ロードマップに基づく在日米軍の再編を促進するため、07(平成19)年8月に「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」1(再編特措法)が施行された。その概要は次のとおりである。
再編交付金2は、再編を実施する前後の期間(原則10年間)において、再編が実施される地元市町村3の住民生活の利便性の向上や産業の振興に寄与する事業4の経費にあてるため、防衛大臣により再編関連特定防衛施設と再編関連特定周辺市町村を指定した後、在日米軍の再編に向けた措置の進み具合などに応じて交付される。
再編特措法に基づき、07(同19)年10月に14防衛施設、33市町村が指定され、08(同20)年までに6市町村が追加指定され、現在39市町村が再編交付金の交付対象となっている。
大規模な部隊の移駐により、市町村の中には道路や港湾の整備などの公共事業を速やかに実施しなければならない場合があり得るため、こうした事業に対する補助率の特例などを設けた。また、こうした事業が国や都道府県の事業として行われ、あるいは市町村の区域に限定されないことがあり、再編交付金では措置できない場合も考えられるため、特に負担の著しい市町村とその隣接市町村5からなる地域(再編関連振興特別地域)の振興を図るため、駐留軍等再編関連振興会議6の設置など特別の措置を定めた。
(図表III―2―3―8参照)
海外での長期間にわたる民活事業を適切かつ安定的に行うためには、この分野に専門的な知見・経験を有する株式会社国際協力銀行7(国際協力銀行)の活用が必要である。このため、国際協力銀行の業務の特例として、駐留軍再編促進金融業務を追加し、在沖米海兵隊のグアム移転を促進するために必要な事業にかかる資金の出資、貸付けなどの業務を行うことができることとし、あわせてこうした業務に対する政府による財政上の措置の特例を定めたが、12(同24)年4月の「2+2」共同発表において、日本側の財政的コミットメントは直接的な資金の提供のみとされたことを踏まえ、当該措置の今後の取り扱いについて、検討することとしている。
参照 3節1
再編の実施により施設・区域の返還や在沖米海兵隊のグアムへの移転などが行われ、駐留軍等労働者の雇用にも影響を及ぼす可能性があることから、雇用の継続に資するよう技能教育訓練などの措置を講ずる。
再編特措法は10年間の時限立法であるが、日本公庫の業務に関する特例などの措置については、この期限後も、当分の間、なお効力を有する。
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