コラム

<解説>60年の伝統を受け継ぐ防衛大学校

「真の紳士淑女にして、真の武人たれ」 これは、槇智雄初代学校長が当時の学生たちに求めてきた、いわば「建学の精神」を今に伝える言葉である。52(昭和27)年の建学以来、58(同33)年の海外留学生受け入れや、92(平成4)年の女子学生入校を経て、これまでに、2万5千人を超える卒業生を輩出してきた。
一般の大学とは大きく異なる生活・カリキュラムも防大の伝統の一つである。学生は、「廉恥、真勇、礼節」を掲げる学生綱領、1〜4年生が同じ部屋で起居を共にする学生舎生活、棒倒しや短艇競漕など年間を通じて行われる競技会、全国の陸海空自部隊の協力を得て行う訓練などを通じ、リーダーシップ、フォロアーシップ、規律心、礼儀、軍事的素養など、将来の自衛隊のリーダーに相応しい資質を、在学間において体得する。
卒業式では、例年、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣が出席し訓示を行うことも、式を終えた卒業生が、制帽を一斉に高々と放り上げ、式場から駆けだしていく光景も、防大の伝統の一つである。
わが国を取り巻く安全保障上の情勢は、防衛大学校創設当時と大きく変化したが、引き続き、防衛大学校はこれまでの実績と経験の蓄積のうえにさらなる努力を重ね、日本の将来の平和と安全のために前途有為な幹部自衛官の育成に努めていく。

学生同士が激突する「棒倒し」の様子(平成24年度開校祭)
学生同士が激突する「棒倒し」の様子(平成24年度開校祭)
安倍内閣総理大臣の訓示(平成24年度卒業式典)
安倍内閣総理大臣の訓示(平成24年度卒業式典)
 
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