4 基幹部隊の見直しなど
1 陸上自衛隊
部隊の編成および人的構成を見直し、効率化・合理化を徹底する中で、戦車および火砲の縮減を図りつつ、即応性、機動性などを一層向上させるため、5個の師団および1個の旅団を改編する。また、1個の高射特科群を廃止し、これにともない1個の旅団内に高射特科連隊を新設するとともに、即応性、航空輸送力などを一層向上させるため、同旅団を改編する。
また、平素からの情報収集・警戒監視および事態発生時の迅速な対処に必要な体制を整備するため、南西地域の島嶼(しょ)部に、付近を航行・飛行する艦船や航空機を沿岸部から監視することなどを任務とする沿岸監視部隊を新編し配置するとともに、初動を担任する部隊を新編するための事業に着手する。初動を担任する部隊は、事態発生時における情報収集や主要施設の防護、災害発生時の対応などを行うことを想定している。
さらに、統合運用の推進や日米共同による対処態勢構築の推進などの観点から、指揮・管理機能の効率化にも留意しつつ、作戦基本部隊(師団・旅団)および方面隊のあり方について検討の上、必要な措置を講ずる。
2 海上自衛隊
情報収集・警戒監視、対潜戦などの各種作戦の効果的な遂行による周辺海域の防衛や海上交通の安全確保などに有効に対応するとともに、国際平和協力活動に柔軟に対応できるよう、護衛艦部隊(地域配備)を機動運用化する。その際、5個の護衛隊からなる護衛艦部隊(地域配備)を4個護衛隊とする。また、潜水艦を16隻から22隻に増勢するため、5隻の潜水艦を建造するほか、既存の潜水艦を延命するとともに、要員養成に着手するなどの必要な措置を講ずる。
3 航空自衛隊
南西地域における即応態勢を充実するため、那覇基地に戦闘機部隊1個飛行隊を移動させ、2個飛行隊とする改編を行うとともに、1個航空団を新設し、これにともない既存の1個航空団を廃止する。また、米軍とのインターオペラビリティを向上するため、横田基地を新設し、航空総隊司令部などを移転する
1。
4 自衛官定数
計画期間末の常備自衛官全体の定数は、平成22年度末の水準(24万8千人程度)からおおむね2千人程度削減し、おおむね24万6千人程度とする
2。
このうち、陸上自衛隊の計画期間末の編成定数については、おおむね15万7千人程度、常備自衛官定数についてはおおむね15万人程度、即応予備自衛官員数については、おおむね7千人をめどとする。
また、海上自衛隊および航空自衛隊の計画期間中の常備自衛官定数については、平成22年度末の水準(それぞれ4万6千人程度、4万7千人程度)をめどとする
3。
なお、計画期間中においては、後方業務の抜本的な合理化・ 効率化を図ることにより、人員の一層の合理化を進めることとする。その際、精強性を高めるための第一線部隊の充足については、後方業務に関する新たな人事任用制度の導入にともなう人件費抑制や人員の配置転換により、人件費の追加的な負担を招かない範囲で措置することとする。
(図表II-3-1-1参照)
2)3)「人」が部隊編成の基本となる陸自と異なり、海・空自は艦艇・航空機などの「装備品」が部隊編成の基本であるため、人員数も装備品に連動する形で決まることから、海・空自については、人員の計画数を防衛大綱や中期防に記載していなかった。他方、・海・空自においても装備品の数量と人員数の最適なバランスを確保する必要がある、・人件費の増大抑制の観点から、海・空自を含む自衛隊全体の人員規模を適切に管理することが必要である、・海・空自の定数は装備品に連動して決まるが、人員規模の管理は、装備品の整備規模を踏まえて行う必要がある、といった状況を踏まえ、主要装備品の具体的な整備規模を定める中期防において、海・空自の常備自衛官定数やこれらを含む常備自衛官全体の総数を新たに記載することとした。