コラム

<解説>あるべき防衛力の機能を巡る議論について

わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、防衛省内の「在り方検討委員会」において、あるべき防衛力の姿についての検討が進められているが、国会等においても、いわゆる敵基地攻撃能力や海兵隊的な機能に関して、以下のような議論がされている。

いわゆる敵基地攻撃能力について
いわゆる敵基地攻撃は、自衛権発動の三要件を満たし、他に手段がないと認められる限りにおいて憲法上も許されるものである。自衛隊は、これまで、いわゆる敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、このような「打撃力」については米軍に依存することとしているが、わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、敵基地攻撃能力の保有を現実に考えるべきではないかとの議論がある。この点に関し、安倍内閣総理大臣は、「今まさに日本を攻撃しようとしているミサイルに対して、米軍がこれは攻撃してくださいよと(中略)日本が頼むという状況でずっといいのかどうかという問題点、課題はずっと自民党においても議論をしてきたところでございます。(中略)相手に、これはやはり日本に対してそういう攻撃をすることは自分たちの国益あるいは自分たちの国民の命にも大きな影響力があると思って思いとどまらせるようにするという、抑止力を効かせる上においてどうすべきかという議論はしっかりとしていく必要があるんだろうと、このように思っております。」(13(平成25)年5月8日 参議院予算委員会 安倍内閣総理大臣答弁)との見解を述べている。

海兵隊的機能について
海兵隊とは、国によって所属、規模等も異なるが、一般に陸上作戦および海上作戦などに求められる各種機能を組み合わせて一体的に保有し、優れた機動性・即応性を備えた部隊と言える。島嶼部の防衛には、統合運用による部隊の機動的な輸送・展開が求められ、陸海空の部隊が緊密に連携しつつ、侵攻部隊を阻止・撃破することが不可欠であり、状況に応じ、島嶼の奪還を行うことも必要になることから、このような海兵隊的な機能が必要であるとの指摘がある。この点に関して、安倍内閣総理大臣は「いわゆる島嶼防衛について言えば、海兵隊的な機能をわが国が備えていく必要性についてやはり議論していかなければならないと、このように思います。」(同答弁)との見解を述べている。

 
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