第II部 わが国の防衛政策の基本と新防衛大綱、新中期防など 

3 計画の方針
 新中期防においては、新防衛大綱に従い、次の6点を計画の基本として適切な防衛力の整備に努めることとしている。

(1)態勢の整備
 新防衛大綱で示された3つの防衛力の役割1を果たすための各種活動を迅速かつシームレスに実施できるよう、複合事態への対応にも留意しつつ、即応態勢、統合運用態勢および国際平和協力活動を積極的に実施する態勢を整備する。この観点から、統合の強化、島嶼部における対応能力の強化、国際平和協力活動への対応能力の強化、情報機能の強化、科学技術の発展への対応を重視する。

(2)適切な資源配分
防衛力の整備に当たっては、統合運用の実効性向上を踏まえ、各種の活動に活用し得る機能、非対称的な対応能力を有する機能および非代替的な機能2を優先整備する一方、本格的な侵略事態への備えは、最小限の専門的知見や技能の維持に限定する。

(3)質の高い防衛力の効率的な整備
装備品などの導入に当たっては、能力の高い新装備の導入と既存装備の延命・能力向上を組み合わせ、質の高い防衛力を効率的に整備する。

(4)防衛力の能力発揮のための基盤に関する施策の推進
人事制度の抜本的見直しにより、人件費の抑制・効率化、若年化による精強性の向上などを推進し、防衛予算の構造の改善を図るとともに、装備品などの取得改革をより一層推進し、部隊の運用水準の向上を図るほか、関係機関や地域社会との協力の強化を図る。

(5)日米安全保障体制の一層の強化
新たな安全保障環境にふさわしい形で日米同盟を深化・発展させていくため、日米安全保障体制の強化のための各種施策を推進する。

(6)効率化・合理化の努力、選択と集中
格段に厳しさを増す財政事情を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、一層の効率化・合理化を図り、経費を抑制する。その際、各自衛隊に係る予算配分の思い切った見直しを行う。また、真に必要な機能に資源を選択的に集中して防衛力の構造的な変革を図り、限られた資源でより多くの成果を達成する。


 
1)1)実効的な抑止及び対処、2)アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化、3)グローバルな安全保障環境の改善をいう(2章3節4参照)。

 
2)2章3節5の注1参照。


 

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