第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

(VOICE)「日中国防関係者交流」事業について

笹川日中友好基金運営委員長  笹川 陽平(ささかわ ようへい)氏

 笹川日中友好基金では、将来に向け安定した日中関係の構築と両国の安全保障分野での信頼醸成の増進を図るため、2001年度から両国の現役佐官級将校の相互訪問研修プログラムを実施してきた。各研修においては、陸海空部隊の現場視察や指導者への表敬、国防政策の講習、直接対話による率直な意見交換ほか、歴史・社会・文化等などに関する多彩な内容を盛り込み、相手国を多面的に理解する機会を提供してきた。過去9年間にわたる交流で、102人の佐官級自衛官が訪中し、中国からは187人の人民解放軍の佐官級将校が訪日した。交流の中身も初期の形式的なものから進展し、近年では、双方の基地や艦艇内で食事をしながら率直に語り合ったり、最新の装備を互いに見せ合うようにまでなってきた。特に強調したいのは、日中間の政府間関係が緊張し安全保障交流が停滞しても、この事業は継続され、民間主導の役割を十分に果たしてきたことである。
 このプログラムは2010年には10年目を迎える。今後も本事業を通じて自衛隊と中国人民解放軍が理解と信頼で結ばれ、両国の平和に寄与することが期待される。
 
第8回自衛隊佐官級訪中団

 

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