(解説)平成22年度計画ヘリコプター搭載護衛艦(22DDH)
海上自衛隊は4個の護衛隊群それぞれに、対潜戦における指揮・通信およびヘリコプター運用の中枢艦として、哨戒ヘリコプター3機を搭載するヘリコプター搭載護衛艦(DDH)を1隻保有しており、平成26年度に除籍が見込まれているDDH「しらね」を代替更新するため、平成22年度計画ヘリコプター搭載護衛艦(22DDH)を整備することとした。
近年の周辺国海軍の潜水艦、水上艦艇の近代化などを踏まえ、海上交通の安全確保やわが国周辺海域の防衛などを効果的に行うためには、対潜・対水上戦能力を向上させることが、従来にも増して重要となってきている。このため、22DDHにおいては搭載する哨戒ヘリコプターの数を増やすなどしてこれらの任務に対応できるよう、09(平成21)年に就役した16DDH「ひゅうが」よりも船体を大型化して、格納庫などの設備の充実を図っている。
また、22DDHは、わが国における国際任務の本来任務化、自衛隊の統合運用体制への移行などの情勢を踏まえ、平時から有事までの多様な事態にも対応可能な多機能性と滞洋性を備え、従来のDDHがこれまで担ってきた護衛隊群の指揮・通信中枢およびヘリコプター運用中枢としての能力に加え、大型化した船体を活用し、車両や物資などの輸送機能、傷病者に対する医療機能など国際平和協力活動、大規模災害対処、在外邦人輸送などに対応するための各種機能を充実させている。これらのことから、22DDHは、多目的に活用することのできる護衛艦として、国民の安全確保や国際貢献などを行う際の中枢艦としての活躍が期待される。