コラム

<VOICE>海上自衛官の活模範(かつもはん) -幹部自衛官を育てる-

海上自衛隊幹部候補生学校 学生隊幹事付 2等海尉 北原 広太郎(きたはら こうたろう)

私は、海上自衛隊幹部候補生学校で、幹事付として勤務しております。本校は江田島にあり、旧海軍兵学校からの歴史と伝統を受け継ぐ幹部海上自衛官の揺籃(ようらん)の地です。幹事付は、学生を生活全般にわたって規律や服務面から指導する教官です。
学生はこの学校で大きく2つのことを学びます。1つは、海上自衛官として必要な基礎的知識・技能です。もう1つは、礼儀や船乗りとしての躾(しつけ)です。幹事付の職務は後者、いわば学生の精神面を教育することです。
私が勤務において気をつけていることは3つあります。第1は、率先垂範(そっせんすいはん)です。精神的な教育では言葉よりも行動で示し、学生を内面から感化する姿勢が求められます。第2は、長所を伸ばす指導です。持続可能な成長を促すため、学生の特質に応じて個々人のもつ資質を引き出す指導を心掛けています。第3は、現場感覚をもたせることです。現在の勉学が安全保障の現場でどのように役立つのか説明することで、緊張感とモチベーションを向上させるよう努めています。
教えることより教わることの多い毎日ですが、未来の日本の安全保障を担う立派なリーダーを育てるべく愚直(ぐちょく)に職務に邁進(まいしん)していきます。

候補生を指導する筆者(左)
候補生を指導する筆者(左)
 
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