コラム 

<解説>最近の北アフリカ・中東情勢について

10(平成22)年12月にチュニジアで発生したデモに端を発し、北アフリカ・中東の多くの国々において政府に対する大規模なデモが発生した。
デモを受けて、チュニジアとエジプトにおいては長期間在位していた大統領が辞任し、イエメンにおいては大統領が任期満了前の辞任を表明した。リビアにおいては、当局による国民に対する暴力が継続し、国際社会が国連安保理決議に基づく措置をとることになった。シリアでもデモ隊と治安部隊間の衝突が発生している。
これらの国々の国情はそれぞれ異なり、デモの背景などは一様でないが、長期政権が続き、国民の政治的自由が制限を受けてきたとされている。また、この地域でデモが波及した背景として、携帯電話とインターネットの普及やソーシャルメディアの利用者増加により、参加者間の連携や近隣諸国の状況に関する情報の入手が容易になったことなどが指摘されている。 地域の安全保障環境、中東和平、エネルギー供給、地域における米軍のプレゼンスなどへの影響という観点から、この地域におけるデモの今後の展開や他国への波及について、注目していく必要がある。

 

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