コラム 

<VOICE>政府専用機に搭乗する外務省職員の声

外務省大臣官房儀典外国訪問室 課長補佐 高橋 宗生(たかはし むねお)
(現:同室 首席事務官代理)

私は、07(平成19)年10月、総理大臣の外国訪問を担当する外務省大臣官房儀典外国訪問室勤務となり、以来、総理の外国訪問の際には政府専用機(B747−400)に搭乗させていただき、その数は27回、31カ国になる。
連日の深夜にまで及ぶ訪問の準備を終え、羽田空港に向かうバスから専用機の主翼に描かれた日の丸が見える。疲れた心身に再び力が沸いてくる。所属する組織は違っても何週間もかけ準備を共にしてきた連絡調整官やクルーの方々に出迎えられる。塵一つなく美しく整備された機内に入ると、慌ただしく運航の最終確認、緊急時対応の確認、荷物などの調整を行う。間もなく総理が搭乗、間髪を入れずに機体が動き出す。訪問先へのフライトは分単位で計画され、その到着には秒単位で狂いがない。訪問する国々から卓越したその運航能力は常に絶賛されている。
09(同21)年4月、ASEAN首脳会議出席のため、日本政府代表団はタイ・パタヤに滞在していた。反政府デモの拡大により現地治安状況が急速に悪化したため、急遽帰国を余儀なくされた。その際、任務機の不具合により、任務機と予備機を入れ替える事象も発生したが、そのような事態においても、迅速・冷静に対応し、羽田には何事もなかったように静かに着陸した。
これらの活動を成し遂げるには平時からの訓練、すべての起こりうる事態を想定した調整が必要であり、それらは堅い団結と士気に裏打ちされているものであろう。
政府専用機への期待は非常に高く、その活動範囲は世界各国、各都市に広がり、その任務も多種多様化している。これからもわが国政府要人などが安心して搭乗できる運航に尽力し、世界に羽ばたいていっていただきたいと考える。
 
(政府専用機の写真)

 

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