コラム

<VOICE>歌の持つ力 -海上自衛隊の声楽家-

東京音楽隊 3等海曹 三宅 由佳莉(みやけ ゆかり)

私が海上自衛隊音楽隊を希望した理由は、国内だけでなく世界各国で国の顔となって演奏活動をしているところに大きな魅力を感じたからです。しかし、入隊後は学生時代とは全く違う環境に衝撃を受け、あまりの厳しさに戸惑う日々が続きました。そんな私を支えてくれたのはともに訓練をしていた同期の仲間でした。
訓練も半ばを過ぎたある日、分隊長から「みんなの前で何か歌って欲しい」と言われ、アカペラで歌える簡単な曲を選び歌ったところ、涙を流しながら聞いてくれて、「残りの訓練も同期で支え合って頑張っていこう」と誓い合ったことは今でも忘れられません。
このとき初めて歌の持つ力を実感し、「歌を通じて人々の心と向き合い、寄り添い、そして、勇気や希望を与えられるようになりたい」という想いがより明確になりました。音楽隊に配属後、様々な演奏会で歌う機会があり、「ありがとう」「勇気を貰いました」などの声を聞くと、一人の自衛官として国民の皆様のために歌い続けたい気持ちが一層強くなります。これからも精一杯頑張って歌を届けていきたいと思います。

平成24年度自衛隊音楽まつりで歌声を披露する筆者
平成24年度自衛隊音楽まつりで歌声を披露する筆者
 
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