<VOICE>現場部隊先任の声
自衛隊の各部隊には、部隊指揮官から「曹士自衛官の大元締め」を担うことを命ぜられたベテランの准尉や曹(先任准曹隊員)が1名おり、曹士自衛官の服務指導や、部隊規律の維持、士気の高揚、隊内の融和団結などについての役割を担っています。ときには厳しい指導を行い、ときには若い隊員の相談役ともなる、頼もしい存在です。
ここでは、現場部隊の先任准曹隊員の経験談や抱負を紹介します。
陸上自衛隊 第1空挺団第2普通科大隊 最先任上級曹長 准陸尉 彦田 眞一(ひこた しんいち)
我が第2普通科大隊には女性自衛官がいないため、大隊長の統率方針は「打てば響く男部隊の育成」である。「打てば響く」とは、命ぜられたら早く、確実に、徹底して行うことをいい、「男部隊」とは、溌剌颯爽(はつらつさっそう)、信義に厚く、任務を意気に感ずる「男」の集団を意味します。この統率方針を具現化すべく、常に隊員に範を示し、「責任」と「愛情」をもって「打てば響く」組織の礎となる隊員に育て上げることこそ、諸先輩が築き上げた歴史と伝統ある「男部隊」の最先任上級曹長たる私に課せられた任務だと考えます。
それが、いかなる任務をも完遂できる強い部隊創りの一助になると信じ、日夜隊員育成に明け暮れています。
海上自衛隊 システム通信隊群先任伍長 海曹長 木間 恵美子(このま えみこ)
システム通信隊群では、各部隊の先任伍長との連携を図り、直接海曹士の服務指導にあたる先任伍長を支援するため、先任伍長専用WEB掲示板を立ち上げました。このWEBを活用して服務指導上の問題点などを共有し、問題解決のために意見交換を行っています。また、機会を捉えて各部隊へ赴き、時に父親、時に母親として若い隊員の話を聞いています。ICT(Information Communication Technology)を提供する部隊として、海上自衛隊を影から支え、決して表に出ることなく黙々と任務を遂行する愛すべき隊員たちを母親のような優しさで接する一方で、父親のような厳しさと寛容さをもって指導しています。
航空自衛隊 第4航空団 准曹士先任 准空尉 小河原 道夫(こがわら みちお)
東日本大震災による津波で、私の所属する松島基地は甚大な被害を受け基地機能を失いました。基地の曹士隊員を鼓舞しながら必死で復旧作業に取り組んだ結果、発災の4日後には救援物資の空輸の受入が可能となり、被災地全体の復興に役立つことができたことは、航空自衛隊員としての「誇り」です。また、全国の隊員からの応援メッセージは、私達の心の支えとなり、航空自衛隊員の「絆」を痛感しながら昼夜を問わず復旧作業に取り組むことができました。
今回の復旧作業で感じた、航空自衛隊員としての「誇り」と「絆」は、任務遂行の原動力です。この経験を若い隊員に伝えていきたいと思います。