第II部 わが国の防衛政策と日米安保体制
8 大規模災害における協力

11(同23)年3月11日に発生した東日本大震災においては、自衛隊と米軍との間で培われた強い絆に基づく高い共同対処能力が発揮された。
被災地を中心に大規模な支援を行った米軍の「トモダチ作戦」による自衛隊との共同対処の成功は、長年にわたる日米共同訓練などの成果であり、今後のさらなる同盟の深化に繋がるものとなった。
米軍は、東日本大震災を受けた人道支援・災害救援活動を「トモダチ作戦」と命名し、最大時で人員約1万6,000人、艦船約15隻、航空機約140機を投入するなど大規模な兵力で、捜索救助、物資輸送、仙台空港の復旧、新学期を前にした学校の清掃、気仙沼大島における瓦礫除去作業、さらには日米共同での行方不明者の集中捜索など、被災地を中心に大規模な支援活動を行った。
米軍の支援活動は、かつてない規模で行われ、わが国の復旧・復興に大きく貢献するとともに、被災者をはじめ多くの日本国民が在日米軍への信頼と感謝の念を深めた。
東日本大震災における日米共同対処が成功した大きな要因は、平素からの日米協力、迅速かつ綿密な日米調整の実施、在日米軍の存在などがある。加えて、平素からの政策協議や共同訓練のみならず、米軍が日本に駐留することにより日本の地理や文化などに精通していたからでもある。
一方で、国内災害における日米の役割・任務・能力の明確化、防災訓練への米軍の一層の参加を通じた共同要領の具体化、情報共有と効果的な調整のためのメカニズムのあり方などの課題も明らかとなった。
これらを踏まえ、自衛隊と米軍が、将来における多様な事態に際して、より効果的な相互支援ができるよう、現在、教訓を踏まえた具体的な検討を進めているところである。
(図表II-3-1-10参照)

図表II-3-1-10 トモダチ作戦における米軍の活動状況
日米が協力して災害救援活動を実施する様子
日米が協力して災害救援活動を実施する様子
 
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