4 パシフィック・パートナーシップへの参加
07(平成19)年より行われているパシフィック・パートナーシップ(PP:Pacific Partnership)は、米海軍を主体とする艦艇が地域内の各国を訪問して、医療活動、文化交流などを行い、その際に各国政府、軍、国際機関、NGO(Non-Governmental Organization)との協力を通じ、参加国の連携強化や災害救援活動の円滑化などを図る活動である。わが国は、07(同19)年から、海自の医官など数名を派遣して調査研究を実施してきた。
09(同21)年11月、鳩山内閣総理大臣(当時)がPP2010への参加について表明したことを受け、10(同22)年5月から7月までの約2ヶ月間行われたPP2010には、初めて自衛隊の部隊を派遣し、海自の輸送艦「くにさき」(乗務員約160名)と陸・海・空自の医療チーム(約40名)が参加した。この際、NGOなどの民間団体(4団体22名)
1とも協力し、ベトナムでは約2週間で約1,700人、カンボジアでは約2週間で約2,700人の内科および歯科診療を行うとともに、現地の学校において、スポーツ交歓や日本文化の紹介など、さまざまな文化交流を行った。また、活動期間を通じての人員・物資の輸送については日米の艦船が共同で行い、日米相互連携の強化を図ることができた。
また、11(同23)年のPP2011においては、東日本大震災への対応を踏まえ、参加規模を縮小し、医官および歯科医官数名を派遣し、6月から7月の間、東ティモールおよびミクロネシアにおいて活動を行った。PPへの参加は、関係国間の相互理解と協力関係を増進し、国際的な安全保障環境を改善するとともに、日米安保体制の強化にもつながることから、わが国の平和と安全を確保していくために重要な意義がある。また、国際緊急援助活動や国際平和協力業務での医療や輸送(PP2011では実施せず)に関する自衛隊の練度・技量の向上を図るとともに、民間団体との調整・連携のためのノウハウを得る上でも有意義な機会が確保できるものと考えている。