第II部 わが国の防衛政策の基本と防衛力整備 

(解説)空中給油・輸送機(KC−767)の運用開始

 09(平成21)年3月、戦闘機に対する空中給油任務と航空輸送任務を担当する航空自衛隊初の部隊として、KC-767を運用する第404飛行隊が小牧基地に新編された。10(同22)年1月に4機目の機体を受領、同年2月に運用試験を終了し、同じく4月に4機態勢での運用開始の運びとなった。
 KC-767は、ボーイング767-200の貨物機をベースとして開発され、機体後方の給油ブームなどの空中給油システムを装備している。必要に応じて空中給油と航空輸送の両任務に対応することができる。また、機内は「貨物輸送」と「人員輸送」の2種類の形態に転換可能であり、貨物輸送形態では最大積載量約30tで、人員輸送形態では旅客機に近いパレット式座席により200名の人員を運ぶことができる。航続距離は、政府専用機を除き、これまで航空自衛隊が使用してきた輸送機の中で最長の7,200km(約30t積載時)を誇る。
 KC-767の空中給油機能により、戦闘機は給油を受けることで基地から遠く離れた訓練空域で長時間訓練ができるようになり、戦闘機の訓練の効率化、事故防止、基地周辺の騒音軽減が期待できる。さらに、KC-767の輸送機能により国際平和協力活動をより迅速・柔軟に行うことが可能になる。
(図表II-2-2-4 参照)
 
駐機場に誘導されるKC-767
 
F-15戦闘機に空中給油するKC-767(1)
 
F-15戦闘機に空中給油するKC-767(2)

 

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