第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

(解説)大規模災害への対処をめぐるアジア太平洋地域における枠組

 アジア太平洋地域は、世界の自然災害による死者数の約70%を占める大規模災害の多発地域であり、その教訓として、災害発生の初期段階で、いかに効果的な支援を行うことができるかが重要であることが認識されている。そのためには、平素から地域で災害対処のための多国間の軍民の有機的かつ効果的な協力を進め、迅速な対応を可能とする多国間の枠組みを構築していくことが重要であり、即応性の向上を図ることが必要である。
 地域の安全保障協力枠組であるARFでは、各種災害救援の協力枠組が構築されつつあるが、災害救援アセットなどの登録制度、多国間協力枠組の構築については、今後の課題となっている。
 こうした点を踏まえ、09(平成21)年8月、陸上自衛隊は、太平洋地域陸軍参謀総長等会議(PACC:Pacific Armies Chiefs Conference)において災害救援に係る多国間協力枠組の概念を提示し、また、防衛省・自衛隊としても、災害救援アセット登録制度や災害発生時の多国間の協力枠組の構築に向けて、関係省庁やARFなど多国間会議の場で関係各国との意見交換を進めているところである。
 
多国間協力枠組のイメージ
 
PACC・PAMS合同開会式で開式の辞を述べる火箱陸上幕僚長

 

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