第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

(VOICE)多国間共同訓練(ARF−VDR)に参加した隊員の声

陸上幕僚監部教育訓練課(現:研究本部) 3等陸佐 諸永 大(もろなが まさる)

 私は、昨年5月、フィリピン共和国ルソン島で開催されたASEAN地域フォーラム災害救援実動演習(ARF−VDR)に陸上自衛隊から参加した部隊の企画・連絡調整担当として参加しました。
 本演習は、ARFの枠組としては初めての実動演習であり、大型台風により大規模な被害が発生したとの想定のもとに、参加各国(26か国**・2機関、約500名)の災害救援要員が海上における捜索救難訓練、医療活動、建設活動などの訓練を実施しました。日本からは、陸上・海上・航空自衛隊をはじめ約100名が参加しました。
 第1回目の演習ということに加え、最初の計画会議から実動演習まで約4か月という短期間であったことから、実施直前まで慌ただしく電話・メールによる調整を主催国やその他の参加国と行っていましたが、その甲斐もあって、演習の現場では円滑に各国の参加者と連携・協力して業務を実施することができました。
 今回の経験を通じて、文化や風習の異なる各国の軍隊や民間組織が協力して演習を計画・実施する一連のプロセスの積み上げが、関係各国との防衛協力を推し進めることにつながることを実感するとともに、日本を代表して活動することの誇りを肌で感じることができました。
 現在、引き続き第2回目の演習(平成23年3月、日本とインドネシアの共催によりインドネシアで実施予定)を準備していますが、今回の経験を踏まえ、さらに充実した演習内容にしたいと考えています。
 
飛行場において調整中の諸永3佐(手前中央)
 
訓練に参加した救難飛行艇US−2

 * Voluntary Demonstration of Response:災害救援実動演習
** 参加国は、日本のほか、フィリピン、米国、オーストラリア、EU、インドネシア、ブルネイ、モンゴル、ニュージーランド、パプアニューギニア、韓国、シンガポール、中国、スリランカなど26か国・2機関。

 

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