コラム

<解説> 映画「山本五十六」撮影協力

10(平成22)年夏、映画製作会社から映画製作の協力依頼があった。担当プロデューサー曰く、「戦争に最後まで反対した帝国海軍軍人が開戦の口火を切ることになったが、その目指すところは早期講和であったという事実を描きたい。」映画「山本五十六」である。
印象的なシーンを紹介しよう。江田島の第1術科学校大講堂を国会議事堂に見立て、三国同盟推進派と反対派が激論するシーン。大講堂は、大正6年に国会議事堂と同じ花崗岩で建造された歴史ある建造物であり、映像に重厚感を与えた。次に輸送艦「くにさき」で撮影された旗艦「長門」におけるシーン。真白な軍服は海軍の魅力であり、目に眩しく感じるほどである。輸送艦「くにさき」は、東日本大震災における災害派遣活動から3か月ぶりに呉に戻った直後であった。この映画では、海自隊員約110名がエキストラとしても協力している。「くにさき」での撮影終了後、乗員総員で主演の役所広司氏を見送った。わずか1日の撮影であったが、海自伝統の「帽振れ」に役所氏は感極まって涙を浮かべていた。

激論するシーンを撮影した第1術科学校(江田島)大講堂
激論するシーンを撮影した第1術科学校(江田島)大講堂
旗艦「長門」におけるシーンを撮影した輸送艦「くにさき」
旗艦「長門」におけるシーンを撮影した輸送艦「くにさき」
 
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