コラム

<VOICE>着陸適地、発見! -孤立地域からの被災者(妊婦)救助-

第4飛行隊 航空操縦士 1等陸尉 久野 和之(ひさの かずゆき)

第4飛行隊は、北部九州を担任する第4師団隷下(れいか)の部隊であり、12(平成24)年7月に発生した九州北部豪雨に伴う災害派遣において孤立者救助、物資空輸任務を行いました。
山中の孤立集落において出産を翌日に控えた女性の救助任務を受け、厳しい天候の中、高圧線が多数かかる複雑な山間部を機長(私)、副操縦士および機付整備員が連携を図りつつ搭乗地域へ飛行しました。調整していた搭乗地域は、多くの電線などの障害物の存在、予想以上に狭い場所のため着陸が困難であり、他の搭乗適地を上空から捜索しました。
「悪化する天候」、「要救助者の体調」、「着陸地点」など、機長としての焦燥(しょうそう)感が徐々に高まってきたとき、機付整備員が唯一着陸できる地点を近傍の河原に発見、安全を確認しつつ着陸して無事に救助することができました。後日、女性が元気な赤ちゃんを出産されたと聞き、安堵(あんど)感と同時に言葉にできない程の達成感を得ました。また、本任務は私の経験上最も厳しく、自衛隊の存在意義を強く感じたものとなりました。
使命感を持ち、厳しい状況下で安全を確保しつつ崇高(すうこう)な任務を完遂するためには、平素から厳しい状況下での任務を想定した訓練の継続が最も重要であると再認識しました。

第4飛行隊 航空操縦士 1等陸尉 久野 和之
被災者(妊婦)救助の様子【女性のご家族提供】
被災者(妊婦)救助の様子【女性のご家族提供】
 
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