第II部 わが国の防衛政策の基本と防衛力整備 

(解説)諸外国の防衛分野における宇宙開発利用の現状

 いかなる国家の領域にも属さず、地表の地形などの制約を受けない宇宙空間の特性を利用することは、防衛分野においてもきわめて有益であり、諸外国においても防衛分野での宇宙利用は積極的に進められている。
 たとえば、宇宙開発利用の分野で大きく先行する米国は、防衛目的での画像情報を収集するため、高性能な大型衛星の整備や商用衛星からの画像購入を拡大するほか、必要に応じ短時間で打上げ可能な即応型衛星の開発を進めるなど、多角的な情報収集手段の確保に努めている。
 他方、衛星の整備には巨費を要することから、複数の国家で衛星情報を共有する取組がなされており、欧州では2006年に、仏、独、伊、スペイン、ベルギー、ギリシアの6か国が、衛星情報を相互運用するMUSIS(Multinational Space-based System)計画に合意している。また、防衛分野と民生分野による衛星の共同運用など、デュアルユース化への取組が進められている。

 

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