第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

3 サイバー攻撃への対応
近年、情報通信基盤へのサイバー攻撃は高度化・複雑化しており、サイバー空間の安定的利用に対するリスクが新たな課題となりつつある。こうした中、防衛省・自衛隊としても、自衛隊の情報システム・通信ネットワークを防護するための機能を引き続き向上させていく必要がある。

1 自衛隊の対応
新防衛大綱においては、自衛隊は、サイバー攻撃に対し、自らの情報システムを防護するために必要な機能を統合的に運用して対処するとともに、サイバー攻撃に対する高度な知識・技能を蓄積し、政府全体として行う対応にも寄与することとしている。
自衛隊のサイバー攻撃への対処能力を強化するため、自衛隊に対するサイバー攻撃対処を統合的に実施するための体制を強化するほか、サイバー攻撃対処に関する研究や演習の充実を図ることが重要である。

2 防衛省・自衛隊の取組
防衛省・自衛隊では、08(平成20)年3月、サイバー攻撃への対処を含め、自衛隊の防衛情報通信基盤や中央指揮システム1の維持管理・運営などを任務とする「自衛隊指揮通信システム隊」を新設するとともに、情報通信システムの安全性向上を図るための侵入防止システムなどの導入、サイバー防護分析装置などの防護システムの整備、サイバー攻撃対処に関する態勢や要領を定めた規則2の整備などの取組を行っている。
また、11(同23)年3月に、自衛隊のサイバー攻撃対処に関する構想の策定や諸外国の関係機関との調整業務などを行うサイバー企画調整官を統合幕僚監部に新設したことに続き、平成23年度も、統合的なサイバー攻撃対処の中核となる部隊の新編に向けた準備など、サイバー攻撃への対処を統合的に実施するための体制強化に取り組むこととしている。
さらに、サイバー攻撃対処に関する研究の充実のための取組や、防衛大学校におけるネットワークセキュリティ分野の教育・研究体制の整備、国内外の大学院などへの職員留学など、高度な知見を有する人材の育成のための取組なども行っている。
(図表III-1-2-3参照)
 
図表III-1-2-3 防衛省・自衛隊におけるサイバー攻撃対処に係る施策


 
1)1章1節4「自衛隊の統合運用体制」注3を参照。

 
2)防衛省の情報保証に関する訓令(平成19年防衛省訓令第160号)などがある。


 

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