コラム 

<解説>自衛隊の体制 -南西地域の防衛体制の強化-

新防衛大綱では、新たな安全保障環境を踏まえ、「動的防衛力」を構築するとし、さまざまな役割を効果的に果たせる体制を効率的に保持することとされている。
その際には、冷戦型の装備・編成を縮減し、部隊の地理的配置や各自衛隊の運用を適切に見直すとともに、南西地域も含めて防衛態勢の充実を図ることとしている。
南西地域に多くの島嶼を有するというわが国の地理的特性を踏まえると、島嶼部の防衛はもともと重要なものであり、16大綱においても、「島嶼部に対する侵略への対応」が防衛力の役割として明記されていたが、今般の新防衛大綱の策定の過程において、各種の事態における防衛体制の点検を行った結果、南西地域に自衛隊の活動基盤が手薄な地域があることが浮き彫りとなった。
新防衛大綱では、このような自衛隊配備の空白となっている島嶼部に、必要最小限の部隊を新たに配置するとともに、部隊が活動を行う際の拠点や、機動力、輸送能力および実効的な対処能力を整備することとしている。
具体的には、新中期防期間中(平成23年度〜平成27年度)には南西地域の態勢強化に関する多くの施策を講じることとしている(図表参照)。
同時に、たとえば、北海道の師団・旅団については、北海道が非常に良好な訓練環境にある(全国の演習場の総面積の47%が所在)といった特性を考慮しつつ、冷戦期から整備されてきた戦車・火砲を縮減して即応性・機動性を重視した部隊に改編していく。
これらのほか、燃料や部品の確保を含む装備品の可動率の維持・向上による部隊運用の実効性の向上や、輸送、衛生、高射、救難、調達・補給・整備などの各自衛隊に横断的な機能の整理などの施策もあわせて行い、「選択と集中」によって防衛態勢の充実を図っていく。
 
南西地域の防衛態勢強化の概要(新中期防期間中)

 

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