コラム 

<解説>島嶼防衛に関する訓練について

わが国は、四方を海で囲まれ、長大な海岸線と多くの島嶼を有している。わが国の安全保障を考える上では、この地理的特性についても考慮しなければならない。特に、多くの島嶼が存在するという特性から、わが国に対する武力攻撃の形態の一つとして島嶼部に対する攻撃が予想され、新防衛大綱においてもその対応を重視するとされていることから、自衛隊は次のような訓練を行うこととしている。

○日米共同統合演習
島嶼部に対する攻撃に対応するには、陸・海・空自衛隊の統合運用により、周辺海空域における航空優勢および海上輸送路の安全の確保などに留意しつつ、迅速かつ機動的に部隊を展開させるなどにより、侵略を阻止・排除することが必要であるとともに、自衛隊と米軍との日米共同対処も極めて重要である。
そのため、平成22年度日米共同統合演習(実動演習)の中において、演練項目の一つに島嶼防衛を含む海上・航空作戦を設定し、わが国周辺海・空域などにおいて、米軍を含めた海上部隊・航空部隊の連携要領を演練した。

○方面隊実動演習
陸上自衛隊は、これまでも島嶼部における各種の事態に機動的に対応し得るよう、指揮所演習や部隊の長距離機動・展開能力向上を目的とした海・空自との協同訓練などを行っている。平成22年度からは、新たに方面隊規模の実動演習を開始したところであり、平成23年度には西部方面隊において、島嶼への部隊の展開および島嶼部に対する攻撃への対処要領を実動にて演練し、即応性の向上を図ることとしている。

○米国における米海兵隊との実動訓練
島嶼部に対する攻撃への対処要領に関し、効果的な訓練施設などを有する米国に部隊を派遣して、経験豊富な米軍から知識および技能を習得するとともに、相互連携要領を実行動により演練するために、陸上自衛隊は06(平成18)年1月以降、米海兵隊との実動訓練を毎年実施している。この訓練では、海上機動からの上陸、展開、地域の確保に至るまでの一連の動作を日米共同により演練し、島嶼部に対する攻撃への対処にかかる戦術・戦闘能力の向上を図っている。
 
米海兵隊との実動訓練に参加する西方普通科連隊の隊員
米海兵隊との実動訓練に参加する西方普通科連隊の隊員

 

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