コラム

<解説>陸上自衛隊のネットワーク化について

敵情の不明や部隊行動の錯誤といった指揮官を悩ます「戦場の霧」を晴らすことができるだろうか。古今東西の名将を悩ませたこの課題を、陸上自衛隊は、最新の情報通信技術を活用したC4ISR装備で先進化された第2師団による部隊実験を通じて、ネットワークを活用する将来の戦い方を探求・具体化することにより取り組んでいる。
これまでの実験を通じて、従来型の部隊に比べ、先進化した部隊では、数十倍の情報効果をもって、各級指揮官が最新の彼我(ひが)の態勢を掌握できるようになった。これは相手には見えていない戦場の状況が一方的に見えていることを意味し、その結果、火力や機動の効果も数倍となり戦闘を有利に展開できることができる。このように、先進化した部隊は、迅速かつ継続的な認識共有が可能となり、各部隊が作戦指揮官と同じ認識をもって自律分散・協調的な戦いが行えるようになったともいえる。すなわち、先進化により「戦場の霧」を晴らすことを追求できることを示している。
今後の部隊実験では、より広域・流動化する将来戦場を想定し、統合運用での迅速な情報共有をさらに充実するとともに情報共有と総合戦闘力の連携を強化し、第2師団を先進化部隊の先駆(さきが)けとしてさらに進化・発展させることにより、あらゆる事態にシームレスに対応できる陸上自衛隊の創造に取り組むことを目指している。

※ ネットワークを活用する将来の戦い方:各種センサ-で得た情報を瞬時に処理し、全部隊に共有させることにより、火力・機動の発揮を容易にして、総合戦闘力の効率的な発揮を図る戦闘要領
ネットワークによる戦い方の概要
ネットワークによる戦い方の概要
師団等指揮システムを活用した指揮幕僚活動
師団等指揮システムを活用した指揮幕僚活動
 
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