CCWは地雷、ブービートラップ、焼夷兵器、レーザー兵器など過度に傷害を与え、または無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用を禁止または制限する条約であり、手続事項などを定めた枠組条約のほか、兵器別に第1〜5までの附属議定書から成る。わが国は第1〜4附属議定書を締結している。
CCWにおいては、特にクラスター弾(複数の子弾を内蔵する弾薬)の不発弾がもたらす問題への対応の必要性から議論が継続され、07(同19)年11月のCCW締約国会議において、クラスター弾の人道上の懸念に早急に対応するための交渉を行うことが決定された。しかし、11(同23)年11月の会合でも合意に至らず、議論は一度終了した。
わが国は、クラスター弾規制の問題については、クラスター弾に関する条約への取組とともに、米、中、露などのクラスター弾の主要な生産国および保有国も参加するCCWの枠組においてクラスター弾に関する実効的な議定書が作成されることが重要と考えており、将来、再交渉が決まった際には、引き続き積極的に交渉に貢献する。
CCWの枠外において、08(同20)年中にクラスター弾の禁止を定める国際約束を策定するとの目的のもと、一連の国際会議において交渉(オスロ・プロセス)1を行った結果、08(同20)年5月「クラスター弾に関する条約」2が、わが国を含む107か国の参加国により採択された。同年12月、オスロにおいてわが国を含む94か国が署名し、わが国は09(同21)年7月に同条約の受諾書を寄託した。
10(同22)年2月、発効に必要な30番目の批准書などが国連事務総長へ寄託され、同年8月1日に同条約が発効した。これにともない、自衛隊が保有するすべてのクラスター弾の使用などが直ちに禁止されることとなった。他方、クラスター弾の主要な生産国および保有国である米国、中国、ロシアなどは現在同条約には署名していない。
現在、防衛省・自衛隊としては、わが国の安全保障を確保するため、クラスター弾の機能の一部を喫緊に補完するための精密誘導型装備などの導入を進めている。
また、同条約発効後原則8年以内に、保有するクラスター弾を廃棄することが規定されていることから、同弾の廃棄を安全かつ着実に行っていく。
99(同11)年より、対人地雷問題に関する国際的関心が高まった。99(同11)年には、対人地雷禁止条約が発効し、現在その締約国は、159か国にのぼっている。防衛省・自衛隊は03(同15)年2月までに、この条約で認められた地雷の探知、除去などの技術開発と訓練のための必要最小限の例外的な保有分を除き、全ての対人地雷を廃棄した。
一方、わが国の安全保障を確保するため、条約上の対人地雷に該当せず、一般市民に危害を与えるおそれのない代替手段として、指向性散弾3を含む対人障害システムの整備を進めている。
また、ARF参加国は、26か国のうち13か国しか締結していないことから、防衛省としても条約未締結のARF参加国などに対し、機会あるごとに条約の締結を働きかけている。
さらに、防衛省は、例外保有などに関する年次報告を国連に対して行うなど、国際社会の対人地雷問題への取組に積極的に協力している4。
参照 資料63
防衛省は、毎年、装備品の年間輸入数量を国連に登録するとともに、保有数や国内調達、小型武器の国内調達数に関する情報も自主的に提供している。
また、この制度の改善・強化のために行われている政府専門家会合などに、随時職員を派遣している。
国連軍事支出報告制度は、軍事支出の透明性向上、軍事支出の削減を目的に80(昭和55)年に設立された。報告項目は、「人件費、メンテナンス費用等の運営費用」、「調達および建設費用」、「研究開発費用」の3つであり、防衛省は82(同57)年に最初の報告を行い、97(平成9年)年以降、毎年報告を行ってきた。
一方、本制度は軍事支出の削減の手段というよりもむしろ、透明性向上の手段として、その有効性が認識されるようになったことから、10(同22)年11月、本制度の設立以来初めて、国連軍事支出報告制度に関する政府専門家会合が開催され、本制度の見直しに関する議論が行われた。本制度について、国際的な信頼醸成措置としてその実効性を確保するためには、参加国数を増やすことおよび提供される情報の質を高めることが重要であることから、会合などを通じて検討を重ね、11(同23)年5月に開催された政府専門家会合・第3回会期で報告様式の改訂などに関する勧告がとりまとめられ、12(同24)年から、報告項目は、「人件費用」、「運営・維持費用」、「調達および建設費用」、「研究開発費用」の4項目に変更されている5。
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