コラム 

<VOICE>パキスタン国際緊急援助隊に参加した隊員の声


防衛省・自衛隊は、10(平成22)年夏にパキスタンで発生した大規模な洪水に対応するため、国際緊急援助活動を実施しました。本活動に参加した内部部局および陸・海・空自衛隊の隊員の声を紹介します。

内局:統合運用調整所 政策担当(現:運用企画局国際協力課)宇野 茂行(うの しげゆき)
 

今回の洪水対応では、活動の実施前に現地調査が行われましたが、私はその現地調査要員としてパキスタン政府などとの協議を行い、活動実施決定後は統合運用調整所の一員として5週間パキスタンで勤務しました。日頃は、市ヶ谷の本省で勤務しており、現地で部隊の一員として活動することは今回が初めてでしたが、部隊の方々と共に汗を流せたことは私個人にとって非常に良い経験となりました。
国外での活動において、私のような行政官が受入国政府などと交渉し、部隊が働きやすい環境を作ることは、より良い政策立案に役立ち、また、決定された政策の円滑な実施につながります。これからも、今回の経験を活かし、政府中枢と現場をつなぐ仕事に取り組んでいきたいと考えています。

陸自:援助隊本部連絡官(航空)兼 統合運用調整所(航空)要員(現:中央即応集団司令部防衛部) 3等陸佐 中村 飛紀(なかむら たかのり)
 

私の主たる任務は、先遣要員としては、航空機を含む本隊の受入、航空運用としては、パキスタン軍との物資などの輸送に関する任務の調整でした。私の行ったこれらの任務は、文化、慣習、風土が異なる中、難航することも多々ありましたが、援助物資約260t、人員約49名を輸送し、任務を完遂することができました。また、民間大型輸送機(アントノフ)による初めてのCH-47の輸送や外国の航空基地を拠点としたヘリ運用など中央即応集団としても多くの成果を得ることができた派遣であったと思います。

海自:輸送艦「しもきた」 運用員長 1等海曹 岩上 安幸(いわがみ やすゆき)
 

8月19日にパキスタン国際緊急援助のための準備指示を受け、現地で使用する陸自ヘリ2機を搭載し、同26日に日本を出発しました。パキスタンに到着後、直ちにヘリの防錆処置を解除し、無事飛行させることができましたが、気温40度以上という酷暑の中、水分補給を励行させるなど、隊員の健康管理には苦心しました。
全ての作業を終え、日本への帰国途上、シンガポールに補給寄港した際に活動の終結が決定され、輸送したヘリなどを日本に持ち帰るため、急きょパキスタンへ引き返しました。10月20日に物品の搭載を終えて同地を出港、11月12日、無事帰国しました。 今回の活動を通じて得た知識と経験を今後の海外任務に活かすとともに、後輩の育成にも役立て、輸送艦の即応態勢の向上に努めたいと思います。

空自:第1輸送航空隊 飛行群 第401飛行隊 3等空佐 小森 徹(こもり とおる)
 

私は、陸自のヘリを空輸する輸送機(C-130)の機長として参加しました。
我々の輸送機は、器材をムルタン空港で降ろした後、直ちに帰国の途につき、現地で被災者に直接の支援を行うことはありませんでした。しかし、空輸したヘリが現地での支援活動に大きく貢献したことを知るにつれ、我々の空輸活動に対する達成感、充実感を改めて噛みしめることとなりました。
空自のC-130部隊にとって、パキスタンでの活動は3度目でしたが、今回は、空港での貨物の積み下ろしに際して、現地のパキスタン軍だけでなく、わが国同様に派遣されていた豪軍から多大なる支援を受けました。これまで、豪軍の方々と「交流」を持ったことはありましたが、今回は、共通の目的のために協力して「仕事」をすることができ、自衛隊と豪軍の相互理解および信頼関係を一層深くすることができたと思っています。

 

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