7 その他の取組
1 民間機関主催の国際会議
また、安全保障分野においては、政府間の国際会議だけではなく政府関係者・学者・ジャーナリストなどが参加する民間機関主催の国際会議も開催されている。こうした会議は、政府間の政策発信・信頼醸成に資するだけではなく、中長期的な安全保障上の課題を共有し意見交換する場として重要であり、防衛省としても高く評価している。
こうした国際会議の主なものとしては、IISS(The International Institute for Strategic Studies)(英国国際戦略研究所)が主催する、IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)およびIISS地域安全保障サミット(マナーマ対話)がある。
IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)は、地域安全保障枠組の設立を目的として設置され、毎年シンガポールにおいて、アジア太平洋地域の国防大臣などが多数参加する国際会議であり、地域の課題や防衛協力などが話し合われている。11(平成23)年6月の第10回会議においては、わが国からは北澤防衛大臣が前回に引き続いて参加し、「アジアにおける新たな防衛政策と能力」と題するスピーチを行った。本スピーチにおいて、北澤防衛大臣より、1)南西諸島などに、物資や機材の集積等のアジア太平洋地域における大規模災害時の救援拠点の設置の検討、2)関係機関と協力しての、原発事故への無人機・ロボットの積極的な活用の検討や原発事故のような不測の事態における防衛当局間の協力体制を話し合う場の設置、3)原発事故の知見や経験を国際社会と共有するための、自衛隊の医官のIAEA派遣、の3つの提言を行った。また、本会議に際し、北澤防衛大臣は、ロシア、豪州、韓国、中国、シンガポールおよびベトナムの国防相などと個別に二国間会談を行った。第10回という節目でもあり、中国から初めて国防部長(梁光烈(りょう・こうれつ))が参加するなど、例年以上にハイレベルの参加者があった。
広田防衛大臣政務官とバーレーン王国ムハンマド国防担当国務相
2 アジア太平洋諸国参謀総長等(CHOD:Chief of Defense)会議
CHODとは、主にアジア太平洋諸国の参謀総長などが一堂に会し、地域の安全保障に関するテーマについて自由に意見交換を行うとともに、あわせて実施される二国間会談などを通じて、域内各国の相互信頼醸成および安全保障上の関係強化を図ることを目的として開催されている。
本会議は、98(同10)年の第1回会議以降毎年開催され、わが国は第1回から継続的に参加している。04(同16)年には、わが国は米太平洋軍と第7回会議を共催した。10(同22)年は、第13回会議が韓国軍合同参謀本部および米太平洋軍の共催によりソウルで開催され、折木統合幕僚長が参加した。
3 アジア太平洋地域後方補給セミナー(PASOLS:Pacific Area Senior Officer Logistics Seminar)会議
PASOLSは、アジア太平洋およびインド洋地域の国々から後方補給に携わる上級幹部が参加して意見交換を行う場である。セミナーは、米国と会員国の持ち回り共催により実施され、07(同19)年には、わが国でも第36回本会議が開催された。10(同22)年には、第39回本会議がモルジブで開催され、25か国の代表者により人道支援・災害救援活動をテーマとして意見交換が行われた。
4 アジア太平洋地域情報部長等会議(APICC:Asia-Pacific Intelligence Chiefs Conference)
APICCとは、米太平洋軍司令部と参加国の持ち回り共催による、アジア太平洋地域などの各国国防機関の情報部長などによる意見交換会議であり、地域の安全保障上の課題について意見交換を行うとともに、各国間の信頼関係の醸成と情報の共有に資することを目的としている。11(同23)年2月には、情報本部が初めて共催し、アジア太平洋地域などの28か国が参加して、「テロ対策」、「海上安全保障」、「人道支援・災害救援」などについて議論を行った。
参照
資料57