コラム 

<解説>「即動」する中央即応集団(CRF)

現在の国際社会において、各国は、国連平和維持活動や人道支援・災害救援、海賊対処行動など、平素から国際社会の平和と安定に寄与する防衛力の役割に注目し、積極的に活用するようになっている。また、新防衛大綱は、「事態に迅速かつシームレスに対応するためには、即応性を始めとする総合的な部隊運用能力」が重要性を増しているとしている。
07(平成19)年に創設された中央即応集団(CRF:Central Readiness Force)は、国内における各種事態の発生時にその拡大防止を図り、また国際平和協力活動に迅速・継続的に派遣する場合などにおいて中心的役割を果たす部隊である。
ハイチにおけるPKOにおいて、国連の派遣要請からわずか2週間あまりで現地における活動を始められたのは、先遣隊の役割を担う中央即応連隊の存在があったからにほかならない。また、組織面での充実に加え、国際活動教育隊が中心となって、国際平和協力活動などに関する教育訓練の実施(派遣要員への教育、各方面隊の練成訓練支援、国際活動の教育訓練に関する調査研究)とノウハウの蓄積・普及を行い、部隊や隊員の能力を高めてきている。このように、中央即応集団は、わが国の国際平和協力活動などの実績を着実に積み重ね、部隊を迅速かつ継続的に派遣できる体制の強化に貢献してきた。
中央即応集団は、第1空挺団や第1ヘリコプター団といった機動運用に適した部隊、特殊作戦群や中央特殊武器防護隊のような専門部隊も有しており、事態発生時にはこれらの部隊を各地に迅速に派遣することができる。
東日本大震災に際しては、原子力災害に対応するため、中央特殊武器防護隊を中核とした地上からの放水や除染活動、第1ヘリコプター団のCH-47による空中からの原子炉への水投下やモニタリング支援を原発で行った。第1空挺団と中央即応連隊は、福島第1原発周辺地域における避難支援や行方不明者の捜索を行っている。
防衛省としては、新防衛大綱に基づき、「即応性、機動性、柔軟性、持続性及び多目的性」を備えた「動的防衛力」を構築することとしているが、中央即応集団が「動的防衛力」を実現する上で重要な役割を果たす部隊として、あらゆる事態に即座に行動(即動)できるよう、各種の施策を講じていく。
 
「即応」する中央即応集団(CRF)図表

 

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