6 防衛省・自衛隊が主催している多国間安全保障対話
1 東京ディフェンス・フォーラム
アジア太平洋地域の安全保障を考える上でのわが国独自の取組として、防衛省は、96(平成8)年から地域諸国の防衛政策担当幹部(国防省局長、将官クラス)を対象とする「アジア太平洋地域防衛当局者フォーラム(東京ディフェンス・フォーラム)」を毎年開催し、各国の防衛政策や防衛分野での信頼醸成措置への取組について意見交換を行っている。
10(同22)年9月の第15回フォーラムには、EUのほか、19か国と赤十字国際委員会(ICRC:International Committee of the Red Cross)などの参加を得て、「地域の安全保障協力における主要国の役割」と「ARFにおける防衛当局の役割」について意見交換を行った。特に、ARFでは災害救援実動演習の実施など具体的な協力が進展しつつあり、また、ARFにおける協力促進の具体的なプランであるハノイ行動計画においても防衛当局のARFプロセスへの積極的関与がうたわれていることから、ARFにおける活動および各国の取組に資するようなテーマが設定され、積極的な意見交換が行われた。
東京ディフェンス・フォーラム本会合における大臣挨拶
2 日・ASEAN諸国防衛当局次官級会合
経済分野に比べて安全保障分野における日・ASEAN諸国間の連携が遅れているとの問題意識のもと、日・ASEAN間の次官級の人脈の構築を通じて二国間・多国間の関係強化を図る目的で、09(同21)年3月より毎年、防衛省主催で日・ASEAN諸国防衛当局次官級会合が開催されている。加えて、本会合の翌日には国内外から有識者・防衛当局者を招き、地域が抱える安全保障上の課題やこうした課題に対する防衛当局の役割について議論を行う、一般公開の「共通安全保障課題に関する東京セミナー」も毎年開催している。
10(同22)年3月には第2回会合が開催され、第1回会合に引き続きASEAN諸国およびASEAN事務局から次官クラスの参加を得て、1)非伝統的安全保障問題、2)アジア太平洋地域における安全保障協力枠組・協力について意見交換を行った。また、翌日の「共通安全保障課題に関する東京セミナー」においては、1)気候変動と防衛当局の役割、2)アジア太平洋地域における安全保障協力枠組・協力について議論を行った。なお、11(同23)年に予定していた第3回会合は、東日本大震災のため、延期となった。
参照
資料56