第III部 わが国の防衛に関する施策
2 技術研究本部での取組

技術研究本部では、部隊運用上の要求を見据えつつ、最新の科学技術を取り込んだ研究開発を行うため、平成21年度から「運用実証型研究」として、部隊と各隊員間をネットワークにより情報共有できる、隊員の個人装備として、先進装具システムの研究試作を行い、野外において運用状況を想定した試験を実施した。
また、統合運用の観点から、戦力のネットワーク化による組織戦闘の実現を図るため、戦闘機搭載用の高機能デジタルデータリンクシステムの開発を行っている。
さらに、東日本大震災の教訓も反映しつつ新除染セットの技術開発や防衛用ロボットなどの技術研究に取り組むとともに、サイバー演習環境構築技術の研究など情報通信技術やサイバー攻撃対処技術といった、民生分野で科学技術の進展を踏まえた装備品の技術研究開発の推進を行っている。なお、サイバー演習環境構築技術の研究については「運用実証型研究」に位置づけられている。
加えて、弾道ミサイルを発射段階で探知するため、以前より航空機搭載可能な赤外線センサーの研究を実施しており、AIRBOSS(Advanced Infrared Ballistic-missile Observation Sensor System)というシステムを試験母機(UP-3C)に搭載して試験評価を行った。現在は赤外線センサーの小型化を踏まえ、機体と地上システムとのシステムインテグレーション技術の研究や、レーダと赤外線センサーを組み合わせて効果的に目標を探知できるシステムの研究も実施している。

先進装具システムの試験の様子
先進装具システムの試験の様子
AIRBOSSを搭載し飛行中の試験母機(UP-3C)
AIRBOSSを搭載し飛行中の試験母機(UP-3C)
 
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