第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

7 東南アジア諸国との防衛協力・交流
東南アジア諸国は、わが国と中東地域や欧州地域とを結ぶ海上交通の要衝を占める地域に位置するとともに、わが国と密接な経済関係を有している伝統的なパートナーである。東南アジア諸国との安全保障上の諸問題に対する信頼・協力関係を増進させることは、わが国と東南アジア諸国の双方にとって有意義である。
特に、シンガポール、ベトナム、タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシアとは閣僚級・次官級の会談を定期的に実施し、各国との間の防衛協力・交流のあり方、地域における安全保障協力の枠組に関する意見交換を活発に行っている。また、10(同22)年5月には、榛葉防衛副大臣(当時)がラオス、カンボジアおよび東ティモールを訪問し、両国間の防衛協力・交流の強化を図るとともに、非伝統的安全保障分野における協力や能力構築支援などの具体的協力について意見交換を行った。また、同年10月11日には、拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)に際して、北澤防衛大臣は、シンガポール、タイ、インドネシア、ベトナムなどの東南アジア諸国の国防大臣と二国間会談を行い、地域情勢や地域の安全保障協力などについて意見交換を行った。さらに、11(同23)年1月には、松本防衛大臣政務官がフィリピン、タイ、ネパール、マレーシア、インドネシアを訪問し、各国国防関係者と地域の安全保障に関するさまざまな意見交換を行ったほか、同月、中江事務次官がタイおよびシンガポールを訪問し、両国において国防大臣への表敬および国防次官との会談を行い、両国との防衛協力・交流の更なる進展に向けた取組について意見交換を行った。
 
松本防衛大臣政務官とエリス尼国防次官との意見交換
松本防衛大臣政務官とエリス尼国防次官との意見交換

このようなハイレベルの交流に加え、防衛当局者間の協議、部隊間交流や留学生の派遣・受け入れなども積極的に行っているほか、同年4月、ラオスとの防衛協力・交流を強化するため、在ベトナム防衛駐在官を在カンボジア防衛駐在官に加え、在ラオス防衛駐在官に併任させるなど、東南アジアの諸国との協力・交流は着実に進展している。さらに、東京ディフェンスフォーラム、日・ASEAN諸国防衛当局次官級会合の主催やADMMプラスの防衛医学EWGの共同議長への就任など、防衛省としても、地域における安全保障対話と具体的な協力の進展に向けた貢献を積極的に行い、地域の安全保障環境の安定化に主体的役割を果たしている。
(図表III-3-2-7参照)
 
図表III-3-2-7 最近の東南アジア諸国との防衛協力・交流の主要な実績

 

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