ロボットなどの技術開発に取り組むとともにサイバー演習環境構築技術の研究などを実施。
防衛生産・技術基盤の維持・強化に向けた取組
F-35A生産への国内企業参画
- F-35は、米国を中心に、9か国により2001(平成13)年秋から本格的に共同開発が始められた最新鋭の戦闘機。
- F-35Aを含む航空自衛隊の戦闘機について、将来にわたり、安全性を確保しつつ、高い可動率を維持し、わが国の運用に適した能力向上を行っていくためには、防衛生産・技術基盤の維持・育成・高度化が重要。そのため、機種選定にあたっては、国内企業がF-35の製造に参画することを決定。
- F-35の維持管理においては、同機が国際共同開発機であることを背景に、全てのユーザー国の参加を想定したALGS(Autonomic Logistics Global Sustainment)という国際的な後方支援システムが採用されている。
- 政府は、2013(同25)年3月、内閣官房長官談話を発出。ALGSの下、国内企業が製造を行うF-35の部品などについては、武器輸出三原則等によらないこととした。
- ALGSの下での国内企業の製造参画が可能となったことは、航空自衛隊戦闘機の運用・整備基盤の維持、防衛産業および技術基盤の維持・育成・高度化及び部品供給の安定化や米軍に対する支援を通じた日米安保体制の効果的運用といった観点から、わが国の安全保障に大きく資する。
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平成25年度においては機体の最終組立・検査(FACO:Final Assembly and Check Out)、エンジン部品の一部、レーダー部品の一部について製造参画する予定。
民間転用
- 防衛省においては、自衛隊機などの調達価格の低減も期待できる防衛省開発航空機の民間転用について、関係省庁とも連携・協力した検討を推進するとともに、民間転用の実現に必要となる指針および制度の策定を実施。
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航空機以外の装備品の民間転用の可能性については、諸外国のニーズ、防衛産業の意向も踏まえ、検討を実施予定。
防衛力を支える組織と人的基盤
防衛省・自衛隊の職員の募集・採用
- 近年、防衛省・自衛隊に対する国民の期待と支持は高いものとなっている一方で、少子化・高学歴化が進み、募集の対象となる人口が減少しており、自衛官の募集環境は、ますます厳しくなっている。
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防衛省・自衛隊では、学校説明会、就職情報誌への広告掲載を行うなど募集活動を充実させ、志願者個々のニーズに対応したきめ細かい対応を行ってきている。
日々の教育訓練
- 自衛隊においては、わが国の防衛をはじめとする各種任務を遂行するため、各隊員の高い知識・技能の修得や部隊の高い技量・士気の維持が必要である。
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教育訓練は、人的な面で自衛隊の任務遂行能力を強化するためにきわめて重要であり、自衛隊は、隊員の教育や部隊の訓練などを行い、精強な隊員や部隊を作り上げることに努めている。
女性自衛官の一層の活用など
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コラム:「部下の命を預かる責任の重さ」海自初の女性練習艦艦長
防衛省改革
- 防衛省改革の検討を加速させるべく、2013(平成25)年2月、「防衛省改革に関する大臣指示」を発出し、防衛副大臣を委員長とする「防衛省改革検討委員会」を設置した。
- 同委員会において、不祥事再発防止の観点はもとよりシビリアン・コントロールを貫徹しつつ、人材を有効に活用して自衛隊をより積極的・効率的に機能させることができるようにするとの観点から、防衛力の在り方などに関する検討とも連携しつつ検討を進めている。
防衛省・自衛隊と地域社会・国民とのかかわり
- 防衛省・自衛隊の様々な活動は、国民一人ひとり、そして、地方公共団体などの理解と協力があってはじめて可能となる。
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防衛省・自衛隊は、民生支援として様々な協力活動を行うとともに、防衛施設の設置・運用が周辺住民の生活に及ぼす影響をできる限り少なくするよう努めている。
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コラム:「TV連続ドラマ「空飛ぶ広報室」撮影協力」
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コラム:「ロンドン五輪成果報告・ソチ五輪に向けた取組」