第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

特集 日米同盟関連年表

日米同盟関連年表(昭和20(1945)〜昭和45(1970))

 わが国は、45年8月の終戦を経て、焦土から復興に向けて歩み始めた。戦後の国際社会は、国際連合が設立される一方で、東西両陣営によるそれぞれの安全保障機構の設立や50年6月の朝鮮戦争を経て、次第に冷戦の様相を強めていた。こうした中、47年5月に日本国憲法を施行したわが国は、51年9月、サンフランシスコ平和条約により国際社会に復帰するとともに、米国との間で日米安全保障条約を締結した。自衛のための必要最小限度の防衛力を整備するとともに、米国の強大な軍事力に依存しつつ自国の平和と独立を維持する路線を選択し、54年7月には、防衛庁・自衛隊を発足させた。
 その後、56年12月に国際連合に加盟を果たしたわが国は、60年に至り、国論を二分する議論を経ながらも、日米安保条約をより対等な内容とした新条約を締結した。また、50年代後半〜60年代にかけて、東南アジア諸国、ソ連、韓国などとの外交関係も順次正常化させるなど、外交・安全保障の基盤を徐々に安定させながら、やがて高度経済成長の時代を迎えていく。
 
日米同盟関連年表(昭和20(1945)〜昭和45(1970))

日米同盟関連年表(昭和45(1970)〜平成3(1990))

 高度経済成長を経て、わが国は70年代には西側世界第2位の経済大国となった。この時期、国内の政治・経済は比較的安定し、自衛隊や日米安保条約を巡るかつてのような激しい対立は、しだいに影を潜めるようになった。
 他方、国際社会においては、冷戦が緊張と緩和を繰り返しながら継続する傍ら、オイルショックを始めとする国際経済の変動やベトナム戦争のもたらした痛手などによって、米国の力は第二次大戦後の圧倒的なものではなくなりつつあった。この結果、米国は、わが国を含む西側同盟諸国に対して、経済力に見合った防衛努力を強く求めるようになった。また、72年のニクソン訪中とその後の米中接近など、冷戦期の国家間関係にも大きな変化が見られるようになった。
 こうした動きの中、わが国は76年に初めて「防衛計画の大綱」(51大綱)を策定し、保有する防衛力の目標を定めてその着実な整備に一層努めることとした。
 一方、日米関係については、78年に両国で「日米防衛協力のための指針」を策定し、日米安保条約に基づく日米両国間の防衛協力をより具体的なものとする道に先鞭をつけた。これを受け、同年、日米共同訓練が本格的に開始されるとともに、わが国以外の極東における事態でわが国の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力についても協議されることになった。これにより、日米安保体制は、二国間の関係のみならず、地域的な広がりについてもより色濃く持つことになった。
 また、わが国は78年以降、地位協定の範囲内において在日米軍駐留経費の負担を開始し、87年からは特別協定を締結して駐留経費負担の範囲を拡大することとした。
 こうした日米間の関係の深まりを踏まえ、81年には、日米共同声明において日米両国が「同盟関係」にあると初めて明記された。
 
日米同盟関連年表(昭和20(1970)〜平成3(1990))

日米同盟関連年表(平成3(1990)〜平成22(2010))

 89年12月の冷戦終結や91年12月のソ連の解体などに伴い、世界的規模の戦争発生の可能性は大幅に低下した。しかし他方で、地域紛争がより複雑化・多様化するとともに、核などの大量破壊兵器やミサイルの拡散、国際テロの深刻化など、冷戦後の安全保障の課題とされる事象が次々と現れることにもなった。
 冷戦終結後、日米安保体制のあり方については、両国でさまざまな議論が起こるとともに、95年には沖縄で発生した少女暴行事件を契機として、日本国内では従来からあった沖縄に集中する米軍基地の縮小を求める声が高まってきた。一方で、冷戦後の複雑で不安定な国際情勢の下での日米安保体制の意義を検証し、明らかにすべきとの機運も高まった。
 こうした中、96年に日米両首脳により「日米安保共同宣言」が発出され、冷戦後における日米安保体制の重要性を再確認するとともに、両国が、アジア太平洋地域のみならず地球規模でも協力していくことが確認されるなど、21世紀に向けた日米同盟のあり方が内外に提示された。
 また、この共同宣言を受けて96年末にはSACO最終報告が取りまとめられ、普天間飛行場を始めとする沖縄の米軍基地の整理・統合が進められることとなったほか、97年に「日米防衛協力のための指針」の見直しも行われた。これにより、わが国に対する武力攻撃事態や周辺事態における日米間の協力を具体化するための作業が進められるとともに、両国間において、平素から、こうした分野のみならず、安全保障対話・防衛交流、PKOや大規模災害への対応などでも緊密に協力することが確認された。
 現在、日米の協力関係は地域的・地球的規模の活動にまで広がりを見せるものとなっている。特に、本年は日米安保条約締結50周年という節目の年であり、日米同盟を21世紀の変化する環境に相応しいものとするため、同盟深化のための議論が進められている。
 
日米同盟関連年表(平成3(1990)〜平成22(2010))

 

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