第II部 わが国の防衛政策の基本と動的防衛力
3 新たな機種選定手続を採用した背景

従来の戦闘機の選定においては、今般程の競争性や透明性を確保した機種選定手続を採用したことはなく、現地調査などにより収集した情報に基づき、防衛庁(当時)として特定の機種を決定し、安全保障会議の決定および閣議の了解を経た後、主たる国内製造企業として防衛庁長官(当時)が選定した国内企業と協力し、ライセンス付与の具体的条件などについて、選定機種を製造する外国製造企業や当該企業が所在する国の政府機関との交渉に臨んでいた。
しかしながら、近年、
○ 政府調達において透明性および公正性がより厳しく求められていること
○ 独占または寡占状態であることが多い防衛装備品についても、競争原理の導入により、より良い条件を引き出すことに成功した事例があること
○ 安全保障における先端技術の重要性が一層高まる中、最新鋭の装備品にかかる情報を入手することが一層困難となっており、従来の方法では機種選定のために入手できる情報量が相当限定されると考えられること
○ 防衛生産・技術基盤の現状や防衛予算の漸減傾向にかんがみれば、戦闘機の性能だけでなく、国内企業が戦闘機の製造・修理などにどの程度関与できるか(国内企業参画)や戦闘機の維持・運用まで含めたライフサイクルコストについても重視する必要があること
などを踏まえ、次期戦闘機の取得に当たっては、11(同23)年1月6日、「航空自衛隊が新たに直接取得しようとする次期戦闘機の機種選定手続について(通達)」を発出し、透明性および公正性の高い手続の中、より有利な条件による次期戦闘機の取得を目指すこととした。

 
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