東南アジア各国は、近年、経済成長などを背景として国防費を増額させ、海・空軍の主要装備品の導入を中心とした軍の近代化を進めている。
インドネシアは、11（同23）年12月、韓国製209級潜水艦3隻を購入する契約を、12（同24）年6月には、オランダ製シグマ級ミサイルフリゲート1隻を購入する契約を締結した。また、10（同22）年までに、ロシア製Su-27戦闘機およびSu-30戦闘機を計10機導入している。11（同23）年には、米国からF-16戦闘機24機の供与を受けることに合意したほか、韓国と次世代戦闘機KF-Xの共同開発に着手している。
マレーシアは、09（同21）年、同国初の潜水艦であるスコルペン級潜水艦（フランスとスペインが共同開発）2隻を導入した。また、09年までにロシア製Su-30戦闘機18機を導入しているほか、15（同27）年に退役予定であるMig-29戦闘機の後継機を選定中である。
フィリピンは、現在潜水艦も戦闘機も保有していないが、韓国製FA-50軽攻撃機の購入を計画していると伝えられている。海軍力としては、11（同23）年5月および12（同24）年5月に、米国からハミルトン級フリゲート2隻の供与を受けた。
シンガポールの国防支出は東南アジア諸国の中で最も高く、軍の近代化に積極的に取り組んでおり、09（同21）年までにフランス製フォーミダブル級フリゲート6隻を導入したほか、12（同24）年12月までにスウェーデンからアーチャー級潜水艦2隻を導入している。また、米国製F-15戦闘機24機を導入したほか、F-35統合攻撃戦闘機計画に参加している。
タイは、東南アジアで唯一の空母を保有しているが、潜水艦は保有していない。一方、12（同24）年9月、フリゲート2隻を導入する計画が閣議で了承されたほか、07（同19）年に、スウェーデン製JAS-39戦闘機12機の導入を決定し、6機が納入されている。
ベトナムは、09（同21）年12月、ロシア製キロ級潜水艦6隻を購入する契約を締結したほか、11（同23）年にロシア製ゲパルト級フリゲート2隻を導入した。また、09（同21）年から11（同23）年にかけ、ロシア製Su-30戦闘機計20機を購入する契約を締結したと伝えられている。
東南アジア各国の装備近代化の要因として、国防費の増額のほかに、近隣諸国の軍事力発展に反応するという東南アジア各国間の関係や、中国の影響力拡大への対応、地域安全保障機構の信頼醸成措置としての役割が十分でないことがその背景にあるとの指摘がある¹。