コラム 

<解説>Xバンド衛星通信機能の向上について

防衛省・自衛隊では、災害派遣や警戒監視、海外での国際平和協力活動など、様々な活動の際に、現場の状況を司令部や他の部隊に迅速かつ正確に伝達し、司令部から現地部隊などに的確な指揮命令を行うために、人工衛星を介した通信を行っている。中でも気象や地形の制約を受けにくいXバンド(一般に約7〜約11ギガヘルツ)の電波を用いた衛星通信は、通信接続の確実性が高く、広範囲の通信が可能であることから、自衛隊の部隊などを指揮統制するための重要な通信手段と位置付けられている。
しかし、防衛省・自衛隊が現在利用している3機のXバンド通信衛星のうち、2機(スーパーバードB2号機・スーパーバードD号機)が平成27年度に設計寿命を迎える。このため、防衛省・自衛隊では、将来の通信所要の増大の見込みなどを踏まえ、映像など大容量データの通信を可能にし、抗たん性にも優れた新たな衛星通信システムの整備などに着手しているところである。
なお、防衛省・自衛隊では、11(平成23)年5月、第177通常国会において人工衛星を公共施設等に追加する旨のPFI(Private Finance Initiative)法の改正が行われたことを受け、新たな通信衛星の整備に、同法を適用することとしている。これにより、優れた性能を有する通信衛星を、そのライフサイクルを通じて効率的に整備・維持することが可能となるほか、宇宙基本法の趣旨も踏まえたわが国宇宙産業の振興にも資するなど、多くのメリットを享受することが期待される。
 
スーパーバードD号〔スカパーJSAT提供〕
スーパーバードD号〔スカパーJSAT提供〕

 

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