第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

(VOICE)PACC・PAMSに携わった自衛官の声

研究本部(現:情報本部) 1等陸佐 工藤 天彦(くどう たかひこ)

 陸上自衛隊は、平成21年8月、東京において創隊以来、最大規模の2つの国際会議を米陸軍と共催し、私は陸自側事務局長として会議の準備と実施に携わる幸運な機会を得ました。
 2つの会議は、第6回太平洋地域陸軍参謀総長等会議(PACC:Pacific Armies Chiefs Conference)および第33回太平洋地域陸軍管理セミナー(PAMS:Pacific Armies Management Seminar)と呼ばれ、米、韓、豪、インドなどの22カ国の陸軍種のトップを含む約250名が参加し、激甚な災害時の国際的な救援活動について意見交換をしました。
 会議の場は、各国の参加者に対し、日米同盟の強固さ、陸上自衛隊の高い作戦能力、そして「和」の文化を理解していただく絶好の機会となりました。このため、私と支援隊員3,000余名(のべ数)は、日米の密接な連携と戦いのプロとしての組織力・実行力をもって取り組み、人種・宗教、文化の異なる参加者に敬意を払うきめ細やかな接遇に心がけました。「和」の心を鏡とする一例ですが、参加者夫妻の嗜好、アレルギーの有無や宗教上制約される料理をすべて考慮した一週間の献立を作成したり、ラマダン(断食)期間のイスラム国の方々には、昼食間は静かに休息し礼拝を行える部屋を提供することに心がけました。
 会議後、参加者から「歴代の会議の中で最高の出来」とのコメントが数多く寄せられ、日本の「和」の文化の一端をすべての参加者に体感していただけたことに無上の喜びを感じています。最後に、これらの会議に携わったすべての方々に改めて深謝いたします。
 
PACC・PAMS合同開会式における元国連事務次長明石康氏による基調講演
 
米陸軍と調整中の工藤1佐(右)

 

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