コラム 

<VOICE>「湾岸の夜明け」から20年−海上自衛隊による国際貢献を振り返る−

元ペルシャ湾掃海派遣部隊指揮官 落合 S(たへんにすいにょう)(おちあい たおさ)

湾岸戦争後、敷設された機雷を除去するため、91(平成3)年に掃海部隊がペルシャ湾に派遣されてから、今年は20年目にあたります。当時PKO法は制定されておらず、自衛隊法(機雷等の除去)を根拠とし、自衛隊創設以来初の海外実任務として艦艇6隻、人員511名からなる掃海部隊が派遣されました。この作戦は、湾岸に一日も早く平和の夜明けが訪れるよう願いを込めて「湾岸の夜明け作戦」と名付けられ、188日間にわたり各国海軍部隊と協同して掃海作業に従事しました。この間1件の事故もなく合計34個の機雷を処分することができました。これは先輩達が残してくれた良き伝統と、それを引き継いだ隊員達が、それぞれの立場で自己の最善を尽くし、誠実に任務を遂行した結果であり、過酷な環境においても勇敢かつ粘り強く取り組んだ隊員達の心と技こそが「湾岸の夜明け作戦」の成功につながったものだと確信しています。また、このペルシャ湾への派遣を先駆けとして、国際貢献にかかわる様々な法整備がなされ、海上自衛隊による活動も徐々に拡大していったことを思うと、私たちの活動が、今日の国際貢献への足掛かりになったものと考えています。
海賊対処法の制定にともない、現在海自護衛艦と航空機がソマリア沖・アデン湾周辺海域で商船などの護衛を実施中ですが、それに対し海運関係者などから多数の感謝の言葉が寄せられており、1人のOBとして、そのような評価を大変誇らしく感じています。
今後も海上自衛隊に対して、こうした国際貢献に関わる活動がよりいっそう求められることになると思いますが、派遣される部隊の方々の活躍を祈念いたします。
 
 

※落合氏は94(同6)年、第1術科学校長(海将補)を最後に定年退官されました。

 

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